牢獄幻想!オタクに優しいギャルは実在した!?
僕は現在、初めての経験をしている。
いや、この異世界転生を果たしてから初めての経験ばかりで戸惑いが多い。
しかも毎回、悪いことを経験しなければならないのは気のせいなのか。
ただ僕が不運すぎるだけなのかな?
今いる場所を一言で説明すると"牢獄"だ。
なんと僕は牢屋に入れられてしまったのだ。
「そこでおとなしくしてろよ」
騎士の風貌をした女性が言った。
僕は狭い牢屋の中、後ろの奥の暗がりを見る。
そこには"青色に発光"する鎖に繋がれて吊るされた女性の姿があった。
近づいてみると、それは美しい褐色肌の十代後半の若い女性だった。
オレンジ色のウルフカットの髪、服装は白のぴっちりしたタンクトップと黒のショートパンツ。
そしてブラウンのブーツを履いている。
その体は胸の膨らみは小さく、全体的に筋肉質で引き締まっていた。
何よりも特徴的なのは、こめかみ付近にある2本の短い黒い角だ。
これで彼女が"魔神"であることがわかる。
足が地についていない状態の彼女は項垂れており、体には無数の傷も見えた。
「この鎖、アヴァロ魔鉱石……?」
思わず呟いた。
すると褐色肌の女性は少し顔を上げて、僕を鋭い眼光で睨む。
「なんだ、お前……」
あまりの圧迫感に僕は後退りした。
一瞬で悟る、この女性は僕の苦手なタイプ。
どう見てもオタクの天敵、"ギャル"だった。
だけど目的を果たすためには彼女とコミニケーションを取るしかない。
「あなたが"ディアナ"さんですか?」
「なぜアタシの名前を知ってる?」
「あなたの力が必要だったので、ここまで来たんです。今、拘束を解きます」
「意味がわからん。なんで、お前みたいなキモい人間なんかに力を貸さなきゃならない。アタシを解き放った瞬間、お前の首を刎ねてやるからな」
そう言って彼女はニヤリと笑った。
「それは絶対に無理です」
「は?アタシを舐めてるわけ?」
「舐めてるわけじゃないです。ただ……」
ディアナは目を細めて僕をさらに鋭く睨む。
やはりオタクに優しいギャルは存在しないのか……。
そうだとしても、僕はもう引かなかった。
「『従属』……僕に力を貸してもらいます」
「アタシは……」
あれだけ僕に対して敵意を剥き出しにしていたディアナの目は虚ろになった。
僕は地面に転がる小さな石を1つ拾う。
そして親指の上に乗せた。
「"スキル結合"……『炎速指』」
指を勢いよく弾く。
高速で放たれた小石はディアナが吊るされた、ちょうど真上の天井へ。
鎖が繋がれた場所に当たって、数センチだけ天井に"熱線"が走った。
天井との繋ぎ目が内部から高温で熱せられたことによって、鎖が千切れてディアナは地上に落ちる。
そのまま彼女は僕の前に跪いた。
「魔王軍、第七総魔将ライトニングエフェクトの"ディアナ・ボルティクス"。アタシにできることがあれば、何なりとお申し付け下さい……」
先ほどとは打って変わって従順となったディアナの表情はトロけている。
言っていることが真面目なだけに、そのギャップに僕は心を打たれた。
「ディアナさんって……可愛いですね」
「え……アタシが可愛い……?な、何かの間違いでは?」
「間違いじゃないです。ディアナさんはとっても女の子らしくて、とても可愛いと思いますよ」
「あ、あ、あ、ありがとうございます……いや、でもアタシなんて……ずっと"男女"なんて言われてバカにされてきて……」
「そんなことを言ったヤツは僕が許さないです。僕と一緒にいたら、そんなことは絶対に言わせない」
ディアナさんは跪いた状態で僕を見上げた。
褐色肌でもわかるほど、顔が赤らんでいるのがわかる。
うん、やっぱり可愛い。
"ギャル"への印象が変わり始めているぞ。
「ディアナさん、僕の願いを聞いてくれますか?」
「はい、アタシでよければ!」
「じゃあ、僕と……」
こうして僕の初めては繰り返されるわけだけど、なぜ突然の牢獄で"魔神ギャル''と遭遇することになったのか……。
それは数ヶ月前からおこなわれているエヌス・ヤタ復興計画が関わっていたのだ。




