誕生!チーム・シックス
ギルド内では新たにできたパーティーメンバー同士で自己紹介がおこなわれていた。
どこのパーティーもだいたい5、6人ほどで構成されていて男女混合。
土地勘のない人のために、全てのパーティーにこのギルド専属の冒険者が入るという親切設計。
気のせいか、その全員が"女性"のようだった。
しかも、みんな若くて美人。
またか……。
そういうのが気になる年頃なのかな。
そして肝心な僕のパーティーはというと。
"イヴ"、"ファリスちゃん"、"ハム・エッグ"。
なんと、ここは相変わらず。
仲良し組で集めたほうが連携は取りやすい。
さらに、僕らのパーティーに2人の新たなメンバーが加わる。
「今回はよろしくお願いします」
そう笑顔で挨拶してくれたのは、長い紫色の髪、白いレースのロングワンピース。
上半身には胸元を覆う程度の大きさの銀の鎧を身につけ、手には大きな鉄杖を持った女性。
この町のギルド長、勇者候補"X"ことエリシアさんだった。
間近で見るとスレンダー美女だ。
「後衛として全力を尽くします」
エリシアさんが言うと、ファリスちゃんがボソリと、
「勇者候補が後衛……?」
そう呟いた。
するとエリシアさんは少しだけ驚いた表情をしたが、すぐに笑顔に戻って言った。
「私は光魔法が得意ですので、攻撃魔法だけでなく回復魔法などもおこなえます。必ずお役に立てると思いますよ」
どうやらエリシアさんは魔法使いのようだ。
それなら後衛の方がいい。
さらに彼女の勇者スキルである『治癒』が"ウェポン・ジャックマン"並の回復スピードであれば自身に回復魔法なんていらない。
ヒーラーが瀕死にならないパーティーほど驚異的なものはないと思う。
まぁ、前衛は「死ぬまで戦え!」って感じになっちゃうけど……エリシアさんに言われるなら気分はいい。
そして、もう1人のパーティーメンバー。
「ハハハハハー!君たちか……ワタシの筋肉を必要としているのは!」
またヤバい奴がお出ましだぞ。
ジム帰りとも思えるほどパンプアップした筋肉を惜しみなく露出している中年男性。
裸体で上半身にサスペンダーを着け、それを下半身の紺色のブーメランパンツと繋いでいる。
あと身につけているものといえば履いているブーツだけ。
清潔感のある黒の短髪。
全身が日焼けしていて、体は妙にオイル感がある。
「ワタシの名は"マッスルボマー・エイジ"!気軽に"エイジ"と呼んでくれたまえ!」
おいやめろ、カプ◯ンに怒られるぞ。
僕の心のツッコミも虚しく、エイジさんはボディビルでするようなポージングを繰り返している。
さすがのファリスちゃんも、ハム・エッグ以上の逸材登場に顔が引き攣っていた。
「ワタシの筋肉も、この素晴らしい出会いに喜んでいるようだ」
そう言ってエイジさんはフロントポーズをとりながら右の大胸筋を器用に動かす。
これは魔獣以上に危険な出会いかもしれない。
「それで、君たちは?」
エイジさんがニコリと笑って白い歯を見せつつ言った。
僕らはそれぞれ自己紹介を始める。
「シオンと申します」
「ファリスです」
「拙者、ハム・エッグでゲス」
そして最後、視線は"漆黒の鎧"へと向かう。
『イヴだ』
その瞬間、エリシアさんとエイジさんが驚いたような表情をした。
マズイ……いよいよ"魔神イヴ・ガルハート"を知っている人間が現れたのか。
真っ先に口を開いたのはエイジさんだった。
「まさかレディだったとは……すまない、てっきり男だと思っていた」
エイジさんは真剣な面持ちで謝罪した。
実は真面目で誠実な人なのかな?
「ワタシの、この鍛え上げられた"筋肉"に免じて許してくれ」
そう言ってエイジさんはサイドポーズをとり、左の大胸筋を器用に動かした。
前言撤回。
やはり魔獣以上の危険人物で間違いない。
そんなエイジさんの行動に僕とファリスちゃんが呆気に取られて、この話はここで終わった。
エリシアさんは何も言わず、ただ笑みを浮かべているだけだった。
こうして側から見たら異端とも思えるパーティーが、この世に誕生した。
"僕"
"魔神"
"くの一"
"世紀末男"
"勇者候補X"
"マッスルボム"
ご覧のチームでお送りする魔獣討伐作戦。
名付けるならば"チーム・シックス"。
もはや、波乱の予感しかしない。




