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新たスキル、そして新たな可能性

僕はずぶ濡れのファリスちゃんを背負って、暗闇の森林の中を歩いていた。


「早く……どこか、火を起こせる場所を……」


川に落ち後、浅瀬まで流された僕はすぐに倒れていたファリスちゃんを発見した。

気を失っていた彼女の体は完全に冷え切っていて今も小刻みに震わせている。


今は意識はあるが、朦朧としている状態だ。


歩き続けること30分ほど。

僕はようやく岩が重なり合った大きな洞窟らしき場所を見つけた。


ゴクリと息を呑む。

中に魔物とかいたら、ここでゲームオーバーになりかねない。

だけど、これ以上、ファリスちゃんをこのままにしてしまうと体に障る。


僕は意を決して洞窟の内部へと入った。



角の立つ岩をよけつつ、洞窟の中を歩みを進める。

大きく開けた場所に出た。

運がいいことに、ちょうど天井には穴が空いていて星の光が差し込んでいる。

これなら焚き火をしても問題なさそう。

地面も砂が溜まっていて柔らかく、ファリスちゃんを寝かせられた。


「ごめんね、服を脱がすよ」


このまま濡れた服を着ていたら洞窟内の肌寒さから、さらに体が冷えてしまう。

後で殴られることを覚悟で、僕はファリスちゃんを仰向けに寝かせて紫色の着物を脱がせていく。


帯を緩めて交差した襟をはだけさせて脱がせた。

中には黒のスポーツブラのような見た目の下着と黒のショーツを履いてる。


「さ、さすがにこれはこのままでいこう」


これらを脱がせたら、恐らく僕は殺される。

あとは足にあるブーツだけを脱がせた。


「問題は火をどうするかだけど……」


川の流れの激しさで火打石の入った袋はどこかにいってしまった。

火を起こそうにも手がない。


いや……、


「もしかして『炎歪フレイム・ディストーション』って使えるかな?」


僕は少しの間、この場所を離れて小枝を探した。

そして、いくつか集まると手を当てる。


「『炎歪フレイム・ディストーション』」


小枝に細かく熱線が入る。

恐らく内部は燃えているから、すぐにダガーで切り込みを入れれば……。

予想通り内側から火が上がり、徐々に燃え広がっていった。


「やったぞ!まさか、こんな使い方ができるなんて!」


僕の『炎歪フレイム・ディストーション』は使えないと思っていたけど、役に立つじゃないか。


小枝は瞬く間に燃えていく。

僕は全て燃え切る前に沢山の木や枝をかき集めてきた。

火はみるみるうちに強くなって暖かさが増す。


これならファリスちゃんの体もすぐに熱くなるはずだ。



だけど気になることもある。

なぜ、僕は寒さが平気なのか?

確かに"冷たい"、"寒い"という感覚はあるが、別に震えるほどではない。


「もしかして、あの時かな?」


僕はすぐにギルドカードを取り出してみる。

あの時、確認し忘れていたのを思い出したのだ。



_______________


【獲得スキル】


・『炎歪フレイム・ディストーション

・『耐寒コールド・プロテクト』(常時発動)


_______________



やっぱり増えてた。

多分、これはイヴが持っているスキルだ。


ハッキリしたのは"対象の従属レベルを上げれば、その対象の持つスキルを自分も持つことができる"ということだ。


言うなれば『複写トレース』といったところか。


これなら、もしかすれば"スキル富豪"とかにもなれちゃうかもしれない。

僕の力はやっぱり両親が信じてくれたように大器晩成型だ。



でも今、大事なことはファリスちゃんを守ることだ。

そう思って彼女に触れる。


すると、


「……あったかい」


そう、かろうじて意識があるファリスちゃんが言った。


「そうか、僕の体は耐寒状態だから」


僕も着ていたずぶ濡れの服を脱ぐ。

そしてファリスちゃんを抱き寄せて焚き火の前に座った。

彼女も自ら"熱"を求めて、両手を僕の背中へとまわす。

その小さな胸から心臓の鼓動が伝わり、吐息が僕の肌を優しく撫でた。


「"かんざし"、大事にしてくれてたみたいだね」


「……はい、殿方からの……初めての贈り物ですので」


「僕も初めてなんだ、女性へのプレゼント」


「……嬉しい」


ファリスちゃんの顔は僕のちょうど胸のあたりにあって表情は見えない。

だけど胸に当たる息使いで、今どんな感情にあるのか手に取るようにわかった。


「君は僕が必ず守るよ」


そう呟くと下半身に生暖かさを感じた。

彼女は静かに放水し、音もなく僕の股と地面を濡らす。


「ごめんなさい……わたし……」


「いいんだ、ずっと我慢してたんだよね」


僕は強くファリスちゃんを抱きしめた。

それに応えるように放水の勢いは増す。



すると、突然どこかで声がした。


【従属レベルが上がりました】


左手の甲に激痛が走る。

"黒竜の紋章"は血を滲ませていた。


さらに声は続く。


【新たなスキルを獲得しました】


また新しいスキルの獲得。

もしかして、今度はファリスちゃんの持ってるスキルを『複写トレース』したのか?


僕は彼女を抱いたままギルドカードを確認する。


「これは……」


すぐに分析が始まった。

今回の従属レベルのアップによってファリスちゃんから『複写トレース』したスキルは今の僕にとって最高のスキルと言っても過言ではない。


「そうか……そういうことか」


この時、僕は転生前に見ていたアニメ、"重装機神ライゼスター"の()()()()()を思い出していた。

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