初パーティー
最悪だ。
僕が目を覚ましたのは例の休日から一週間後だった。
あの時、気を失った僕を借宿に運んでくれたのは以前の仕事の依頼者。
コツコツと町の小さな依頼を受けて解決していたおかげで住民達からの信頼を得ていたようだ。
というのはいいのだが……問題は未だに仕事ができない状態にあるということ。
余裕ができたと思って休みをとったことがアダとなり、僕は金銭苦へと逆戻りしてしまった。
現在は体が重くて仕事ができる状態ではない。
これには恐らくスキルが関係していると思われる。
あの日、ランジェリカさんにスキルを使った後にレベルが上がった。
今回の成長は明らかにいつもとは違う。
僕は起きてから数日後、ようやくギルドカードを確認した。
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スキル 『従属』・・・ランクF
効果・・・・対象を一定時間、完全従属状態にする(効果時間中、対象はスキル使用者から離れない)
効果解放レベル(最大1%#0>.,°)
レベル1・・・・【従属対象への絶対命令権を得る】
レベル2・・・・【従属中、対象を願望欲情状態にする】
レベル3・・・・【対象の願望欲を満たすことで対象に従属レベルを付与する】
レベル4・・・・【対象の従属レベルが上がるようになり、レベルが上がる度に様々な効果を得る】
レベル5・・・・???
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「やっぱりレベル3だと"従属レベル"を付与するだけで上がらなかったんだ」
だけどレベル4の説明書きの"様々な効果を得る"とはまた漠然的すぎません?
これだと一体、どんな効果なのかわからないし、そもそもレベルが上がったことをどうやって確認するの?
やはり謎の多いスキルである。
わからないことを考えても仕方ないし、今は体を休めて早く仕事に復帰できるようにしよう。
それから結局、僕の体調が万全になったのは気絶してから三週間が過ぎたあたりだ。
宿代を払うには少し無理して働かなければならない。
僕は1日、2つの仕事を受けてクタクタになるまで働く毎日。
そのせいでアリカさんと戯れる時間など無く、"従属レベル"というものも確認することもできずにいた。
そして……この町に到着して約半年が経った。
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春が夏に変わる季節。
いつも通り、僕は早朝から眠気眼を擦りながらギルドへと向かった。
空は快晴。
絶好の仕事日和だ。
僕は冒険者ギルドに到着と同時に話しかけられる。
「久しぶりだね、シオンくん」
「あ、どうも、お久しぶりです」
短い金髪、青色の鎧を身に纏った青年。
"ブルーだけどレッド"ことゼイバーさん。
いつ見てもイケメンだ。
「最近、見なかったけど何かあったのかい?」
「いやぁ、少し体調を崩してまして……」
「一ヶ月近くも?」
「ええ……」
なぜかゼイバーさんは少し怖った。
何か余裕が無いといった様子。
僕は頭を掻きながら続ける。
会話に間が空くことを恐れたのだ。
「なので、最近は宿代を払うのに大変なんです」
「そうか。そういえば君とはまだパーティーを組んだことがなかったね。どうだろう、シオンくんさえよければ魔物討伐に一緒に行かないか?」
「え……魔物討伐ですか?」
「君がいつも受けてるような、お手伝い程度の仕事よりも稼ぎはいいと思うよ」
「で、でも、実は僕、まだ戦闘は未経験で……」
「大丈夫。私がしっかりバックアップするよ」
そう言って、ようやく笑顔を見せた。
この町に来てからゼイバーさんと一緒に……というより他の冒険者も含めて誰ともパーティーを組んで仕事をしたことがなかった。
この機を逃せば一生、パーティーを組むことは無いかもしれない。
なにせ僕は"ギルド最弱の冒険者"だ。
この先、どこへ行っても僕とパーティーを組もうなんて誰も思わないだろう。
「僕でよければ……」
「じゃあ決まりだね。この辺なら樹海がいいだろう。出現する魔物もあまり強くはないからね」
「迷わないですかね?」
「奥は迷路のようになっていると聞くが、そこまで行かなければいいだけさ」
こうして僕はゼイバーさんと初めてのパーティーを組むことになった。
向かう先はいつも薬草採取をしている樹海であるが、今回は少しだけ奥に進んでみる。
不安はあるが、もう1人の勇者候補のゼイバーさんとなら何かあっても大丈夫な気がした。
ゼイバーさんは絶対に仲間を見捨てたりはしない。
この時の僕はそう思っていた。




