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それは川の流れのように

西の樹海はラーグ・グレイスの町からさほど離れてはなかった。

だいたい歩いて30分ほど。

この樹海の入り口で薬草の採取という簡単なお仕事だ。


最初は"ギルド最弱"という汚名にピッタリということで、アリカさんが選んだものだと思っていた。

しかし、ポジティブに考えれば弱い僕にでもできるような仕事を探してくれたとも思える。


「アリカさんの優しさなのかなぁ」


そうであったら嬉しい……という希望ではあるけど、別れ際の対応を見る限り可能性はゼロではないだろう。


とにかく今日はすぐ仕事を終わらせてギルドに戻ろう。



_______________




僕は木々が生い茂る樹海の前にいた。

天候は快晴で生温かさがあって気持ちがいい。


「絶好の採取日和だね」


僕は樹海の入り口を確認する。

入り口って多分、ここだと思うけど。

そこは木々の間が横5メートルほど空いていた。


僕は恐る恐る、樹海へと足を踏み入れる。

内部は小鳥の囀りが聞こえるだけで魔物の気配は感じない。


「そういえば魔物って見たことないな」


勇者を目指すとなれば避けては通れないはずの魔物戦だが、僕はステータスが弱すぎるので出会った瞬間に逃げる必要があるだろう。


「これじゃあ、一生かかっても魔王討伐なんて無理だよなぁ」


ゼイバーさんが言ってたように前向きには生きたいけど、成長性が無いステータスの場合はどうしたらいいんだろう。

だって前に進めないわけだからさ。



くだらない思考を繰り返していると、狭い木々の間に影が見えた。


「も、もしかして魔物か!?」


僕はすぐに腰に差したダガーへと手を伸ばす。


すると、すぐに影は姿を現した。


女の子だ。


短い黒髪を後ろで結っている白い肌の女の子。

年齢は僕と同じくらいかな?

服装は……何やらノースリーブで紫色の着物のようなものを羽織っている。

帯下がミニスカートのようになっていて、中がどうなっているかわからないが恐らくショーツだけかな?

胸元は山がなく平らだ。

後ろ腰には短刀を差していた。


格好は"くの一"といった見た目。


「誰だ、お前?」


女の子は鋭い視線を僕へと向ける。


「ぼ、僕はシオン。冒険者で仕事でここにいるんだ」


「シオン……ああ、もしかして"ギルド最弱"って言われてるやつか」


「え?」


「"最弱シオン"は有名だよ。勇者候補の刻印を自分で体に彫ったっていう、おバカさん」


言って女の子はケラケラと笑っている。


「たまにいるみたいだけど、わたしは初めて見たわよ。そんなバカ」


「いや、これは生まれつきなんだけど……」


「はいはい。でも最弱勇者候補さまはステータスが弱すぎるから、どうせ薬草採取でも受けたんでしょ?」


「……」


「奥まで行かないほうがいいわよー。ここは迷路みたいだし、深層にはそれなりの強さの魔物がいるから……って言っても、ラーグ・グレイスにいる冒険者は誰も負けないと思うけど。あんたを除いてね」


またケラケラと笑う。

彼女は気分良さそうに、わざとらしく僕の横を通り過ぎる。



この時、僕の頭にある考えが浮かんだ。


(試してみようかな)


馬鹿にされて嫌な気持ちになったけど、それ以上に"実験"してみたくてたまらない。


僕は彼女が横を通り過ぎて、少ししてから小声で言った。


「『従属オビディエンス』……」


「……あ、あ……」


女の子は僕の目の前で立ち止まった。

背中を向けたままたたずんでいる。


「どうしました?」


「……ま、まずい……わたし……もう……」


彼女は両太ももの地肌を擦り合わせ始めた。

そして、ゆっくりと振り向く。

顔は赤く、とろけたような表情を浮かべている。


この子の状態を見るとスキルが効いていることは確かだ。


「もう……ダメです、耐えられません、わたし……」


「何がです?」


「も、もうダメ!……申し訳ありません!」


そう言いながら足を肩幅まで開き、外股でしゃがみ込む。

着物の下を捲り上げると、大人っぽい黒のショーツが見えた。


そして女の子がショーツを指でずらした瞬間、"それ"が始まった。


さらさらと川が流れるような音が樹海に響き渡る。


「あ、ああ……わ、わたし……わたし……」


甘い吐息が漏れる。

その表情は幸せそのもの。

顔を赤らめて笑みを溢す。


「ごめんなさい……わたし……我慢できなくて……」


彼女は満足そうな笑顔の中に涙を見せた。

それが放水と相まって、美しく、かつ下品で僕はとても心打たれた。


先ほどの強気な態度は全く無い。

彼女は完全に『従属オビディエンス』された。



放水が続く中、僕は彼女の前で片膝を着く。

そして優しく頭を撫でてあげた。


「よーし、上手じょうずに、しーしーできたねー。いい子、いい子」


女の子は撫でるごとに呼吸が荒くなり、放水が小刻みになる。

多分、すごく嬉しいんだと思う。


「あ、ありがとうございます……わたし……今、とっても幸せ」


「それはよかった。君のお名前はなにかな?」


「わたしファリス……」


「ファリスちゃんかぁ。かわいいお名前だね」


「褒めてもらって嬉しいです。……ああ、わたし……お兄様以外に……おしっこ……見られちゃってる……」


「もしかして僕に見られるのは嫌かな?」


「いえ……とっても気分がよくて、幸せ」


「そうか、よかった」


僕は放水をし続けるファリスちゃんと見つめ合いながら優しく頭を撫でる。

もう足元には水溜りができていた。

小さい体なのに、こんなにいっぱい溜め続けていたら我慢できなくて突然だ。


「今度からは我慢せずにね。我慢は体に悪いからさ」


「はい……承知いたしました」


「ファリスちゃんはいい子だねぇ」


「えへへ……」


ようやく放水が止まる。

すると彼女の表情はみるみる青ざめていった。


「わ、わたし……何を……やってたの?」


「え?何って、おしっこ」


僕の発言を聞いた瞬間、ファリスちゃんは、


「ぎゃあああああああ!!」


そう大声で悲鳴を上げながら猛ダッシュで樹海を出て行った。


僕は首を傾げた。


「あれ?アリカさんの時と反応が違うな」


もしかしてファリスちゃんの願望を叶えられてなかったのかな?

そうなれば【従属レベルの付与】はできていないことになるが……。

そもそも"従属レベル"ってものが何なのかわからないから、そこも調べたいところ。


でも、わかったこともある。

このスキルは人間に効果があるということだ。

そして今回、レベルが上がらなかったところを見るとレベルアップには一定の経験値が貯まらないといけないのだろう。


「まぁ詳しいことは後で考えよう。まずは仕事しないと!」


もしかすれば帰ったらアリカさんとのたわむれで、また色々とスキルのことを調べられるかもしれない。


知りたいことはまだまだある。


僕は気を取り直して薬草採取を始めた。

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