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A級冒険者パーティー "ホワイト・イーグル"

僕とディアナ、グレシアさんの3人はギルド内にある談話スペースとして設けられたスツールに腰掛けた。

受けた依頼が他パーティーと合同クエストってことで待ち時間があるからだ。


雨がギルドの屋根を強く叩く。

これってもしかしてグレシアさんの影響?

僕の正面に向かい合って座る彼女は緊張の面持ちだ。


「グレシアさん、大丈夫?」


「は、はい……」


大丈夫ではなさそう。

その表情から読み取れるのは不安感。

不安感な気持ちが影響して雨が強く降っているみたい。


「何かあれば気軽に言ってね。抱え込んだままだと戦いに迷いが生じて、みんなが危険だからさ」


「そうですね……実は私、Bランクの依頼なんて受けたことないので緊張してしまって」


「僕も受けたことないよ」


「え?」


「もちろん僕の隣に座ってるディアナさんも」


「アタシはそもそも冒険者の仕事なんてやったことないっす」


ぶっきらぼうに答える。

そんなディアナの発言に驚くグレシアさん。


「みんな一緒だよ。だけど僕もディアナさんも何があってもグレシアさんのことを守るから大丈夫」


「主人様にここまで言わせてるのに、そんな顔するなよ」


「は、はい……"あるじさま"って?」


「この方はアタシの主人様だ。主人様から目をかけてもらえるんだから有り難く思うことだな」


「わかりました……」


ディアナに言いくるめられたぞ。

しかし困惑はしているようだ。

冒険者が従者らしき者を連れているなんて、あまり見慣れないよな。


でも屋根に当たる雨音は小さくなった気がする。

少しは安心できたようだ。


そんなやりとりをしているとギルド内が"おお!"という声で包まれた。


何事かと思ってギルドの入り口付近に視線をやると、なにやら異彩なオーラを放つパーティーが入ってきた。


3人組で明らかに他の冒険者とは違う。


"マジか、ホワイト・イーグルだ"


"あれがリーダーのカイネン・マーティア……お美しい"


"東部で数少ないA級冒険者の3人がお出ましとはな"


A級冒険者の3人?

全員がA級冒険者のパーティーなのか。


先頭を歩くのが"カイネン"と呼ばれた女性だろう。

年齢は20代ほど。

緑色の長い髪、白くスマートな鎧に身を包み、太もも丈の白いスカートを履く。

腰には女性が扱うには重そうなロングソードを差していた。


後ろを歩くのは重厚な銀色の鎧を纏った巨漢の若者。

巨大な盾を背負い、腰にはメイスを差す。

キリッとした表情で威圧感がある。


さらに隣は長い黒髪の若い女性。

ぴっちりした黒色のローブと黒の大きな三角帽子、手には大きな杖を持っている。

おっとりした顔のお姉さんタイプだ。


確かに他の冒険者が言うようにリーダーの"カイネン"という女性は綺麗だった。

背はあまり大きくはなく見えるのは、他の2人が背丈があるからだろう。


A級冒険者パーティー、【ホワイト・イーグル】は何の迷いもなく受付カウンターまで一直線に向かった。



「すごいです!私、憧れてるんですよ!」


目を輝かせながら言ったのはグレシアさん。

僕の励ましの言葉よりもホワイト・イーグルを一目見た感動でテンションが上がったらしい。

屋根を打つ雨音が聞こえんぞ。


まぁ、でもA級冒険者となんて関わることはないだろうから僕たちには関係ないかな。

とは言っても気になって視線がいっちゃうね。


しばらく受付嬢さんと会話していたカイネンさんたち。

すると、なぜかチラチラと僕たちの方を見る。


そして受付カウンターから離れて、颯爽とこちらに向かってきた。


「な、なんだ……?」


僕らのテーブルの横に立った女性。

それはもちろんカイネンさんだった。


「あなた達がブラック・ドラグーン?」


「は、はい」


「私は"カイネン・マーティア"。ホワイト・イーグルのリーダーよ」


「どうも……」


「えーと、このパーティーのリーダーは?」


「僕です。シオン……シオン・ブラックドラグーンと申します」


「そう、なんだか……いえ、なんでもないわ」


絶対、"弱そう"って言いかけたな。

カイネンさんのため息混じりの表情が全てを物語ってるぞ。


「あなた達が受けた湿地帯の調査依頼、私たちも同行させてもらっても、よろしいかしら?」


周囲の冒険者がざわついた。

まさかA級冒険者のパーティーがBランクの調査依頼を受けるのか。

それにしてもカイネンさんは随分と言い回しに教養を感じる。


「大丈夫ですけど……」


「それならよかった。じゃあ早速、行きましょう」


「え?」


「どうかした?」


「いえ、他のパーティーを待たないのかなと思いまして」


僕が言うとカイネンさんの背後にいる重厚な鎧の巨漢が呆れた様子で口を開く。


「調査程度なら俺たちだけで十分だ。君たちが足を引っ張らなければな」


「はぁ……」


さらに隣にいるグラマラスな魔法使い風のおっとりお姉さんも続けた。


「私たちがいれば大抵の魔物は何とかなりますから安心して下さい」


そう言ってニコリと笑う。

3人からは歴戦の猛者の風格が漂っている。

この自信満々の余裕っぷりは見習いたいな。


「前衛は私たちがやるから、あなた達はバックアップに徹してくれたらいいわ」


「はい……」


「もし何かあったら撤退しても大丈夫よ。私たちは魔獣の討伐経験もあるから」


完全に立場は彼女達の方が上だった。

まぁ、僕は冒険者としての実績はほとんどないから当然と言えば当然ではあるんだけど。


こうして僕たちブラック・ドラグーンとカイネンさん率いるホワイト・イーグルは調査依頼を受けて北の湿地帯へと向かうことになった。

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