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東部中央の町 レヴォン・バレイズ

快晴の荒野、そこから抜けると一転して雨。

どうやら今の時期、気候が安定していないらしい。

それにしたって降り過ぎな気もするけど。


小雨の中。


ようやく僕は辿り着くことになる。


東部中央の町"レヴォン・バレイズ"


この東部で最も大きな町。

町を囲うように円形状に積み上げられた石壁は高さ15メートルほど。

建ち並ぶ家屋はどれも大きい。


人の出入りはエヌス・ヤタの比にならない。

冒険者や商人、貴族、老若男女、問わずだ。


ここは大まかに4つの区画に分かれている。


北区、南西区、南東区、中央区。

それぞれ住む人間の階級によって分かれている。

ちなみに中央区というのが冒険者や商人が寝泊まりする宿が多いところらしい。


しかし、これは想像以上の大きさだ。


「これは迷子になりそうだ」


すると隣に立ったセシルが町を見渡しながら呟くように言った。


「これが全て主人様のものとなります。楽しみですね」


「え……?」


「本当はもっと早く獲れるんですけど……武力で」


「まぁ、そうでしょうね」


僕が使役している魔神は3人。

"フレイムネクロマンスのイヴ・ガルハート''。

"フロストタクティションのセシル・アクアリュウム"。

"ライトニングエフェクトのディアナ・ボルティクス"。

恐らく、この3人を前線で戦わせれば一瞬にして町は陥落することだろう。


「僕は平和的に進めたいな」


「そう上手くいけばいいですが」


「どういうこと?」


「最初はランジェリカさまを上手く使えば簡単に獲れるかと思いましたが……どうも、それは怪しくなってきました」


「怪しい?どうして?」


「この町のアヴァロ魔鉱石が機能していません」


「それって……魔除けの効果が、ってこと?」


「はい。私やディアナにとっては好都合ですが、これは意図的のようです。誰が何のためにこんなことをしているのか……」


そんなことができる人間となれば、やっぱり町のリーダー?

ということは"リリー家"ってことか。

セシルが言うように何のためになのかは不明だ。


「何にせよ警戒は怠らずいきましょう。もしかすれば、こちらが一方的に倒される可能性もあります」


「そうだね」


「とりあえず、主人様の紋章は隠した方がよいかと思います。あまり目立つ行動は控えましょう」


「それは構わないよ。目立つのは得意じゃないからね」


「では、これを」


セシルは僕に黒い皮のグローブを手渡してきた。

なかなか厨二心をくすぐる。


「主人様はこういうのがお好きだと思いまして」


「セシルさん、わかってるね」


僕は左手にグローブをつけた。

サイズはぴったり。

さすがセシルの裁縫能力は高い。


「それでは敵陣に参りましょう」


「いきなり緊張するなぁ」


「警戒に緊張感は大事です」


「確かに」


会話を終え、レヴォン・バレイズの門を潜って町に入った。

そこは広場になっていて、その中央に大きな"銅像''が建てられてある。


僕は気になって、人混みを掻き分けながら銅像に近づく。


「これって……」


どう見ても【女神像】だ。

天に手を掲げるポーズをした女神の銅像。


すると、女神像付近で会話する2人の男性の姿が目に入る。


その男性たちは完全に見た目が両極端だった。

一方が"細身で背が高く"、もう一方は"小太りで背が小さい"。

どちらも30歳前後といったところか。


それにしても、なんか見覚えがあるぞ……。


「アニキ、これ持っていけないっすかね」


小太りの男が言った。


「我が弟はバカなのか!?こんなデカいもの運べるわけないだろ!」


細身の男が言った。

どうやら、この2人は"兄弟"のようだ。

全く似てないが。


「でもでも、孤児院の女神像は壊れてるしさ、これを持っていけば、みんな喜ぶと思うんだよな」


「だから、これをどうやって孤児院まで運ぶんだよ!こんなデカいものを運ぶなら"ディガンデス"の勇者スキルでもないと無理だろうが」


「えー、あいつ嫌い」


「オレだって嫌いだよ。どっちにしたって、こんなもん持って帰ったらボスに怒られるだろ」


「そう……だね……」


「さっさと仕事を済ませて町を出るぞ」


「わかったよ……アニキ」


会話を終えると"細身の男"と"小太りの男"の2人組は人混みに消えていった。


やはり見覚えがあった。

特にあの"細身のノッポ"の方だ。

多分、どこかで会ってる……気がする。

でも、どこかまでは思い出せなかった。


最近は出会いが多いからなぁ。

住民の顔と名前を覚えるだけでも大変なのに、そこに新入社員やらなにやらでもうわけがわからない。


勇者スキルがどうとか言っていたけど、僕には関係ないだろう。

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