↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/109

東部中央へ出発・当日(1)

雲は流れて快晴。

昨日の雨で肌寒さは残る。


東部中央への出発の日ではあるが、その前に僕はどうしてもやりたいことがあって出発時間を昼頃にしてもらった。


向かう先は、このエヌス・ヤタで最も人が集まるであろう場所。


"食い倒れ地区"だ。


"総司令官"兼"料理長"のイヴ・ガルハート監修で作られたB級グルメを取り扱う屋台が立ち並ぶ道。


「この場所にしばらく来れないとなると、やっぱり食べておかないとな」


僕のお気に入りはやっぱり、"どろり濃厚テリヤキミートバーガー"だ。

あの見るからに『体に悪そうなフォルム』が、なんとも食欲をそそる。


思い出しただけで口に唾が溜まるね。

それをゴクリと飲み込むと同時に視線が屋台へ。


「ん?」


テリヤキミートバーガー屋の前にいる1人の女性が目に入る。


なにやらキョロキョロと周りを見ている褐色肌の女子。


それはショート丈の黒ジャケットに黒のショートパンツ、頭には白のターバンを巻いたオレンジ色の髪の女性だった。


「ディアナさん?」


「え?」


やっぱり。

僕の護衛役である魔神ディアナ・ボルティクスだ。


「なぜ、ここに?」


「いや……別に……主人様こそなんでここにいるんです?」


「この店のミートバーガーを食べに来たんだ。もしかしてディアナさんも?」


「うん……まぁ、そうです……」


歯切れの悪い返事だな。

何かあるのか?


「何か隠してる?」


「いえ……ただ、こんなの食べるのって女の子っぽくないかなと……」


「そんなことないと思うよ。だってランジェリカさんもサラさんも美味しいって言ってたからさ」


「そうなんですか!?それならいいか……」


ディアナは人目を気にしながらも、"どろり濃厚ミートバーガー"を買おうとしていたようだ。

こういう恥ずかしがるところってギャルっぽくないよなぁ。


「そんなことより、なんで僕のそばを離れてるの?」


「どういうことです?」


「ディアナさんは僕の護衛役じゃないですか」


「そ、それは……」


ここ最近、彼女は僕の目の届かないところで行動している。


スキル効果で『効果時間中、対象はスキル使用者から離れない」ってなってるけど、これにも"隠しルール"があるみたいだからなぁ。


例がファリスちゃんや三人娘。

その効果を受けずに僕の元から去った。


多分、願望欲よりも優先したい"何か"があるのかもしれない。


もしかしてディアナもそうなのか?


「何かあるの?」


「……だって主人様、いつもイヴといるじゃないですか」


そう不貞腐れた態度で言った。


「いつもではないけど……」


「アタシからしてみたら、いつもですよ。夜だってあんな激しく……」


「え?」


「いえ、なんでもないっす」


夜って、まさか僕らの"愛の行為"をご存知で?

確かに"行為の音"と"イヴの声"は高らかに部屋に響いてるから、外まで聞こえているのかもしれない。


じゃあ、もしかしてランジェリカさんも知ってるのか……。

彼女が"不安"になったのってそれが原因だったりする?


僕は途端に怖くなって考えるのをやめた。


それはさておき、だからって護衛をサボる理由にはならないでしょ。


「ディアナさんって、もしかしてイヴのことも嫌いなの?」


「まぁ、気に食わないっすね」


突然、ヤンキーみたいなこと言い始めたぞ。

不良が親や先生のことが嫌いなのと同じ理論だ。


その理由は、


「なんだかよくわからないですけど、気に食わないっす」


という自分でも理解していないというもの。


「なるほど。ちなみに今からディアナさんが食べようとしているテリヤキバーガーを作ったのはイヴさんです」


「えぇ!?……あいつ……夜はあんな女の子みたいな声出して、料理まで……なんで、あんな男みたいな性格のやつが……」


やっぱり聞こえてたんだな。

でも、これでハッキリした。

これは紛れもなく"嫉妬"だ。


僕の印象ではイヴとディアナはよく似ている。


イヴはいい意味でも悪い意味でも女の子っぽくない。

普段の声は低いし、主人に対しての忠誠心から規律を重んじるゆえに人に厳しくて攻撃的。


だけど夜に僕と2人で過ごす時だけは女の子になっちゃう。


ディアナはそんなイヴが羨ましいんだ。

自分が一番、女の子っぽくないと思っていた仲間が、逆に一番、女の子っぽくなっちゃってるからね。


これはセシルよりもイヴに対しての方が嫌悪感があるな。


この対策はひとつしかない。


「ディアナさん、東部中央にはイヴさんは一緒に来ないよ」


「え……?」


「セシルともう一人、僕の従者がついて来るけど野宿のテントの中では僕とディアナさんしかいない」


「な、なるほど……それって……?」


「目的地に到着するまで、僕たち夜は二人っきりだね」


僕はニコリと笑った。

するとゴクリという喉の音が聞こえる。

もちろん鳴らしたのはディアナだ。


目が泳いでるぞ。

でも、これでディアナも自信を持ってもらえたら嬉しいな。


今夜の戯れは少し激しくいこう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。