エピローグ:あなたの隣で、輝き続ける
──数年後
マリレーヌの家からの帰り道、リュシエンヌは息子の手を引き、話に花を咲かせていた。
「おかあさま、今日もわたしのあいはうけいれてもらえませんでした……」
「ふふふ、本当にラウルはマリレーヌ様のことが好きなのね」
元王太子妃マリレーヌは国の暮らしに慣れ、自立し生活していた。
時々、リュシエンヌは息子ラウルを連れて彼女に会いに来ていた。
「としのさがありますわと言われましたが、わたしはマリレーヌさまとけっこんしたいのです」
「素直に愛を表現できて、あなたは素晴らしいわ」
かわいらしい悩みに、リュシエンヌは穏やかに微笑む。
すると、急に後ろが騒がしくなった。
「キャー!! ひったくりよー!」
何事かと声のする方に振り向くラウルの手を握り直すと、リュシエンヌはタイミングよくその場にしゃがみ込み、その長い足をすっと横に出した。
「ぐわあっ!!」
何かにつまずくというよりは、リュシエンヌに足払いされた窃盗犯は勢いあまってすっころんだ。
騒ぎを聞きつけていた男たちがすぐに窃盗犯を取り押さえるのを確認すると、リュシエンヌはラウルの手を引き、再び歩き出した。
「──ということがあったのです! おかあさまはかっこよかったです!! ……おとうさま? きいてますか?」
話を聞いていたヴィルジールは小刻みに震えている。
「リュ、リュシエンヌ!!」
「はい」
呼ばれたから返事をしたといった様子のリュシエンヌに、ヴィルジールは懇願した。
「頼むから、危険なことはしないでくれ! 君はいま一人じゃないんだから!!」
「大丈夫ですよ。無事でしたよ?」
「そういうことじゃない! 君を失うかもしれないなんて、私が! 耐えられないっ‼」
「……そうですか。なら、気をつけます。……あなたのそんな顔は、見たくないので」
リュシエンヌはすっと視線を下に落とす。
視線の先のまん丸に膨らんだお腹に手を当てる。
ヴィルジールはリュシエンヌの横に座ると、その手にそっと手を重ねた。
リュシエンヌは思う。
私は、──あなたの隣だから輝けるの。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
リュシエンヌとヴィルジールのその後、
そして穏やかな日常まで見届けていただけて、とても嬉しく思います。
この物語が、少しでも心に残るものであれば幸いです。
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そしてここからは少しだけお知らせになります。
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婚約破棄から始まる物語で、
傷ついた令嬢が、静かに愛に満たされていくお話です。
今回の作品と同じく、
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今後も物語を書いていきますので、
またどこかでお会いできましたら幸いです。
本当にありがとうございました。




