表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青春病。  作者: 翠吉
PR
9/52

ゲームの中心

「次、入るぞ」

軽い声。

思ってたより、あっさりしていた。

コートに入る。

挨拶。

ポジションに着く。

(……え、もう?)

準備する間もなく、笛が体育館に響く。

相手チームからボールが打ち出される。

速い。

全てが速い。

ボールがあがる。

打つ。

拾う。

繋ぐ。

全てが一瞬で瞬きできない。

「ナイス!」

ベンチから声が飛ぶ。

必死にボールを目で追う。

ドリンクを持っていた手が汗に湿る。

ボールが落ちそうになる。

守屋が滑り込む。

そのボールを凛太郎が触れた。

と思った瞬間には、もう離れていた。

水谷先輩のの前。

ぴったり、そこにくる。

踏み込む。

振り切る。

強くは無い。

それでもボールは誰もいない場所に落ちた。

「ナイッスー!」

次も同じ。

同じようなボール。

でも、少しだけ低い。

ブロックが間に合っていない。

また、ボールが落ちた。

(……なんでだろ)

見た目は全て同じ。

なのに

ほんの少しずつ違う。

高さ。

速さ。

位置。

その全てが少しブロックの外にある。

水谷先輩は、力任せに打たない。

コートを見て、誰もいないところに上手く打つ。

(……うまい)

後で思い返せば、それは全部繋がっていた。

守屋先輩が拾う。

ギリギリのボールでもちゃんと次に繋がるボールだ。

水谷先輩が決め切る。

でも、

その全ての中心に凛太郎がいた。

トスが上がるたび、相手は少しづつ狂う。

(……全部見えてる)

そう思った。


「ナイッサー!!」

誰かが声を飛ばす。

凛太郎がコートの奥に下がる。

トンッとボールがあがる。

あ、昨日、あの日に見た。

あのボールだ。

同じ動き

同じフォーム

振り抜く

音が、違った。

バンッ――

空気が弾けた音がした。

何も見えなかった。

気づいた時には、

相手コートにボールが突き刺さっていた。

昨日と同じなのに、同じじゃない。

速さ、重さ、圧

全てが凌駕していた。

「ナイスサーブ!!」

声が重なる。

その中で少しだけ息を吐く。

「……すごい」

やっと声になる。

でもそれ以上に胸に残ったのは

上手く言えない

別の感情だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ