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青春病。  作者: 翠吉
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80/105

王者の領域

ホイッスルが鳴る。

準々決勝。

第一セット。

昨年度王者、白鷹高校との戦いが始まった。

開始直後だった。

白鷹のジャンプサーブ。

ドンッ!!

「速っ……。」

実況が思わず漏らす。

守屋が飛び込む。

「ある!!」

完璧なレシーブ。

神谷がネット際へ走る。

「蓮。」

高いトス。

ドンッ!!

一枚を吹き飛ばす。

しかし。

「ワン!」

白鷹のリベロが床すれすれで拾う。

速攻。

バックアタック。

最後はブロックアウト。

「あっという間だ……。」

実況席が息をのむ。

「これが白鷹高校。」

一点を取るまでの流れに、一切の無駄がなかった。

三対一。

五対二。

序盤からリードを許す。

「焦るな。」

神谷が短く言う。

その一言で全員が落ち着いた。

「杉山!」

速攻。

ドンッ!!

一本返す。

続いて。

「岡田!」

ストレート。

「ナイス!!」

五対五。

あっという間に追い付いた。

観客席がどよめく。

「追い付いたぞ!」

「王者相手に……。」

しかし。

白鷹は表情一つ変えない。

一本。

また一本。

決して派手ではない。

それでも確実に点を積み重ねる。

八対六。

十対八。

十二対九。

「点差が開かない。」

実況が呟く。

「聖明も素晴らしいバレーをしています。」

「ですが、それ以上に白鷹が崩れません。」

神谷は静かにコートを見渡す。

「水谷。」

時間差。

ドンッ!!

次は。

「蓮。」

バックアタック。

ドンッ!!

守屋が拾い続ける。

岡田が繋ぐ。

杉山、小林が何度もブロックへ跳ぶ。

それでも。

十四対十二。

十六対十四。

白鷹は二点差以上を許さない。

「すげぇ……。」

聖明高校の体育館でも声が漏れる。

「こんなにいい試合してるのに。」

「離れない。」

終盤。

二十対十九。

ついに一点差。

「ここだ。」

監督が立ち上がる。

神谷のサーブ。

ドンッ!!

白鷹のレシーブがわずかに乱れる。

「チャンス!」

神谷が跳ぶ。

全員が蓮へ集まる。

その瞬間。

「岡田!」

バックトス。

ドンッ!!

二十対二十。

ついに並んだ。

体育館が揺れる。

「王者に追い付いた!!」

実況も熱を帯びる。

だが。

ここからだった。

白鷹は強かった。

サイドアウト。

サービスエース。

ブロックアウト。

二十三対二十。

「一本!!」

水谷が決める。

二十三対二十一。

蓮が叩き込む。

二十三対二十二。

一点差。

会場全体が立ち上がる。

白鷹のタイムアウト。

戻ってきた王者は、やはり王者だった。

一本目。

完璧なコンビ。

二十四対二十二。

セットポイント。

最後。

神谷が必死にブロックをかわすトスを上げる。

「蓮!!」

渾身の一撃。

ドンッ!!

しかし。

待っていた三枚のブロック。

バシィッ!!

真下へ叩き落とされた。

ピーーーッ!!

二十五対二十二。

第一セット。

白鷹高校。

「……。」

聖明ベンチに言葉はなかった。

それでも誰一人、下は向いていない。

神谷が静かに全員を見渡す。

「まだ一つ。」

その言葉に、全員が頷いた。

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