コートに咲く絆
第二セット。
「ここで決めるぞ。」
水谷先輩の一言で、全員が頷いた。
相手も簡単には引かなかった。
全国の舞台。
ここまで勝ち上がってきたチーム同士。
ラリーは一本一本が長い。
「ナイス!」
「切り替え!」
点差はほとんど動かない。
七対七。
九対九。
十一対十一。
その時だった。
相手エースが高く跳ぶ。
「右!」
ドンッ!!
強烈なスパイク。
杉山先輩と小林先輩が二枚で飛ぶ。
バシッ!!
ブロックには触れた。
だが、勢いを殺しきれず、ボールは大きく後方へ弾かれる。
「やばい!」
誰もがそう思った。
その瞬間。
守屋先輩が一直線に駆け出した。
広告板ギリギリ。
床へ飛び込む。
「まだぁぁ!!」
伸ばした右手が、ボールを捉える。
パシッ!!
高く押し返されたボールがコート中央へ戻る。
「ナイス守屋!!」
神谷先輩が駆け込む。
体勢は苦しい。
それでも迷わない。
「岡田!」
バックトス。
ドンッ!!
一直線にコートへ突き刺さる。
「よっしゃあ!!」
体育館が大きく沸いた。
「今の繋ぐのかよ!」
「リベロ半端ない!」
他校の選手たちからも驚きの声が漏れる。
その一本で流れは聖明へ傾いた。
「杉山!」
神谷先輩の速いトス。
ドンッ!!
完成する前のブロックを打ち抜く。
「ナイス!!」
続く一本。
相手エースが再び跳ぶ。
「来る!」
小林先輩がタイミングを合わせる。
ドンッ!!
真正面で止めた。
ボールは相手コートへ叩き返される。
「ワンシャット!!」
ベンチが総立ちになる。
「小林ナイス!」
守屋先輩が真っ先に駆け寄った。
岡田先輩も止まらない。
神谷先輩のトスを、今度はクロスへ打ち抜く。
ドンッ!!
ライン際いっぱい。
「よし!!」
観客席から拍手が起こる。
「二年生すごいな。」
「三年生だけじゃない。」
「来年も絶対強いぞ、聖明。」
そんな声が自然と聞こえてきた。
私は思わずノートを書く手を止めた。
嬉しかった。
三年生が築いてきたものを。
二年生が確かに受け継いでいる。
神谷先輩は静かに頷く。
「いいぞ。」
その一言だけだった。
でも、岡田先輩も、杉山先輩も、小林先輩も、守屋先輩も。
全員が笑っていた。
聖明高校。
今だけじゃない。
このチームには、来年へ続く強さも、確かに育っていた。
流れは完全に聖明高校だった。
守屋先輩の執念のレシーブ。
岡田先輩の一撃。
杉山先輩の速攻。
小林先輩のワンシャット。
二年生たちが全国の舞台で躍動する。
「ナイス!!」
三年生も自然と笑顔になる。
十三対十。
十五対十一。
少しずつ点差が開いていく。
だが、相手も三回戦まで勝ち上がってきたチーム。
このまま終わるはずがなかった。
「一本!」
相手エースが強打を決める。
さらにサービスエース。
十六対十四。
流れが少し変わる。
「落ち着け。」
神谷先輩の一言。
その声だけで、全員の表情が変わった。
「岡田。」
バックトス。
ドンッ!!
迷いのないストレート。
「ナイス!!」
十八対十五。
次は。
「杉山!」
神谷先輩の速いトス。
相手ブロックが跳ぶ前。
ドンッ!!
「速すぎる!」
実況席からも思わず声が漏れる。
十九対十五。
「もう一本!」
守屋先輩のサーブ。
相手が崩れる。
返ってきたチャンスボール。
神谷先輩が跳ぶ。
全員が蓮先輩へ視線を向けた。
三枚ブロック。
「小林。」
クイック。
ドンッ!!
「決まったぁ!!」
二十対十六。
「ナイス小林!」
ベンチが盛り上がる。
関係者席。
全日本U-18男子代表監督は静かに腕を組んだ。
「二年生もいい。」
「来年も全国で戦えるチームだ。」
隣のスタッフも頷く。
「育成ができていますね。」
試合は終盤。
二十一対十八。
二十二対十九。
あと三点。
「一本ずつ。」
水谷先輩が全員を見る。
その言葉に頷き返す後輩たち。
二十三対二十。
相手も意地を見せる。
それでも。
「守屋!」
完璧なレシーブ。
「神谷!」
ネット際へぴたりと上がる。
「蓮!!」
ドンッ!!
二十四対二十。
マッチポイント。
体育館中の視線がコートへ集まる。
最後の一本。
神谷先輩のジャンプサーブ。
ドンッ!!
相手のレシーブが乱れる。
返ってきたボールは高い。
「ラスト。」
神谷先輩が跳ぶ。
全員が蓮先輩へ寄る。
その瞬間。
「水谷。」
時間差攻撃。
ドンッ!!
ピーーーッ!!
二十五対二十。
試合終了。
「よっしゃあああ!!!」
聖明高校がストレート勝ち。
インターハイ三回戦突破。
ベスト8進出。
全国の頂点まで、あと三勝。




