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青春病。  作者: 翠吉
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74/105

刻まれた勝利

神谷先輩のサーブは最後まで勢いを失わなかった。

水谷先輩は相手ブロックを翻弄し続ける。

そして。

決めるべき一本は、必ず蓮先輩が決めた。

「ナイス!!」

「一本!!」

守屋先輩の声が響く。

凌星高校も全国上位常連の意地を見せる。

豪快なバックアタック。

高さのある速攻。

粘り強いレシーブ。

簡単には崩れない。

それでも。

流れは完全に聖明高校だった。

十八対十五。

二十対十七。

一本取られても、誰も焦らない。

「落ち着け。」

神谷先輩が短く言う。

その一言だけで、全員が冷静さを取り戻す。

二十二対十八。

あと三点。

会場全体が立ち上がり始める。

「聖明!!」

「一本!!」

応援席の太鼓が鳴り響く。

「結衣ー!!」

葵の声も聞こえた。

私は胸の前で拳を握る。

二十四対十九。

マッチポイント。

体育館中が静まり返る。

神谷先輩がボールを持つ。

ゆっくり深呼吸をした。

トス。

踏み込み。

ドンッ!!!

鋭いジャンプサーブ。

相手レシーバーが崩される。

「チャンス!!」

守屋先輩。

岡田先輩。

神谷先輩。

最後のトスが、高く舞い上がる。

「蓮!!!」

三枚ブロック。

最後まで、三枚。

それでも。

ドンッ!!!!!

ブロックのさらに上。

叩き込まれたボールはコートへ突き刺さった。

ピーーーーーッ!!!!

試合終了。

二十五対十九。

セットカウント二対一。

聖明高校、勝利。

一瞬の静寂。

次の瞬間。

「うおおおおおおおお!!!」

体育館が割れんばかりの歓声に包まれた。

「勝ったぁぁぁ!!」

守屋先輩が飛び上がる。

水谷先輩が大きく拳を握る。

岡田先輩と杉山、小林が抱き合う。

蓮先輩は静かに息を吐き、神谷先輩へ歩み寄った。

神谷先輩も何も言わない。

二人は拳を軽く合わせる。

私は涙が止まらなかった。

全国上位常連。

大阪代表・凌星高校。

その強豪を。

聖明高校が、真正面から打ち破った。

「静岡が勝ったぞ!!」

「凌星を倒した!!」

「今年の聖明、本物だ!!」

「優勝候補だろ、あれ!!」

他校の選手たちも驚きを隠せない。

関係者席でも、日本バレーボール協会のスタッフたちが顔を見合わせる。

全日本U-18男子代表監督は静かに立ち上がった。

「……いい試合だった。」

その表情には、確かな笑みが浮かんでいた。

歓声の中。

聖明高校の監督は選手たちを見つめ、小さく頷く。

「よくやった。」

その一言に、選手たちの表情が一気に緩む。

全国の舞台で。

聖明高校は、大きな一勝を刻んだ。

そして、その名前は。

全国の強豪校に、深く刻み込まれた。

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