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青春病。  作者: 翠吉
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43/51

交差する視線

準決勝。

会場の空気は、朝よりもさらに熱を帯びていた。

観客席も埋まり始め、コートの周りには多くの学校が集まっている。

「ここ勝ったら決勝か。」

守屋先輩が小さく呟く。

「まだ早い。」

神谷先輩が前を向いたまま言う。

「目の前。」

「はいはい。」

守屋先輩が苦笑する。

「分かってます。」

試合開始。

相手は守備の固いチームだった。

派手な攻撃はない。

一本。

また一本。

何度も繋いでくる。

「長い……。」

ラリーが続くたびに、私は思わず息を止めてしまう。

それでも。

聖明は崩れなかった。

守屋先輩が拾う。

神谷先輩が散らす。

杉山先輩、小林先輩が真ん中を使う。

岡田先輩が繋ぐ。

水谷先輩が決める。

蓮先輩が締める。

誰か一人じゃない。

全員で一点を取りにいく。

第一セット。

二十五対十九。

第二セット。

二十五対二十一。

「ありがとうございました!」

笛が鳴る。

決勝進出。

観客席から拍手が起こる。

「よし!」

守屋先輩が拳を握る。

水谷先輩は小さく笑った。

「あと一つ。」

その言葉に、全員が頷く。

私は記録用紙へ静かに書き込む。

『準決勝 勝利』

その時だった。

反対側のコートから、大きな歓声が響く。

「青峰!」

誰かが叫ぶ。

私は思わず振り返った。

試合終了。

青峰高校も、決勝進出を決めていた。

コートの中央。

青いユニフォームの選手たちが円になっている。

その中心に立つセッター。

背番号一。

こちらへ視線を向ける。

神谷先輩も、静かにその視線を受け止めた。

数秒。

言葉はない。

それでも、お互いが考えていることは一つだった。

決勝。

会場アナウンスが響く。

『男子バレーボール決勝戦は、本日十五時より行います。』

体育館がざわつく。

「聖明と青峰か。」

「今年一番のカードだな。」

「新人王者と全国常連。」

周囲から聞こえてくる声に、自然と拳を握る。

守屋先輩が深く息を吐いた。

「……来ましたね。」

「来たな。」

水谷先輩が答える。

蓮先輩は青峰のコートだけを見つめていた。

神谷先輩が静かに歩き出す。

「行くぞ。」

「はい。」

全員が神谷先輩の後ろを歩き始める。

決勝まで、あと少し。

いよいよ。

この夏、一番長い試合が始まる。

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