自己紹介
「とりあえず、自己紹介しよっか」
入部する1年生が確定し、部活を始める前に顔合わせの時間が出来た。
「じゃあー3年から」
「まぁみんな知ってると思うけど、このバレー部の部長の水谷。ポジションはウィングスパイカー。」
軽く手を上げる。
「よろしくな」
「神谷凛太郎、セッター」
短い一言。
それなのに気になる。
「3年はもう一人いるんだけど――」
一瞬だけ、空気が止まる。
「今は色々あって、お休み中だ。戻ってきたらまた、紹介するな」
軽い口調なのにどこか、重く感じる。
(……お休み中?)
「じゃあ次1、2年」
みんなが淡々と自己紹介する中、元気な声が体育館に響き渡った。
「じゃあ俺の番ね!」
「俺は守屋!リベロやってる!レシーブなら誰にもまけないよ!」
守屋から順に2年生、1年生と続き自分の番が回ってきた。
「……マネージャとして、参加させていただくことになりました。橘結衣です。初心者で分からないことだらけですが、皆さんをサポートできるよう精一杯がんばります!よろしくお願いします。」
「よろしく」
と水谷。
拍手と共にいろんな方向からよろしくと聞こえてきた。
やっと、『チーム』に入れた。そんな気がした。
その時ふと、視線があった気がした。
……気のせいかもしれない。
でも、目を逸らしたのは、私だった。
「よし、少し話すぞ」
水谷の声でみんなの視線が水谷に向かう。
「みんなもわかっているだろうが、うちの目標はまず8月のインターハイの出場だ」
チームの顔つきが変わる
「そのための予選が、5月にある」
(……もう、そんな近いんだ)
「で、今のままの実力じゃあ勝てない。そこで監督と相談して、ゴールデンウィークに合宿やる」
「そのまま練習試合も組んでる。ここで仕上げるぞ」
一気に、現実味を帯びる。
ただの、部活じゃない。
ちゃんと勝ちに行くチームなんだと、
改めて感じた。
「……私、できるかな」
つい、ぼっそっと吐いてしまった。
「―大丈夫だろ」
すぐ後ろから、低い声。
振り向くと、凛太郎が立っていた。
「最初はみんなそんなもんだし。何かあったら俺か、部長に言え」
相変わらず、表情はそのまま。
でも少しだけ、距離が近く感じた。




