幕間「新入生歓迎大会を終えて」
教室に戻った練を待っていたのは黄色い歓声と好奇の視線だった。
なぜあの場でキスすることになったのか、教壇に無理やり上げられて説明を求められる始末だった。
ペアが戦闘不能判定を貰っていないまでもケガをしていたこと。
そのケガの治癒のためには治癒魔法を発動せざるを得なかったこと。
これらを話す間のクラスメイトからの視線はしばらくの間、トラウマになりそうな練だった。
リンクを狙っての動きじゃないのかとの質問もあったが、それは否定した。
先輩からの受け売りだが、リンクは互いの信頼関係や、友情といったものが一定以上ないとできないらしい。
普通は、新人が一カ月ほど訓練した程度では無理らしい。
そういう意味では、対戦相手は相当高度なことをしていたと言える。
だが、練には一つ引っかかっている点があった。
キスした直後、不思議と力がみなぎるのを練は感じた。
魔法の生成、反応速度も速かった気がするし力もいつも以上に出た。
加えて、序盤は押されていた美柑もキス直後は逆に押し返していた。
キスなんてするのは初めてだったので興奮していただけという可能性もあるが、もしかしてあれが、リンク状態だったのか。
と、悶々と考える錬だった。
(今度、先輩に聞いてみるか……)
そう練は思いつつ、群衆の黄色い声に辟易していた。
***
「最っ悪! 本当に最っ悪!! 」
一通りの行事が終わり寮に戻った美柑。
部屋へ戻るなり早々にベッドに倒れこみ顔を枕にうずめ手足をじたばたさせる。
試合の後、先輩と話をしていたら先生が飛び込んできて、私はすぐに車で大きな薬局へと連れていかれた。
理由はピルを貰うためだ。
貰ってからクラスに戻った後は、好奇の視線にさらされた。
ふわついたことを言いまくる同級生や、顔を真っ赤にして何も語らない人まで色々いた。
その後、他の人の試合も見たが、私たちほど激しい試合はなかったように思った。
先輩が言っていたリンク状態の同級生相手に勝てたのは大金星だと。
先生も、よく勝ったわねと褒めてもらえた。
だけど、そんなことより美柑にとってはあのキスが忘れられないでいた。
キスしたあの感触。
唇を通して伝わってきた気持ちのいい何か。
そしてそれが、美柑の何かを満たしていくあの感触。
(もう一回、あれしてほしいな……)
そんなことを考えていた。
が、すぐにハッとした。
(仮で組んだペアの子にファーストキスを奪われて、それを全生徒に公開生中継されたなんて全裸で学校を歩く並みに恥ずかしいことをさせられて、死ぬほど恥ずかしいにもほどがある!)
再び、ベッドでじたばたする。
(けど、あいつの治癒魔法のおかげで勝てたのも事実なの……よね……)
より良いペアを組んでもらうためにも、最初の初戦。負けられない戦いだった。
結果的に、勝てたからそれは達成できた。
だが、当分引きずりそうな憂慮事項ができたのも事実だった。
(私がここに来た目的は、普通の青春を送るためじゃない。浮ついてなんていられない)
そう気を引き締めなおす美柑だった。




