美柑編「特訓」
「うおおぉぉ……わああああああああ!?」
そう叫びながら地面に墜落する練。
先ほどは顔面から地面に突っ込んで鼻血を出したため制服には血が付いている。
幸いにも今度は尻もち程度で済んだ。
「痛てぇ……」
そう言いながら立ち上がる練。
「最初はこんなものよ。特に魔法の制御が未熟な間に、フライ魔法を習得しようとしてるもの」
そう言う恋葉は、腕を組みながらそう話す。
「風のスカートを纏うような感覚と言われても、履いたことないので感覚がわからないんですよね……」
練はそう言いながら恋葉のスカートを見る。
「まあそうでしょうね。要は感覚の問題だし。私も感覚を掴んでからはすぐだったからね」
「言ってることのイメージはできるんですけど、それを感覚に落とし込むのが難しいんですよね。
練はげんなりしながらそう答える。
「まあ、一日でできるとは思ってないわ。何日かかけて感覚を掴むことね。
それに、あっちの特訓も一日で習得できる物じゃないわ。時間はあるわ」
「向こうは何をしてるんですか?」
美柑は何をしているのか恋葉に聞く。
「私たちみたいな特別なことはしてないわ。
ただ、剣を振る際に純粋な身体強化だけじゃなくて、振る腕にもピンポイントで風魔法を使って威力の底上げをする。
そんなことをしようとしているわ」
「剣の破壊力を底上げする感じですかね」
「その認識でいいわ。
一撃が重くなるだけじゃなくて、より重い剣を振れるようになるメリットがあるわね。
剣が重ければさらに威力が上がるおまけもつくし」
恋葉はそう答える。
「佐城先輩はその系統じゃないですよね?」
「ええ、威力はある程度までで抑えて、手数とスピードで戦うタイプね。
そこに私の援護と先輩とリンクしてブーストするのが私たちの戦い方ね」
しれっとリンクできることを話す恋葉。
「え、先輩。リンクできるのですか? 」
それに対して、恋葉はふふんと鼻を高くして答える。
「私は特別で一年生の時にお姉さまとペアを組めたのよ。
一斉検査のデータでお姉さまと私ならリンクできるくらい相性がいいってことがわかってね」
「ですよね。でなければ、学年差があるのにペア登録することはないでしょうから」
「お姉さまはすごいのよ。私なんかいなくても強い上に優しいし指導もしてくれて」
そう話す恋葉は、両手を頬にあててうっとりしてる。
「……もしかして、ガチ恋してる?」
「当り前じゃない!あんな先輩他にいないわ! 」
若干前のめりになりながら興奮気味に話す恋葉。
(目がガチだ……)
そう思う練。
この学校ではたまにある女子同士で恋愛感情を持ってしまうという現象を見てしまい、気圧される。
「た、確かに。こうして協力してくれるのも含めていい先輩ですよね」
「ま、その先輩があなたの指導役に付いたのは、学校の差し金なんでしょうけどね」
若干妬みの目を向けてくる恋葉。
「差し金て……。まあ、配慮があったのは感じましたね」
それを感じて、目を逸らす練。
「まあ、そんな先輩のお願いだから、付き合ってあげてるの。
早く感覚を掴みなさい」
「は、はい」
恋葉にそう言われ、気合を入れなおす。
「あ、そうだ。いいこと思いついた」
「なんです? 」
「感覚がないなら試してみればいいのよ」
そう悪戯を思いついたような顔をする恋葉。
嫌な予感がする練。
「しばらく、一人で練習してて。
ちょっと用事ができたわ」
そう言うと、恋葉はどこかへ行ってしまった。
嫌な予感がしたが、練習を続ける練。
後日、本当にスカートを数日履くように仕向けられて恥ずかしい思いをする練だが、それはまた後日の話である。




