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なぜ、公爵を落とせたのか?~天才令嬢は恋も事件も予想できない~  作者: 雪乃 瑞叶


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第20話 調査報告 2

 帝国宰相の執務室。アルセンは、机に置かれた小瓶を見つめていた。


「現在の魔塔主の情報は、ほぼ皆無だったな。ほんとに誰も知らないのか?」


「はい。魔塔の者にも尋ねましたが……仕事の依頼は、ほとんど幹部や事務が受けて捌いているようでして。誰も、主の顔を知らないようでした」


 カイルは続けた。


「幹部たちにも当たってみましたが、そちらも揃って『言えない』と。正直なところ、誰も見たことがない以上、正体不明としか言いようがありません」


「……いないということは、ないだろうな」


 アルセンは、訝しげに呟いた。


「本当は魔塔主など存在しない――いや、それはないか。魔塔の体制は、明らかに変わった。あれは間違いなく、誰かの判断だ。確かに、主はいる」


 指先で、こつ、と机を叩く。


「だが……なぜ、そこまで正体を隠す」


 アルセンは、訝しげに眉をひそめた。普段は何事も理詰めで割り切る男が、これにはどうにも合点がいかない様子だった。


「よほど見てくれが悪いとでもいうのか? それとも、何か知られては困る事情でもあるのか」


 考えれば考えるほど、わからない。アルセンは、不可解だという顔で小瓶を見つめた。


「いえ、見た目など、魔法でいくらでも変えられるかと」


 カイルは小さく首を振った。


「おそらく、何らかの事情があるのでしょう。……前の魔塔主のように、呼んでもいないのに勝手に現れるような方であれば、今回の件も、もう少し楽だったのですが」


 カイルは、小さくため息をついた。


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