7.空くんと宿泊研修2日目。
ふわぁぁ~。と眠い目をこすりながらテントから出るあたし。
今日は宿泊研修2日目の朝。
こんな寝癖だらけの頭を空くんには見られたくないあたしは早起きして頭だけを直そうとまだ眠ってる佳奈ちゃんを置いてテントから出た。
のそのそと歩いていると…
「おはようございます。」
「…?!?!?そ、空くん?!」
なんで会いたくない時は会うの?!
あたしは寝癖の頭が恥ずかしくて赤くなる顔を隠して急いで足を返す。
そんなおかしな様子のあたしの手を掴むと
「顔洗いに来たんじゃないんですか?」
と、あたしを不思議な顔で見る空くん。
「ち、ちがくて…」
と目線をウロウロさせて下を向くあたしに
「なんすか?」
と追求してくる空くん。
「そ、空くんに、寝癖見られたくなかった…から」
と赤くなるあたしの顔。
「あぁ、なるほどすんません」
そう言うとあたしの跳ねてる髪の毛を優しく手ぐしで梳かしていく空くん。
「なななな!!」
と顔を真っ赤にして顔をガバッとあげるあたし
「やっと顔上げましたね。前髪跳ねてますよ」
と少し笑う空くんに
「み、みないでよ!!ばか!」
と前髪を手で押さえて下を向くと
「ふっ…可愛いっすけどね。」
と言うと、あたしの手を退かして水をつけた手のひらで前髪を直してくれる空くん。
「よし、いいっすよ、直りました」
と空くんの声がする。
あたしは手に持ってた鏡で確認すると綺麗に直っていた。
「あ、ありがとう…ばかって言って、ごめんね」
「どういたしまして、気にしてないっすよ、じゃ」
と空くんはテントの方に戻って行った。
そんな空くんの後ろ姿を、顔を赤くしながら見つめる。
まぢで…空くん優しすぎない?その無自覚な優しさが辛いけど、好き!!!
その後はみんな起きてきて施設で朝ごはんを食べて最後に施設の清掃をする。
あたしは佳奈ちゃんとゴミ袋を掴むと一緒にゴミ拾いを開始した。
「朝から桜兎、百面相しすぎ」
と言う佳奈ちゃんに
「そ、空くんとたまたま朝会って、寝癖直してくれたの…好き!死ぬ!でもこんなにドキドキしてても空くんは無自覚にしてることなんだよな~。あたしだけドキドキさせちゃってさ~!!」
と悶えるあたしに
「柏木くんて本当に桜兎のことなんとも思ってないのかな?」
と不思議そうな顔をする佳奈ちゃん。
「たぶんね…」
と言うとションボリなるあたし。
「でも昨日の二人見てると…う~ん。それになんとも思ってない人の寝癖直すもんかな?好きな人同士でもしないでしょ」
とずっと腑に落ちない顔をする佳奈ちゃん。
そんな話をしていると京と空くんが現れた。
「ゴミ集まったか~?」
と京が話しかけてくる。
「うん!見て見て!どーだっ!」
と二人に駆け寄るとニコニコとゴミ袋を広げて見せる。
「やるじゃねーかー」
と京が桜兎の頭を撫でくりまわしていた。
そんな中、そんな二人の様子を見ている空くんのことを佳奈ちゃんは鋭い眼差しで見ていた。
そんなこんなでいろいろあった宿泊研修1泊2日も幕を閉じた。
バスに揺られて学校に着く頃には爆睡していて、佳奈ちゃんに引きずられるようにバスを降ろされた。
解散!と言う先生の言葉でみんなそれぞれ散っていく。眠い目をこすりながら、ふらふらと歩き出すあたし。
「吉岡さん…あぶないっすよ」
と腕を掴まれ、顔をあげると空くんだった。
「あっ、ご、ごめん眠過ぎて…」
と目を擦るあたし。
「送ります」
と空くんの手が腕から手に移動して、手を引く空くん。
その瞬間覚醒するあたし
「えっ、大丈夫だよ!」
と慌てるあたしに
「その辺で眠られたら困るんで」
「それはないと思うけど」
と言うあたしに
「吉岡さんですから、わかんないっすよ」
「ど、どういうこと!」
と言うあたしに
「そーゆーことっす」
と適当に返事をされて、まぁいいかと素直に従う。
「じゃ、じゃあお願いします」
「任せてください」
「そう言えば、空くん告白どうだった?」
と言うあたしに
「どうでもよくないっすか」
うぅ…なんか久々にこの台詞聞いたような…
「ど、どうでもよくないよ!だって!ほら!あたし空くんのこと好きだし聞く権利ある!」
と負けじと頑張るあたしに
「なんですかその権利」
と言う空くん。
「…もういい」
とショボくれるあたしに
「はぁ…名前を知らない女と付き合う男がいるんすか。それが答えです。」
と答える空くん。
「はい!質問です!その女の子のこと空くんは、知っていたんですか!」
と真剣な眼差しで聞くあたしに
「しらないっす」
と言う空くんに満足したあたしは
「そっかそっか~!」
と空くんの手を握りしめる。
嬉しくなってるんるんしてるあたしをチラリとみる空くん。
そう言えば、前だったら用が済んだら手を離してくださいって感じだった空くんだけど…
あれ?あたし達手繋いだままじゃない?
てか前より空くん柔らかくなった?ていうか、こんなに空くんって優しくしてくれてたっけ??いや、優しいけど、優しさが増したと言うか…と疲れた頭で考えるけど答えは見つからなかった。




