6.空くんと宿泊研修1日目。
今日から1年生は宿泊研修で1泊2日です。
空くんと1泊2日!と思うとウキウキしながら、バスに揺られ宿泊研修をする施設に到着した。
オリエンテーションを終えると今日夜泊まる為のテントを設営した。
そして今からお昼ご飯のカレーを作る。
「佳奈ちゃん…あたし、空くんとカレー作りたいから京と火起こしと薪拾いお願いしていい…?!」
と言うあたしに
「本当桜兎の執着には呆れちゃう〜。目黒くーん!薪拾い手伝ってくれない?」
と京を誘いに行った佳奈ちゃん。
佳奈ちゃん…ありがとう!!!!
そして早速空くんに駆け寄るあたし。
「空くん!」
「なんすか?」
とあたしをチラリと見る空くん。
「あたしたち料理係だよ!がんばろ!」
と言うあたしに少し目を見開くと
「え、吉岡さん料理できるんすか?」
と聞いてくる空くん。
「それはわからないけど!任せて!あたし女の子だよ!」
と料理をして女らしさを見せたい桜兎は謎の自信を見せる。
「…なるほど」
と少し察した空くん。
そして、洗い場で野菜を洗うと空くんと一緒に野菜の皮をむく。
「あ…あれ…あれれ…」
あんなに気合いが入っていたのに、今あたしの手の中にはボロボロになった野菜がいる。
チラッと空くんの方を見ると綺麗に皮をむかれた野菜たちがリズム良く切られている最中だった。
「え…ま、まって…空くん料理できるの?」
とビックリして空くんに話しかける。
「いや、したことないっすね」
とこちらを見ずに野菜を切っている。
「な、何でこんなことに…」
あたしは女らしさを見せる所ではなく、自分で皮のむいた悲惨な野菜を見つめる。
すると野菜を切り終わった空くんがチラリとこちらを見ると目を見開いた。
「…それは下手くそすぎませんか」
「なっ!ど、どーにかするから待って」
と言うあたしの腕を掴むと
「危ないんで、俺がします」
とあたしの手から野菜を取ると空くんが綺麗に剥いて切ってくれた。
「あ、ありがとう」
とシュンとするあたしに
「別にいいっすよ」
と顔は相変わらず無表情だけど頭をポンっとしてくれた空くんにドキッとして黙り込むあたし。
カレーの準備も終わらせて二人で座って京と佳奈ちゃんを待っていると
空くんが急にフッと笑うから
「どうしたの?」
と少しだけ笑う空くんに視線を移す。
「いや…すんません」
と言う空くん。
「気になるじゃん!」
とあたしが空くんの服を引っ張ると
「あーいや…、吉岡さん料理任せてってあんなに自信満々だったのに、気がついたら吉岡さんの野菜たち死んでたんで」
と言う空くん。
「わぁー!それもう思い出さないでよー!空くんに女子力見せて好感度あげたかったのに…すごい失敗した…。」
とヘコむあたしに
「女子力とかよくわかんないですけど、吉岡さんらしくていいんじゃないっすか」
と前を向いたままの空くんが言ってくれた。
「それはいい意味?」
と空くんを見つめると
「さぁ…どーすかね」
とあたしの目をチラリと見る空くん。
そこで京と佳奈ちゃんが戻ってきた。
「お待たせ〜!!火起こししよっか!」
と佳奈ちゃんが駆け寄ってきて空くんとあたしの話はここで終わった。
京が火をつけてくれてカレーをみんなで煮込んだ。みんなで作ったカレーはすごく美味しかった。
その後夕飯とお風呂を施設内で済ませて、今からキャンプファイヤーがはじまる。
あたしは佳奈ちゃんと空くんと京を引き連れて四人で今か今かと始まるのを待つ。
すると
「空くん…ちょっといいかな?」
と告白の匂いをぷんぷんさせた女が、空くんを誘う。
「すんません。今からキャンプファイヤーなんで」
と相変わらずな空くん。
「あ、あの!少しだけでいいんで」
と引き下がらない女の子にため息をつくと
「はぁ…わかりました」
と女の子に連れていかれた空くん。
すると京の所にも女の子が現れる。
「目黒くん!ちょっと来てくれますか?」
なにこの告白ラッシュ…。とジトーと京を見つめると
「あぁ、ちょっといってくるなー」
と京も立ち上がって去っていった。
「佳奈ちゃん…なにこの告白ラッシュ…」
「知らない…うちの班の男子モテモテすぎて辛い」
と佳奈ちゃんもゲンナリしている。
「それよりあたし空くん見てきていい?」
と立ち上がると
「ちょ、野暮なことはやめなさいよ!」
と言う佳奈ちゃんの声を無視して
「すぐ戻るから〜!!」
と空くんたちが消えた方向に向かうあたし。
どこかな?とキョロキョロ走り回っていると
…ドンッ
「わわっ!!」
と、誰かにぶつかって、そんまま後ろに倒れていくあたし。
「っぶな!」
と言ってあたしの腕を引っ張りあげてくれたのは空くんだった。
「ご、ごめん…ありがとう」
と言うあたしに
「こんな所でなにしてるんすか?」
とあたしを見る空くん。
そ、そうだった…告白現場見に来て本人と鉢合わせるなんて馬鹿なのあたし?!
「あ、あは…お、お散歩????」
と目線を泳がせるあたしに
「はぁ…覗き見は趣味悪いっすよ」
と呆れたように言う空くん。
「な!きょ、今日は間に合わなくて、覗けなかったもん!」
と言うあたしに
「へぇ、今日は…ですか?」
とあたしに視線を落とす空くん。
「あ…あはは。ご、ごめんなさい」
と素直に謝るあたし
「まぁ別にいいですけど、ここ人気ないんで危ないっすよ。戻りましょ」
そう言うとあたしの手を引いて歩いていく空くん。
ドキドキしながら着いて行くあたし。
「空くん…」
と話しかけると、前を向きながら
「なんですか?」
と答える空くん。
「告白どうだった?」
「特になんもないっすよ」
と詳しくは語らない空くん。また後で聞いてみよう…!
そしてキャンプファイヤーがもう始まっていて、空くんに連れられて戻るあたしを見た佳奈ちゃんが
「見つかったの?ばかなんだから〜」
と呆れたように笑っていた。
「あはは…見つかりました…」
と言うと、あたしをチラリと見た空くんが
「山城さん、この人ちゃんと見ててください」
と言う空くん。
「無理無理~!暴走しすぎてあたしには、止めらんないよ。あたしは柏木くんが見てるのが1番いいと思うよ。柏木くんのことで暴走するんだから柏木くんといる時が1番大人しいし」
とケラケラと笑う佳奈ちゃん。
「なら、そーします」
と言う空くんに
「え?どーゆー意味?」
とあたしが空くんを見つめて聞くと
「さぁ」
といつもと変わらない顔の空くん。
少しだけ距離が縮まったのかな?それともいつも通り深い意味は無いのかな?
だけど、嬉しくてあたしはまた満面の笑顔になる。
それをいつも通りチラリとみる空くん。
「だいすき!!!」
「どーも」




