2.空くんは新入生代表。
空くんの横で機嫌よく歩いていると学校に到着。
空くんとクラス表を確認にむかう。
「空くんクラスみえる〜?」
「まぁ」
短い返事をして身長の高い空くんは自分の名前を探している様子。
く、くそぉ…。空くんと違って、あまり身長が伸びなかったあたしの身長は153cm。背伸びしても埋もれて全然見えない…。
クラス表のチェックが終わったのか、空くんはその場を後にしようとして歩き出してしまった。
「ちょっと!待ってよ!お願いいい!行かないでええ!」
あたしは空くんの腕をぎゅうっと掴むとグイグイ引っ張った。
「ちょ、なんすか」
と少しだけ目を見開く空くん。
「お願いだからあたしの名前も探してよ、見えないの…。」
とションボリと涙目になってしまうあたしに、なるほどと言う顔をして
「あぁ、えーと……同じA組っすね」
その瞬間、パァァァっとあたしの顔がキラキラ輝く。
「1年間よろしくね!」
「あぁ、はい。腕もういいっすか?」
と言われて腕を解放するあたし。相変わらず冷たいけど好き!クラスが同じってだけで今のあたしはもう幸せ〜。とルンルンと空くんと教室に向かう。
クラスに着くと座席表を見て、自分の席に座る。
空くんと席は結構離れている。空くんは廊下側から二番目の1番前の席だ。あたしは窓際の1番後ろ!かなりラッキーな席だ。
これで毎日空くんを後ろから観察できる!と頬杖をつきながら空くんを見てうっとり…後ろ姿もかっこいい…素敵…かっこいい…好き…。
すると隣の座席に、サラサラの金髪に、耳にはピアス、そして制服を着崩したイケメンが座った。たしか…めちゃくちゃかっこいいと噂になってたイケメンだ…目黒 京だったかな?
だけどあたしにはそんなイケメンも空くん以外はゴミ…それは失礼ね?霞んで見える。
そんなことを思って無意識に隣の席の男の子を見ていたようで「視線うざっ」と初対面のあたしに失礼な事を言うこいつ。
こんな奴のどこがイケメンなのよ?!?!
「なっ…あ、あたしが貴方を見るメリットがないんだけど!見てないし!空くん以外を見たら目が腐れるし!」
とむくれるあたしに、目を見開くと
「……ククっ……」
と何がツボに入ったのか笑うこの失礼野郎。
ふんっと無視していると次は前の席の女の子がくるっと振り向くと話しかけてきた。
「ねぇねぇ名前なんて言うの?可愛いくて気になってたの〜。あたしは山城 佳奈」
と話しかけてきたのはショートカットのよく似合う明るい女の子。
「あ、ありがとう。あたし吉岡桜兎。よろしくね〜!」
前の席の佳奈ちゃんと話が盛り上がり隣の失礼野郎をスルーして仲良くなった。
そんな様子を机で頬杖をついてジーっと見てくる失礼野郎。何がなんでも絶対無視だ!
暫くお喋りを楽しんだあと、入学式の為体育館に移動する。
入学式はとにかく眠くて眠くて…毎朝早く起きて空くんに会いにいくあたしは、睡魔が襲ってきてふわぁぁと欠伸が出てウトウトしていた。
すると、まさかの新入生代表が…空くん!!
眠りかけていたあたしの目と脳は覚醒する。目をぱっちり見開く。
壇上で喋る空くん、かっこいい…。ライトを浴びてキラキラしていて神々しい…。そう見えるのはきっとあたしが空くんを好きすぎるから。
人気になるかもしれないと思うと複雑な気持ちになった。だけど今はそんなことより空くんをしっかり見るのよあたし!
そしてあたしは、空くんに穴があくんじゃないかってほど、全集中して見守り続けた。
すると……
「何見てんの」
とあたしの空くんタイムを邪魔するこいつ。そう隣の席の金髪イケメンこと目黒 京。
「…なんだっていいじゃん、貴方にはすごぉくすごぉく関係ないことだよ。神を崇めているんだから!」
とキラキラ輝くあたしの顔。
「…へぇ~。俺はお前が気になるけど」
とあたしをジーっと見てくる目黒 京。空くんからあたしもこいつに視線を移す。
…からかってんの?この人顔だけは綺麗…まぁ、空くんほどじゃないけど。と頭の中で考えついた答え。絶対からかってる。
「イケメンだからってなんでも許されると思わないでよね!悪霊退散!!悪霊退散!!」
と目黒 京を手でシッシッと追い払う。
すると楽しそうに
「やべぇ超おもしろい…ククッ」
っとクスクス隣で涙溜めて笑っている。やっぱりこの人バカにしてる。
そして入学式が終わると隣でクスクス笑う目黒 京を無視して、空くんの元へ駆け寄る。
「空くん!」
「…なんすか?」
とあたしを横目で見下ろす空くん。
「新入生代表すごいね!かっこいいね!」
と目をキラキラさせるあたし
「あぁ…あざす」
と言うと視線を前に戻し歩き始める。あたしは空くんの隣に並んで一緒に歩く。
この空くんの隣で歩く時間があたしは大好きだ。鼻歌を歌いながら隣を歩く。
それをたまにチラリと見る空くんの視線。
「なぁに?」
とあたしがニコニコ笑うと
「機嫌いいっすね」
「そりゃあ空くんの隣歩けるだけであたしはすごぉく嬉しいからねっ」
と満面の笑顔で笑うあたし。
「…なるほど」
と何考えているか分かんない顔をしてまた前を向いてしまう空くん。
暫くるんるん歩いていると階段に差し掛かった時、スルッと転けそうになるあたし。
「わわぁっ…!!」
とバランスを崩しそうなあたしを横から見てた空くんが焦った顔して腕を思いっきり引っ張りあげてくれた。
「っぶな!」
その瞬間二人でバランスを崩し空くんの上にあたしは崩れ落ちた。
「…いたたたた…」
目を見開くと綺麗な空くんの顔が、眉を寄せてあたしを下から見ていた。
「ご、ごめんっ!」
と焦って謝り、慌てて空くんの上から退いた。
「…怪我ないっすか?」
と立ち上がりながら聞いてくる空くん。
「う、うん…空くんが助けてくれたから」
「はぁ…んとに危なっかしいっすね。ちゃんと前見てください。俺いなかったら階段落ちてましたよ?」
「ご、ごめんなさい…」
とシュンとするあたし
「まぁ…怪我なかったなら良かったです。次から気をつけてください」
と頭をポンッとする空くん。
「うん…ありがとう…好き…」
「…どーも」
と言って歩き出す空くん。その後ろ姿をぼんやりと見つめながらあたしも歩き出す。
あたしが好きになった頃の空くんは、身長も低くて顔は整ってはいたけどかっこいいて言うより可愛い感じで目立つ感じじゃなかった。
でもこんなに男らしくなって、かっこよくなっちゃってさ…。
無口で無愛想だけど誰にでも優しい彼。それがみんなに伝わったらやだなって思うあたしは心が狭いのかな〜。
なんて思いながら空くんのかっこいい後ろ姿を見つめながら教室に戻った。




