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召喚  作者: 黒龍藤
第四章   道中に当たり  色々、準備します
242/242

242 まだですよ

23回目の13日の金曜日、やっちゃったあーの改稿でーす。お待たせでーす。



 「なーう〜〜」


 夢よ、もう一度!


 「ほんと、何にもないよー?」

 「うわ、うわ」

 「しゃがめって」


 「あ、そうか」


 しかし、やはり夢は夢。営業は終わったらしく… 残念です。


 「うにゃ?」


 今見た事実に、むーんと頭を悩ます猫の脇の下に手が入って「あ!」勝手に猫体が引っ張られる「ひっかかったあー」からあ〜 そんなんされたら反射で、つい手が いえ、爪が ああああ! やべえ、離れろ俺の爪! でか服買い取り案件は拒否項目!!


 大人しく力を抜いた結果、トト君に首根っこ掴まれた。無念。無念過ぎて猫の手足がキュッとなる。


 「だっこ、だっこしたいー!」

 「ん」


 マルト君、八歳のお手手広げてちょーだいからの抱き抱きぐりぐり攻撃を食らいまし。うにゃんと体を捻ったら「わああ」今度は後頭部に頬擦り攻撃です。 …攻撃ではないか。


 猫顔を上げるとデア君、改め… いや、改まってねぇな? あー、消えたステータスボードによると本名ラズウェル君が自分もしたそ気に手をそわそわさせてて、まー。しかしマルト君てば「もう、ちょっとー」で頑張る粘り。


 その後の展開は仕方ないので猫は手移り拒否しない。


 「んー、おとなしいー かわいいー」


 こちらは抱っこ嬉しーで無理なぐりぐりはない。 …性格の違いか年齢か。


 「…あのさ、すわってたら怒られるかな?」

 「いーんじゃね? さっきは座って待ってていいって言ってたし」


 猫は腹見せを拒否するので胸に手を付き、体を伸ばす。うにゅーっと伸びして顔面接近、「うわっ、わあ」ふんふん鼻を鳴らせば子供の顔がにぱるのです。めっちゃ良い顔、子供顔。


 『守りたい、その笑顔』


 なんてキャッチフレーズが響きそうな顔の裏の偽装と拘束。


 「わ」

 

 猫目で瞳を覗き込む。

 暴いてみせよう、にゃんこアイズサーチ!


 …近過ぎるんかサーチ種類違うんか、なーんも見えず判別つかず。ふ。


 「はい」


 トト君に差し出されたが遠慮したので下ろされた。

 トト君、猫をお呼びでないらしい。

 それはそれで何か猫心に引っ掛かるので、マルト君と一緒に座ったトト君の周りをぐるっとしてみるのです。 


 「あ、ほら。気にしてる」

 「そうか?」

 「いいなー、おいでよー」


 ラズウェル君、空気を読む子で気配りさん。 …君も座っていーんだよ?


 コ「失礼、お待たせを」コン


 軽い連打ノックと同時に音もなく開いたドアは猫の所為で閉まってなかった。



 「おや」

 「にゃっあぁーん」


 ギルツさん、ご登場。

 足元に駆け寄りまして、抱っこを要求。ご機嫌よう!の挨拶をすると薄めの唇が緩やかに持ち上がる。うむ、これが当然。


 腕の中から三人を振り返れば固まってた。ラズウェル君てば中腰だった。

 

 「ご、ごめんなさっ!」


 しゅぱっと床座りから立ち上がったマルト君、顔が緊張感に溢れてて確実に怒られる前の子供。


 「すみません」

 「あ」


 マルト君の勢いには遅れたが、急ぎ背を正す二人。素早く謝るラズウェル君に頭を下げつつ口籠るトト君。


 三者三様の態度に思う所はあっても流石クールな白蛇様です! 一目で逆らってはならぬ感が強いお人よ!


 猫を抱いたギルツさんの沈黙の観察の中、口を開いたのは誰あろう! ラズウェル君です。


 言葉を途切らせながら、お座りの許可の経緯を口にする。

 説明が言い訳に聞こえるのは〜 やっぱ、途切れるからですか? トト君の方が説明するかと思ってたけど沈黙は金になっちゃってる?


 元気な冒険野郎感が出てた子は大人へのビビりが潜んでて。地下に腰が引けた子は、ちょ〜〜っと何とも言えない(ヒクツっぽい)目をしてる。


 …でもこれ防衛本能だろー、普通に。


 ラズウェル君は教育を  あ、あ、ちが。 多分、内心バクバクしてる。


 猫は脱出いたしまし。

 ささっと着替えて帰ってきますでね。


 「な」


 腕の中から、ぴょいっとな!をしようと身を乗り出したが下を見たら怖かった。ちび猫が飛び降りる高さでございません。骨折したらどーします。


 「な、な、な」

 「ん?」

 

 てしてしと腕を叩いてエレベーターを要求し、頑張って途中下 下、下腕した。



 ててっと走って、さっきのお部屋へ。

 猫耳ピクピク、地下の方から人の声が聞こえます。ギルツさんに続いて皆様仕事上がりのよーですので、早く着替えないと見られるうー。


 良かった、閉まってないですよ。


 するり入って内部を確認。はい、誰もいませんね。では、にゃーんぐるみー ぺいっ。


 すちゃっと俺、降臨。


 「…何度やっても猫着替えはファンタジー」


 実態は水中で懸命に水掻きしてる白鳥と同じでもファンタジー。


 「さ、お待ちかね」


 部屋を出ると、さっきより近い人の声。その声の調子からして、お疲れのご様子。しかし、聞こえた対話の中身に興味が出ます。


 ここは一言、ご挨拶をするべきか?

 

 戻らねばと面倒と後でと今だと好奇心と顔を売れが瞬間交錯。直ぐに勝負は決まった、三対三。なので、ご挨拶に向かえば「はぁっ!」息を吸い込む派生音。くぐもってる。


 目が合ったあなた、どちら様?

 頭から顔を布でぐるぐる巻きの… うん?  ひっ!?


 「お前ぇええ!!」

 「ひぇええええ!」


 恨みつらみが籠ったお声とお顔で、やっちゃのお人があああ!!


 とりあえず、逃げた。

 後ろで「待ちやが「やめんか!」「元気だな!」「がああっ「待てや、ごらあ!」交錯する声を無視り逃げてドア、バタン!


 背中封じに、ずるずると。

 

 「あ、あは  お待たせ!」


 吃驚眼で直立不動の三人に色々ごめーんて。


 

 

 あああああ。

 仮ゆーしゃが治まらねえ止まらねえ、子供のきょーいく宜しくねぇえ。だからとゆーて名指しを無視るきょーいくも宜しくないものでしてぇええ!



 斯くして、ご対面である。

 お客様椅子に一人座りまして、隣に立つはギルツさん。正面に膝を着いた仮ゆーしゃ。仮ゆーしゃの腕を左右から捻り上げる兵士がお二人。ドアの前にも、お一人います。子供は揃って壁並び。

 

 なんとゆー教育に!

 

 そんでぐるぐる巻きがちょっと解けて見えちゃってる仮ゆーしゃの顔を彩るやっちゃ達。捻り上げられた腕、ずれる袖口と手袋の間から覗くやっちゃ。状況にぶるいつつも、それらをガン見してるわんこーず。


 なんとゆー教育に!


 仮ゆーしゃの恨みにどう対応すべきかぐるんぐるんしていたが誰も口を開かない。あ、俺が一番手でしたか!?

 

 「えー、か  ジャスパーさん、どの様なお話で?」


 へらっと始めてみたのです。



 恨んでいるから殴りに行くのは普通だろうと言われます。嫌ですね。


 「お恨みと言われましても」


 この感情はどうあっても、お前に向くと言われます。困ります。そういや、この人まだ俺の事を召喚獣だと思ってんのか?  …ああ、そういや墓に行ってみたいと言ってそれっきり。


 これを施したのがお前でなくとも、これはお前の所為だと言われます。うーやーあ〜って感じ。この人、クロさん見てたっけ? いや、見てなくても あー うっわ、やば。


 恨みの籠った目がやばい。

 憎しみに凝り固まった目がやばくて、やばくて やばい俺ののーみそ勇者の卵の幻影見てる。


 ジャスパーさんにダブる勇者の卵に罅が入って孵りそう。仮ゆーしゃ、憎しみで勇者誕生イケますん? え、なんで? 


 俺ののーみそ勇者定義に閃いた。


 きゅぴんきらんとキラつくマストアイテム、身分証。まだ貰ってない。口頭での約束にアイテムチョイスも済ませてる。皆様の態度も肯定してる。


 でも、まだ貰ってない。


 「異物だ」


 仮でもゆーしゃが言うと深い意味に聞こえます。


 召喚獣でない俺はハージェストと繋がってない。

 いや、その話はもうですねと反語を述べても今度はキラつくアイテムございません。引き換え証もないんです。


 「これは異物だ」


 仮ゆーしゃが勇者に目覚める、その理由。


 「これは絶対に違うモノだ!」


 異物と言われましても〜 刺青は普通に異物でしょ? 墨の違いはインクでしょ? んでもリアルの墨でなし。黒猫印のインクは高濃度なだけですよ? 濃度の高さは品質ですよ? 


 しかし、ハージェストが教えてくれた術式の刻み。それを何度もされてる人でしたぁね、ジャスパーさんて。よっ、さすが違いのわかる男!


 持ち上げるのーみそ痛いです。


 くっ! 身分証明の発行が世界の根付きの証明なのか!? 


 勇者覚醒、巨悪か世界の敵の出現で。

 出現したのが異物なら。証明が何もない俺、異物正解なってまう。


 うぎゃー、目ぇ合わせたくなぁあー!


 逸らした先には、肩寄せ合ってこっちを見てるわんこーず。はい、俺は大人で一時預かり託され中。頑張れ、俺。


 「えー あの、まずですね。ジャスパーさんの現状は、セイルさ  エルトシューレの領主であり伯爵であるセイルジウス様との あー、お取引 に、なってたか どーかは あれですが ご領主様の えー、裁定です!!」


 ここだけは、強く強くアピールしとく!


 「…言ってるのは、この異物だ!」


 くっそ!

 それはクロさんの愛情の証だあ!


 この世界に属してなくても愛情とゆーのは変わらんだろが! だから、俺はそれを正当と  と? とと?  とととっ?  う、わ??  俺から見ての正当は… 間違いなくおられまする自宅警備い… ではなく、家主様の の〜〜ぅ。


 疑問。

 罪と罰を議題とし、家主様から見ての正当とは何か?


 「ギルツさん、刑罰の定義をお願いします」

 「刑罰とは国が定めた犯罪に科す制裁であり、その制裁は律に則るものであります」


 「ですよねー」


 異物のやっちゃとやったった。

 うむ、完全に私刑のクロさん法。だが、仕方ない。


 だが!


 「異物と言われるそれは刑罰の一つとして終わったもので」


 今更と指摘しても納得しないジャスパーさん、「異物」の一点張りで争点が全くぶれません。もう誕生と同時に勇者レベルが跳ねてそう。転職のレベル落ちなんて関係なさそう、ありなさそう。


 殺戮勇者の誕生を阻止すべく、ギルツさんに振るのです。


 「刑法におきまして、あれと似た刑罰ってないんです?」


 答え、ない。

 そう、白豚さんは胸に借入金の刻印がある。そーゆーのはある。棒線的なのもある。だからこそ、全身に散らすものはないらしい。非効率だし。しかし、あるとするならば〜〜 論外。


 つまりは、うん、そう、その〜 普通に、辱め。


 まぁ、誰が見ても辱めの恥ずかし  の、ね。 …そう、しのね。しぃ〜のねぇ〜はふぅかい木の根っこ〜〜  なんか、こわ? 



 さておき、問題。

 現地法以上となる刑の執行を家主様が見て正当と思うか否か。


 推測的、答え。

 ラインオーバー、や り す ぎ。



 どーごまかそーにも上限突破は言い訳無用方面歩いてる。怒られるのは確率的にも俺になる。だって、クロさんの居場所は俺の部屋。ひょーさつ出してなくても俺の部屋。


 「ふ、ふふふ」


 憎しみの目が怖くない。

 これっぽっちも怖くない。


 「じゃあ〜 少しでも減ったら良い感じ?」


 余裕の風情で数の減らしを提案してみる。

 しかし、内心ぶるってる。ぶるいに焦りとやばさと回避こーふん混じってる!


 猫は見た。

 ステータスボードを見た!


 猫は聞いた。

 第一回と聞いた!


 つまり、これから二回三回と修正とか色々そんなのあるんじゃない? したら、頭上ボードも位置の変更ないですか? 便利機能も付きません?


 だが、猫は知っている。

 どんなに首を回して見ても猫の頭上にボードはなかった。


 三人の頭上ボードは首の動きに大きく反応しなかった。特にマルト君の首の動きが動作証明になっている。だから、猫の頭上にもあれば! 猫はちゃんと気付けた筈だ。


 しかし、猫にボードはなかったのです…


 「や、だから全部は無理ですってえー」


 そこでボードがない理由。はいここで活躍、異物論!


 身分アイテムゲットで住民票ゲット。出てくる期待のステータス。しかし、反する上限突破の証拠が目の前に。このままだと俺の待遇レベルが激落ちしそう! 最低レベルで固定化するかも!


 固定してからでは遅いのです。


 俺も自分のステータスボードが欲しいです! 一人ないのは嫌ですし、表示も名前と年齢以外なしは嫌でござるこざるのござりましぃい!


 「…全部綺麗の身綺麗さん希望はごーまんでしょー」


 だから家主様へのアピールに既に確定した贖罪を減らしてやろうと… だからって、ちょーしに乗るなやあ〜〜 こっちは愛情の削りなんぞー。



 さて、やった事はないが自分の破砕を信じてやってみせよう。と決めたら、わんこーずがちょっと。それと廊下の動線、気になります。


 ギルツさんに振ろうとすれば、コココンと遮るリズミカルノック。兵の方の呼び掛けに顔を見合わせ、どうぞとしたら。


 なんとゆー事でしょう! ロトさんが探しに来たですよ。




 「わかりました、連れて戻ります」


 「え」

 「えっ」

 「えー」


 わんこーず、見たいってさー。

 

 ひっじょーうに怖いもの見たさな感じがするが、安全圏からのこれは〜 知的欲求で済ませていーものか? これ、どー考えてもレーティング15に引っ掛かるのでは? あなた見せます、見せません? それで変なせーへきできません?


 「それはそうと」


 大人の視線がわんこーずに集まれば、お前達は?となるのです。俺に目視確認取りながら、本人に確認を取る大人達。


 「けさ、ここにきて」

 「奴隷です」

 「三人で一緒に」


 子供の返事、ざっくりしてて恥じらい屈辱なんもねえ。いや、なくていい。


 「ほう、なら側仕えに?」


 「えと、まだ」

 「一人だけ、その予定だと」

 「他の事はまだ、名前もまだ です」


 では、今後の良い経験だとか? この先がどーたらゆーてる大人ども… ほんとに頭、大丈夫か? 最年少、八歳ぞ?

 

 年齢に口出しすれば、うっきゃああああ! 路地裏のゆーしゃが首を傾げながら「俺の時は」なんて参戦してくんなぁあああ!!


 実体験でも、ほら! 

 ほら、なんて言っちゃいけないんだろうけど  ほら!


 比較に疑問を持とうよ、ナチュラルに言っただけの事でも〜 その実、裏に妬み的なよーそが隠れ て   あ、そーゆーの指摘っぽくゆー方がダメ? ダメダメダメ?? これもダメかい!


 んじゃ路地裏から脱出しよーにも も、も、も、もうほんとにゆーしゃになれよー なろうよー  なったもん勝ちってゆーでしょー! ゆってんじゃん!? 出口は八番でも七番でも  あー、未だダメっぽい? ダメっぽそーね?


 心のめーきゅー広いんだー。


 待て待て路地裏のゆーしゃ、そこで仮ゆーしゃを鼻で笑ってどうすんだ。いや、まじどーしたよ? そこで喧嘩は売らなくていーってぇえ    った。


 意味の不明なゆーしゃずの睨み合い。

 観戦、煌めく子供の瞳。


 上意下達。


 「出す」

 「はっ」


 おわた。

 権力行使、終止符打ちが素晴らしい。


 路地裏のゆーしゃ、わんこーずを行けと追い出しドアの前で頭を下げた。それで偉いと思った俺はおかしい?


 

 「此処で良いのでは」


 下に連れて行くのも、めんどくさいとゆー総意で邪魔な一式よっこらせ。あ、押さえお疲れ様でした。縄転がしに移ります。


 「それと先ほど真ん中にいた子、どこか変じゃなかったです?」


 皆様、疑問符浮かべられ。

 少し考えられますが逆に何の事かと目で問われ。

 

 「俺、ハージェストの影纏いしか見た事ないんですけどー」


 皆様、一気にドアを見た。

 それぞれの顔が疑惑と『しまった、まじか、どちくしょう!』成分で形成されてたので安心して後で確認願いまし。



 さぁ、ドクターにゃんこの執刀のお時間でーす。


 猫の手術に合わせた床転がしは敷物がなくてごめんです。手首拘束万歳で両足首も縄付きの〜 ちょっと恥ずかしポーズで固定です〜  ごめ、猫の安全は外せない。


 腹から攻めます。

 つか、服をペロンチョでいーからやり易い。


 狙いを定め、スペルの間に爪を立てる。

 肌を切り刻むのは違うから、念じて念じてそろそろピッ。 


 やっちゃ / って


 おおう、切り分け成功! 肌も血塗れなってません!


 「ほう、そう切れると」「何と」


 皆様の賛辞に鼻高々! この後は、後は…  あれ、ハージェストどうしてたっけ? 単語の意味を… なくすだろ? そんで??


 とりあえず分解、もう一本と思った所で動き出した。

 切り分けた『って』がぷるぷる動いて、あの時と同じ現象にきゃっほーい。


 するっと他のにくっ付いた。


 やっちゃってって ← new!


 猫、目が点。

 そして、じわあっと降ってくる忍び笑いの気配。


 「ぷっ」


 口と腹を押さえて、お一人ツボに入った顔してた。不審に身動ぎする仮ゆーしゃの肩を踏む白蛇様に感謝して猫は切る。


 キルキルキル。


 やっ / ちゃ / って


 キルキルキル。

 

 や / っ / ち / ゃ / っ / て



 やってっちゃって ← new!

 やってって ← new!

 やって ← new!

 やっやっやっ ← new!

 ちゃちゃ ← new!

 ちゃち ← new!

 ちち ←new!


 切れば切るほどどーすんの、これって感じ。

 そこ、笑わないの。



 一字を狙って破砕だ、えいっ!


 文字通り砕けて散けた。

 しかし、消えずに黒子のよーに残ったです。まるで残骸、哀れです。


 その惨状がわかるのか… 阿鼻叫喚の他の文字。逃げ惑うのと迷わず高速ダッシュを決めるのと。文字の世界にも鈍臭いのがいるのですな…


 強者が言葉の新規開拓に努めるのに比べ、鈍臭ちゃんは同じ字に救いを求めて重なって、初めからそうでしたの顔してる。んだけど、重なった分だけ色が濃くなり強調フォント化してるです。


 特に、やの字が濃いのは苦情のようで… ううん、ドクターにゃんこ間違えた? 


 うんうん、悩むドクターにゃんこ。

 黒子の舐め取り嫌でして。


 ぐぬぬぬ、悩んだドクターにゃんこ。

 いやん、患者と目が合った。

 患者、背筋腹筋頑張って患部を見てた。


 ドクターにゃんこ、大先生の元に走るです! うにゃーーーー!! まいるーむ、かもーーーん!




 「クロさぁぁあああん! 上手くできないぃいいい!」


 泣き付いた、飛び付いた。

 みーみー泣いてぐじぐじしたら、よしよしころころほらほらされて、めっちゃ気分が落ち着いた。そこで口を開いたが、のーみそ回って言葉が出ない。


 愛情削りの説明に目も回し、三くる回って落ち着いた。


 「クロ先生、諸事情により愛情を一部… 一部! 消そうと思うのです。ですが、どーやったらいーのかわかんないのですー!」


 ごめんなさいごめんなさいを連発して、ご教授を願った結果。穏やかなクロ大先生の指図の元、シロちぃ先生のお越しと相成りましたあ! やけに金魚がアピールしてたけど流したですよ。



 「お帰りなさい、わかりましたか?」


 シャイニングカーペットを滑り降り、意気揚々と振り仰ぎ。シロちぃ先生をお迎えします。きゃ〜〜みたいな顔で滑ってこられた。


 いそいそとご案内し、惨状を猫手で示す。


 繁々とご覧になられたシロちぃ先生、次に患者のお顔をじっと見られる。静かな診察、目が大人。感服です。何より金眼銀目のお姿が天才児を思わせる。


 それから全身、頭から足先まで眺められ、ぴょっと跳んだ。患者の腹に着地して、再び「げふっ」跳ばれる対岸渡り。


 「ぎっ」


 ぎゃああと続いただろう声は途切れ、息も出ない。いや、ヒュッヒュやってはおりますですが… 体中のやっちゃ文字がすんごい勢いで渦を巻く? とにかく目紛しく動き回っておりまして。


 全身パレット、黒の混ざりが仮ゆーしゃから声を奪っているのです。そんで勇者卵の幻影も吹っ飛んだ。


 瞳孔が開きそーで怖い。



 やっちゃっては集結した。

 腹を真っ黒に染める仕上がりは細ながあ〜〜い形態で紐のよう。やっちゃってやっちゃってやってっちゃってと連なっておりまする!


 そこから再び動き始め。

 全身像が見えないと皆様が手を出した。


 足を揃わせズボンとパンツを一気に引き下ろし、上の服は肌着ごと一緒にばんざー  ざー   あー、顔は覆って脱がしません。素晴らしい配慮です。本人、漸く声が出たけど無視られた。


 紐状、やっちゃ。

 集結拠点の腹から多方面へと向かいます。


 ①、腰から股関節に巻き付き、太腿へ。両足デザイン違いまし。片足、腿の上部で巻き付き止まり。


 ②、肋骨より、ちょっと下でしょか? 左右から背中に伸びたです。が、見えません。


 ③、心臓へと伸びたやっちゃは腹と縁切りしたのです。独立形成、二重螺旋は陰陽パターン的にも見え あれ? 外側一本、横に伸び。


 ④、腹から真っ直ぐ喉元に。ぐるっと喉元回って首括りをしそうなものですが、鎖骨の上で左右に分かれて止まりまし。


 ⑤、背後から出現したらしいのが、肩から上腕にゆるっと巻き付いた。


 ③の横伸び一本、もうちょっと伸びして④の主要本線とくっ付いた。



 なんか猫、これどっかで見た感じー。

 でも、綺麗な細い紐状なので全身やっちゃの人ではなくなった。ボディにフリースペースできたです!


 皆様、検分終わったですか?


 「残るは頭か」


 そう言って上を剥ぎ、顔隠しの巻き巻きも剥いだ。


 衝撃。

 キレイキレイになったお顔に、やったった。鼻上、跨ぐやったった。


 うわった、しまった、残ってるー! 周りをやっちゃに囲まれて、多少は埋没してたのに残されアピール凄いです。


 えー、えー、えー〜〜  これで終わると異物指定の解除はどーなりま? 無理ですか? でも全身時代と大違い。でも多分、ご希望とは違うでしょう。


 シロちぃ先生、どうしましょ?


 


 シロちぃ先生、俺の質問に不思議顔。しかし、にっこのお顔になりまして。ててっと行ったらお顔の横でお座りです。こっちを見るので呼ばれてる。


 仕草で意味はわかるが、どうしたものか… 悩んでも終わらなさそうなので顔ぺっち。


 やったったが動き出す。


 ずるずるずるりと先頭やの字、車両は一両編成です。

 鼻の脇を通って鼻の下、唇を縦断して喉仏を下りまし、やっちゃってレーンに乗りました。

 さすれば出発、するするするると滑って心臓巡りの旅に出た。旅は急行ぐるっと巡り、心臓陰陽停車場で一時停車になりました。短時間停車で出発進行、動き出しますとレーンの架け替えなしに隣のレーンへ跨ぎ乗り。


 喉元発着場に戻ったよ。

 再び発車、今度は腹巡りの旅に出た。腹巡りはコースも多様で鈍行のよう。時間が掛かると思ったのですが、右に左に周回一度で再び元のレーンに乗ったらナニまで真っ直ぐ… 真っ直ぐ… やったった車両は見えなくなりました。


 仮ゆーしゃの体がびびくりしました。


 やったったがどこを終着場としたのか存じません。見てないんでわかりません。成人向けは白蛇様と兵士の方に任せます。猫、知らんですー。あ、シロちぃ先生飽きちゃった?



 足を解かれ起きられて、ご自分の前面見られた仮ゆーしゃは沈黙します。


 猫、立ち姿を見るのです。

 背面を見たのです。


 …どーしましょ? 腹から背中へ回った二本が素敵な芸術(ラインでハート)描いてま。よーく見ると上腕の巻き巻き、背中と合わせて意味深長(おリボン)ね。


 小さな手鏡見てますが合わせ鏡は要らんです。態々、ご覧にならなくていーと思うです! 裸体のモリモリ、モリモリは… 裸体盛りってなんでしたっけ?


 ああ、どれもこれもらぶなのに… ♡がらぶで♡なのに… ラブアンドピースに思えないー。



 「良かったなぁ、異物が減って。半袖も着られるな」

 「顔が見られる様になったなあ」


 おおっと得点入りましたよ、良い感じー。


 ドクターにゃんこ、シロちぃ先生と並んで座って小首傾げて見ぃてますー。白蛇様、要らんこと言わんでいーですよ? 芸術作品、黙ってま。


 ま、ま、ま?


 

 えー、減ったよーに見えても実質減ってないだろ違うだろと言われましてもー 使用面積に体積がー は? 異物感が強くなったと濃淡設定言われまするとトータルで〜  で〜   俺が思ってたんと違うよーになってるのは真実だ。


 だって、できなかったんだもん。


 だから、これを減らすにはどーしたら!と言われましても〜 そうそう、皆様が断然前より良いと言ってる慰めに納得して下さいよー。


 困った、ドクターにゃんこ。

 お座りしたら後ろ足で耳をかしかし、うーんです。


 ん?と目を開けたら。


 シロちぃ先生、てっててて。診察治療が終わってお帰りです。あー! 


 慌てて居住まい正してシャイニングカーペットを駆けていくのを見送った。あーあ、な雰囲気流れます。そこに顔を覗かす一匹、黒金魚。


 カーペットの上を滑り流れて、きゃああああ。

 つるーん、くるーん、くるるるる。見事なフィギュアスケーター、ストップ金魚はどっきどき。



 落ち着いたら、強気のお顔が可愛いです。


 仮ゆーしゃの前で口を開いて、泡を一つ吐き出した。


 パチンと割れた泡から声。

 声が終われば、また泡が。


 パチンと割れて告げるは希望です。

 全ての希望を吐き出して、金魚はふらっとくらっと目を回す。


 ぎゃーーーー! 俺の金魚がーーーーーー!!






 「そっかそっか、さっきの声は君の声だったのねー。そーなると久々の自分の声ねー、聞けて良かったねー」


 嬉しい嬉しい燥ぐ金魚はメッセンジャー、レベル1。

 低レベルで文言多過ぎた。


 「しかし、これから始まる試練の塔に潜れですか」

 「そこで贖罪を贖い、集めよと」

 「それらを捧げて初めて赦す、か」

 「刑期がわからぬ所が何とも」


 「捧げるモノの数と質… 」


 

 皆様と仮ゆーしゃが困惑する中、なんっとなぁあああ〜〜〜く理解した俺は膨れ上がる期待に興奮してる。もしやと思って興奮してる。仮ゆーしゃの素肌見て、ギンギンに興奮してる!


 だって、あれならお許し頂けるのでは? だって、あの背と尻にあるのはらぶですから? らぶだと書かれていますから!!


 しかし、まだですから。

 


 「捧げるは、お前で良いのか」


 仮ゆーしゃの問いに俺の肩で甘えてた黒金魚が弾丸飛びした。

 頬に向けた衝撃波的な尻尾ベシィを喰らわせた。

 そうだが言葉使い!な顔してた。


 

 「ええと〜 やっちゃを無くすのは確定だと。違ったら俺からも言いますから」

 「へ? 変動相場はやめてくれ? え、そこはちょっとわからずー。あいや、ぼったくり犯はいませんよー。どこにもいませえー」

 「あー、時期は〜 さっきの泡伝言以外、わかんないみたいだしー」


 仮ゆーしゃが漲ってて真面目に勇者になれちゃいそう。




 そんで俺もどきどきしてる。

 第一回と知ってても、どきどきが止まらない。確定に想像ロマンが止まらない!


 でも、まだですから。

 まだまだですから、まだですよー まーだこないー まだこないー  指折り数えて、お待ちしまー あ〜〜〜  きゃっほーーーーい!



 家主様、いー感じのステータスボード俺にもくださあああああーーーー いっ!

 




未だ来ない、それが未来。



…ちび猫が出て行った後の三人とギルツさんの会話。


「ここで待ってなさいと言われて」

「では、待つか」


そのまま沈黙の業に入る。『まだこないー、みー』が発生した。

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