今後の対策
「ある程度分かってますけど、何があったんですか」
放課後、バイト先の喫茶店に月と来ていた。
「多分思っている通りだよ」
「それでもですよ」
「えっと、ならまずは俺と彗が付き合っていた理由から説明することになるんだけど」
「はい」
それから俺と彗が付き合った経緯から昨日のことまであらかた話した。月は終始納得したような間で相槌を入れて、驚いた様子もなく最後まで聞いてくれた。
「ってな感じだ」
「なるほど」
「できるだけ早くどうにかしたいんだけど。こう、なんて言おうかなかなか思いつかなくて」
「ですね。私としてもやっぱりあのグループが好きなので」
純粋に誠心誠意謝って解決するものでもなさそうだ。それにどこがどう悪いかというのも明確に説明できないのに謝るなんて。
「問題はかなり難しいです」
「だよな」
「はい。私としては話してくれてうれしかったです。それ以来距離も縮まった気もしますし」
月は微笑んでそう答えてくれる。
「だから朝日さんの他の人たちへの壁もどうにかしてあげたいんですよ」
持っていたスプーンを置いてその指をこちらの方へ向けてくる。それは。
「でもまだ難しいんですよね。私に話してくれたのもあの時の雰囲気というか流れだったのも分かります」
「……そうだな」
そんな簡単に誰にでも話せたら苦労なんてしてこなかった。わざわざ壁を作るのも心がしんどいんだ。だから今、月と普通に話せるのはとても楽だ。
「なら、それをそのまま話すのはどうでしょうか」
「そのまま?」
「はい。話ずらいなら話ずらいって言うんです」
「それでいいのか?」
「はい」
「でも……」
そんなことは彗もすでに分かってるんじゃないか。彗は賢いし、分からないなんてことはないだろう。分かってることをわざわざ改めて言うのか? そんなものは火に油を注ぐ行為になりかねない。
「それが一番彗さんに誠実です」
「彗も分かってるんじゃないか」
「それでも直接言われるのと察するのとは異なります」
「それはそうだけど……」
「彗さんと別れる別れないはおいといてこれから仲良くなりたいなら、壁を取り払いたいなら、するべきだと私は思います」
これは私の思いなんですけどね。と付け加えて月は笑った。
「大丈夫です。何かあっても私がついています」
「……ははっ。そうだな」
「はい」
「明日、話してみるよ」
「はい。それがいいと思います」
「ありがとう」
「いえいえ、私は私がしたいと思ってることをしているだけです」
「なんでそんなにしてくれるんだ?」
「それは、友達には幸せになってほしいからですよ」
そういう彼女はとても温かい笑みをしていた。俺はこしょばくなって目を逸らしてコーヒーを啜った。




