帰り道
「あさひ、帰ろ」
「おう」
俺は鞄に荷物をまとめて、彗と二人で教室を出る。
「あ! あんた今帰り? 丁度いいわ。いっしょに帰りましょ!」
廊下にでると丁度こっちに来た先輩と鉢合わせる。この人来るの早いな。
「すみません。今日は彗と二人で帰るので」
彗の方を見ながらそう言うと、彗は俺の言葉に合わせて頷いてくれた。流石にここで先輩を合流させるほど空気が読めないわけじゃない。
先輩はその僕の言葉に何を思っているのか。少し固まった後、
「分かったわ。今日は譲ってあげるわ」
いつもよりも元気なさげに言った。
「先輩、大人しく今日は部活行ってください」
「うぐ……」
「あ、月は無事見つけられました。ありがとうございました。あと連絡しないですみません」
「それなら良かったわ。どちらにせよ、授業が始まったら戻ると思ってたから大丈夫よ」
先輩はなんてことないように言うが、きっとすごい探してくれたのだろう。先輩はきっとそんな人だ。
「ほんと、ありがとうございました。何かあったら言ってください。力になりますんで」
「なんか意外だわ」
「何がですか?」
「いや、探す前はそんなにあの子に興味なさげだったのに、今はなんか身内感出てて、なんか意外。何かあったの?」
「少し話したぐらいですよ」
「ふーん。そうなんだ」
訝しげな眼を向けてくる。別に悪いことはしてないのだから許してほしい。
「本当ですよ」
「噓だなんて言ってないじゃない」
「……そうですね」
「ほら、彗ちゃんが暇そうにしてるから早く行ってあげなさい」
「はい。先輩、部活頑張ってください」
「……」
先輩はその俺の応援には何も答えてくれなかった。これは今日もさぼるな。
「彗、行こうか」
「ん」
彗の横を通り抜ける。すぐに彗は俺の横についてきた。そして、少しの距離歩いたところで俺の腕に自分の腕を絡めた。
「彗?」
「なに?」
「いや、何でもない」
「ん」
下駄箱で靴を履き替えるときには一度離れたが、すぐに戻ってきて、また腕を絡めてきた。学校でこんなにくっついてくる彗は初めてだ。けれどきっと俺が月と授業をさぼってしまったのが原因だと思うので俺はそれを受け入れるしかなかった。
周りの同じく下校中の生徒たちがじろじろと見てくる。居心地がよくない。しかし、腕を組んでいるてまえ、早く歩いて逃げることなどできずに、校門までその視線を浴び続けることになった。
帰り道は彗が先導してくれた。俺はそれに抵抗せず、ただ彗が向かうところについて行った。
そして着いたのは何時ぞやにひかりといっしょに遊んだいつもの公園だった。自販機で俺はコーヒーを、彗はミルクティーを買ってから二人でベンチに座った。組んでいた腕はもう離れていた。




