爆発と捜索
「……ん。分かった」
彗はその先輩の豪胆さというか厚顔無恥さというかに負けたのか、少し考えたのちそう言った。
「なら良かったわ」
先輩は満足そうに彗の鼻先にチョンっと触れてから浮かせていた腰を戻した。
「彗さん、それでいいんですか?」
月が発した言葉は震えていて、顔は髪で隠れて見えない。
「ん。海先輩はいいひと」
「いい人なら彗さんは付き合ってる彼氏に気になってるって言ってる人を近づけてもいいんですか?」
「……それはふくざつ」
「なら」
「でもしかたない」
「仕方ないって……、だったら私だってっ!」
月が声を荒げて席を立つ。
「いや、なんでもないです……。すみません」
けれどすぐに視線を下げて落ちるように座った。
「すみません。失礼します」
もう一度頭を下げると月はお盆を持って、取りつく島もなく行ってしまった。まだご飯が少し残っていたのに。
「どうしたらいいだろ」
俺は特に誰に訊こうとも思わずにそう呟いた。彗は何か考えるように机の一点を見つめているし、先輩は月の背中を視線で追っている。パンはすでに食い終わってしまったので気を紛らすものもなく、気まずいままそこに留まることになった。
なんであんなに月は取り乱していたんだ。考えてみるが合理的な理由は浮かばない。
「あたしが話を聞いてみるわ」
食べ終わった先輩が立ち上がって言う。
「どこに行ったか分かるんですか?」
「いや、分からないわ」
「じゃあどうするんですか」
「片っ端から見ていくわ」
「わたしもさがす」
流石に二人が探すと言って渦中の俺が何もしないわけにもいかない。理由が分からないなら聞けばいいのだ。
「俺もいくよ」
「じゃあ別々で探しましょ?」
「ですね。とりあえず思いつくところ当たってみます」
「ん。わたしも」
二人とは別れて俺は特に何も思い浮かばなかったので、とりあえず体育館の裏の方へ行った。
初めて来たけれど、人もいないしなんだか埃っぽくて敵わない。辺りを少し見回してからすぐにその場を離れた。月はどこにいるのだろうか。全く見当もつかない。あ、そうだ。上から見てみるのはどうだろうか。そしたらどこか分かるかもしれない。
俺は外側についてる階段を登る。三階ほど登ったぐらいで疲れてきて息があがってきた。普段の運動不足が原因だろう。登りながら気づいたが、この場所はあまり見通しが良くない。あまり期待できなさそうだ。
重い足を何とか上げながら五階まであがるそろそろ屋上だ。
と思ったその時だった。いた。階段でうずくまってた。
「何してるの?」
「あさひさん……」




