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月が太陽を絆すまで  作者: ウパ戌


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授業中でのやり取り

『授業真面目にきいてる?』


 あなたのせいで真面目に聞いけていない状況になったのですが。


『きいてますよ』

『返信してる時点で聞いてないじゃん笑』

『んで、なんの用事ですか?』

『んや、特に用事なんてないけど』


 用事ないんかい。


『ならもういいですか?』

『えー、暇だし少し喋ろうよ』

『授業中ですよ』

『けち』


 俺はその言葉に返信しなかった。

 閉じてポケットに入れたスマホが連続して震える。既読をつけずに内容を見る。


『ねえ』

『ねえってば』

『へえ、そういうことするんだ』

『ふーん。いいしいいし』


 なんかメンヘラな彼女みたいになってないか。


『こんな感じで信夫先輩にも送ってたんですか?』

『そんなのするわけないじゃん。あんただけよ』

『なんか。べつの時に聞きたいセリフっすね』

『うるさい』

『んで何がしたいんすか』


 さっきまでぽんぽんと送られてきたメッセージがいったん止まる。


『今日の放課後ひま?』

『先輩が暇じゃないでしょ?』

『ちょっと居づらくて』

『そんなこといってる場合ですか。大会も近いんですよね』

『しらない』


 知らないじゃないでしょ。


『それで暇なの?』

『まあ用事はないですけど』

『じゃあ付き合いなさい』

『どこにですか』

『それはお楽しみよ。奢ってあげるからきなさい』


 どうするべきか。奢ってくれるならありか。でもこれ以上事態をややこしくするのもなあ。


『返事しなさい』


 先輩が急かしてくる。


『分かりましたよ』

『よし。じゃあ迎えに行くから待ってなさい』

『自分が行きますよ』

『私が行くの。だから待ってなさい』

『それだと面倒くさいことになりそうなので』

『面倒くさいこと? よく分からないけど絶対に行くから!』


 有無を言わせず先輩がそう言いきった。何を言っても聞かなそうだ。かといってまたこっちに来たら面倒くさいことになるのは目に見えている。

 仕方ない。なるようになれだ。俺はスマホを閉じてポケットの中に入れた。


「ねえねえ、朝日が授業中あんなにスマホいじるなんて珍しいね」


 授業終わり鈴がそう訊いてきた。


「まあちょっとね」

「なんか面白いゲームでもあったの?」

「いやそんなんじゃないよ。ちょっとメッセージ来てて、それに返してただけだよ」

「へえー、それってさっきの先輩?」


 なかなか感が鋭い。俺が何も答えないでいると、


「浮気はだめだよー」


 にやにや顔を浮かべながら言ってくる。


「分かってるって」

「本当かなー?」

「本当だって」


 そう言ってる間にポケットの中のスマホが再び震えた。俺は取り出してみる。


『こっち六限まであるけど予定あいそ?』

『自分もなんで大丈夫です』


 それだけ返して俺はスマホをしまった。その様子を見ていたであろう鈴はこちらを見てにやにやとしたと思ったら彗の方へタタタと小走りで駆け寄った。別に悪いことはしていないのだけれど。

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