教室での詰問
「なんかあったらまた呼ぶわね」
「普通それ逆ですよ。俺が言うもんなんです」
「えー、細かい男はモテないよ」
飯を食い終わった後、教室の前で先輩と話す。
「んじゃ、またねー」
「はい。昼ご飯ありがとうございました」
「いいってことよ。ばいばーい!」
先輩がこっちを見ながら手をぶんぶんと振って、歩いていく。まったく危なっかしい。先輩みたいな人はそのまま健やかに育ってほしいものだ。俺は先輩が角を曲がるのを待ってから自分の教室に入る。
「あ! 朝日戻ってきた!」
戻った時、俺の席で待ち構えていたのは鈴たちだった。絵面的には鈴と彗に健吾が詰められている状況っぽい。そして俺が戻ることでその標的は俺に変わったみたいだ。
「あの先輩とはどんな繋がり?」
彗がグイッと俺に近づいてきて訊いてくる。
「あの人は西島先輩って言って、今朝もめてるところ見つけて少し話すようになったんだ」
「少しじゃない雰囲気だったけど」
「そういう人なんだよ。な? 健吾」
「まあそうだな」
その言葉に俺はほっと胸をなでおろす。あらぬ疑いをかけられてらいけない。
「けど俺はいっしょに昼を過ごしたことはないけどな!」
「へえ」
再び冷ややかな目が向けられる。
「いや、さすがに見過ごせないし」
「それはそうだけど」
まだ不満げなを向けられている。
「けどなんか、いつもと雰囲気違った」
「確かにいつもの朝日ならさっき知り合った相手と昼休み一緒に過ごすってのは違和感あるな」
「ん。しかもなんか顔がいつもより柔らかかった」
「さすがに気のせいじゃない?」
「これはかくじつな情報」
やけに確信めいた顔でそう言う。そんなことはないと思うんだけどな。
「これはなにかある」
さらに距離を詰めてきた。
すると、そこでタイミングよくチャイムが鳴った。まだまだ不満げな顔をしていたが、授業が始まるのは仕方ないと戻っていった。
そういえば今日は珍しく月がいっしょにいなかったな。俺はそっちに目を向けると、月も俺の方を見ていたのか目が合った。しかし、月は少し眉をひそめてからすぐにそっぽ向いた。俺、なんかしたか?
「ほら授業始めるぞー」
その声に急いで教科書を取り出す。もう一度月の方を見ても、もうこちらを見てはいなかった。
そのままぼおっと授業を聞いていたら、俺のポッケでスマホが震えた。チラと見ると先輩からのメッセージだった。何をしてるんだ、あの人は。まだ授業中だろ。無視するか迷ったけれど、もしかしたら何かあったのかもしれないと一応開いて確認してみる。




