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月が太陽を絆すまで  作者: ウパ戌


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59/82

先輩と昼休み

「という訳なんだ」

「はは、お前西島先輩に会ったのか。面白い人だろ?」

「なんであの人が信夫って先輩と付き合うの誰も止めなかったんだ?」

「いやー、九条先輩、あ、信夫先輩のことな。あの人は俺らの前だと結構いいカッコしいなんだよ。だから俺とかあとは何人かの先輩以外は気づいてないんよ」

「へー」

「それで九条先輩がレギュラー外れた時に西島先輩が声上げちゃって、それで色々な」

「あー、納得」

「だろ?」


 昼休みに入ってすぐ、そんな話をする。やっぱり悪い人じゃないみたいだ。


「東 朝日はいるかしら!」


 突然、扉が開いて西島先輩が入ってきた。教室のみんなはその突然の来訪者に驚いた様子で、ぽかんと先輩を見つめている。


「ここでもないか」


 そう言って西島先輩が踵を返そうとした時、


「西島先輩! 朝日ならここにいますよ!」


 健吾がそう言って、先輩を呼び止めた。余計なことを。


「おお、ありがとう。赤堀くんは東 朝日と友達なの?」

「はい。そうなんす」

「へー。まあいいや! んであんたよ」

「なんでしょう」

「とりあえずいっしょに飯でもいきましょ?」

「いやですよ。こいつと食うんで」

「ええ!?」

「なんで驚いているんですか」

「赤堀くん、こいつ貰っていい?」

「いいっすよー」


 健吾、てめえ。


「じゃあ、こっちきなさい。学食行くわよ」

「……うっす」


 俺は結局ドナドナされていった。



「んでさ、あんたはどう思う?」

「なにがですか?」

「信夫のことよ。やっぱりわたし騙されてるの?」

「さあ?」

「さあって何よ」


 学食は久々に来た。普段は適当にすましてたから行く機会がなかった。


「まあ落ち着いて食ってくださいよ」

「べつにあんたが出したわけじゃないでしょ」


 そう言って先輩は頼んでたタヌキうどんを啜った。


「なんでタヌキうどんなんですか?」

「ここの天かす唐揚げの衣が入ってるから味がついて美味しいの」

「へえ、そうなんすね」

「てかあんたもなんか食いなさいよ」

「いや、急に連れてこられたんで金持ってきてないんすよ」

「それ先言いなさいよ。どうりで飯を持ってないと思った」

「あとで適当にパン買うんでいいっすよ」


 先輩は席を立つ。


「ほら、先輩が奢ってやるから行くよ」

「いや、いいっすって」

「いいのよ。話を聞いてもらってるし。後輩は黙って奢られなさい」

「ありがとうございます」

「何がいい?」

「じゃあタヌキうどんで」

「お、よくわかってるねー」


 そう言って先輩は受付のおばあちゃんに「タヌキうどん一つ!」と頼んだ。本当に気持ちのいい人だ。さっきの信夫先輩にはこの人は勿体ないと思う。


「よしよし。じゃあ伸びちゃうから先戻ってるね! 受け取ったら戻ってきてねー、これ札!」

「ありがとうございます」


 そう言って先輩はパタパタと戻っていった。

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