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月が太陽を絆すまで  作者: ウパ戌


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帰り道

「いただきます」


 机の上には唐揚げがいつもより多く盛られている。しかもつけ合いのサラダが二種類もある。張り切っているのがよくわかる。ひかりもいつもより少し豪華な食卓に目を輝かせて手を伸ばしている。


「とても、おいしいです」


 彗は目を開いて言う。


「口に合ったならよかったわー」

「はい。本当に美味しいです」

「でしょー! ママのからあげはねー、せかいいちなんだから」


 ひかりが自慢げに言う。口には油がついていて、テカテカと光っている。すぐに母さんがウェットティッシュを取ってその口元を拭く。ひかりはさっきまで食べていた手を止めてなされるがままになっている。


「彗さん、朝日は学校でどんなかんじなの?」

「えっと、みんなといっしょに楽しくしてますよ」

「そうなの?」


 母さんが不思議そうに言った。


「はい。入学してからずっとみんなと仲いいです」

「そうなの……」


 目を細めて母さんは彗の言葉をきいている。なんか変なこと考えていなければいいのだけれど。お願いだから余計なことは言わないでほしい。


「なら良かったわ」


 そこからは彗の話になった。趣味だとか好きな食べ物だとか、その大半は俺が知らない内容だった。へえそうなんだ、と思いながら俺はその話をただ聞いていた。そのおかげもあり飯を食べ終わる頃には彗のことをいつもよりも知ることができた。


「今日はありがとうございました」

「いえいえ、こちらこそ」


 玄関で二人がペコペコとしている。彗の表情からは緊張の色はもう見えなかった。


「また来て頂戴ね」

「はい。ぜひ」

「送っていくよ」

「ん。ありがと」


 俺はサンダルを履いて外へ出る。彗も改めて母さんに一言言ってからこちらへ来た。


「よろしく」

「おう」


 そして二人して歩き出した。夏ということもあって外はジメジメとした嫌な暑さをしていた。直射日光がないだけかなりましだけれど。


「今日はありがとう」

「お礼を言うのはこっちだよ」

「ん。ちがう。いえに入れてくれた」

「さすがにあそこで追い返せないって」

「それでも。入れてくれると思ってなかったから」

「俺を何だと思ってるんだ」

「んふ」


 彗は軽く笑って俺の手を取った。


「暑いんだけど」

「まあまあ」


 そう言う俺にお構いなしにさらに手を絡めてくる。


「あさひ、たのしい?」


 突然彗が聞いてくる。彗の方を見ても彗はこちらを見てはおらず、ただ前を見ていた。どんな意図があるのかは分からなかった。さっきの母さんの質問になにか思うところがあったのだろうか。


「……おう。楽しいよ。彼女もいるしね」

「……そう」


 俺は本心から答えたというのに、なぜか彗はあまり嬉しそうではなかった。


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