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月が太陽を絆すまで  作者: ウパ戌


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想定外の帰宅

「ただいまー」


 まだ彗とひかりが遊んでいるうちに母さんが帰ってきた。いつもより早いし、なにより連絡もなかった。

 ってか彗まだいるじゃん。俺は彗の方を見るが何も気にしていない様子だった。ん? いや、違う。完全に固まってるだけだ。


「おかえりー!」


 ひかりは彗のもとを離れてタタタと玄関のある方へ行く。ちょうどリビングのドアの前に着いたぐらいでドアが開いた。


「ただいま。あなたが彗さんね、初めまして、朝日の母の小夜です。いつも朝日がお世話になっております」

「えっと、その、初めまして。水上彗です」


 二人してペコリと頭を下げている。彗に至ってはそこから動かない。


「朝日だけじゃなくてひかりのことまで見てもらって本当にありがとうございます」

「いや、私が好きでやっているだけなので」

「てか、母さん。なんで連絡しなかったの? わざと?」

「違うわよ。仕事がいつもより早く終わってから帰ってきたのよ」

「……んで、なんで連絡忘れてたの?」


 母さんは俺から目を逸らして、彗の方へ向いた。


「彗さん、うちでご飯食べていかない?」

「え、わるいですよ」


 そして明らかに話題を逸らした。これは絶対わざと連絡しなかったな。


「気にしないで、お礼だから」

「ちょっと母に聞いてみます」


 彗はそう言って廊下に出て行った。


「母さん弁明は?」

「特にないわ。だって将来の娘候補とおしゃべりしたかったもの。それにお礼は別でしたかったし」

「まあお礼はそうだけど。てかおしゃべりなら昨日けっこうしてたでしょ」

「それとは別よ」


 そんなことを話しているうちに彗が戻ってきた。


「えっと、許可は出たんですけど、本当にいいんですか?」


 いつもの歯に衣着せない言い方はなりを潜めて、おそるおそる聞いている。まだ緊張しているらしい。


「いいのよ。気にしないで」

「すいもいっしょー?」


 ひかりがアシストをするように言う。


「じゃあ、その、お世話になります」

「うん。任せて! 腕によりをかけるわ」


 なんかこの年ではしゃいでいる親を見るのはなんだか複雑な気分になる。楽しそうなのはうれしいけれど、こう何というかこそばゆい。


「何か食べたいものとかある?」

「いや、作っていただけるだけでとてもありがたいので」

「んー、唐揚げとか好き?」

「はい。好きです」

「え! きょうからあげ?」


 いつの間にか俺の足元にいたひかりが目を輝かせている。


「そうだよ。今日はいっぱい作るからね」

「やったー!」


 喜びを表すようにテテテとあたりを回る。


「あのね、ママのからあげはねー、おいしいんだよ!」

「そうなんだ。楽しみ」

「ん!」


  そして彗の近くで止まるとテンション冷めやらずそう言った。彗はそんなひかりの頭を撫でている。こう見るととても仲の良い姉妹みたいだ。母さんもそう感じたのか二人を見る目はとても優しかった。


「よし、じゃあその期待に応えよう! 待ってて!」


 母さんは昔俺が作ったダサいエプロンをつけてから腕をまくってそう言った。

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