鈴からの相談
『朝日、ちょっと良い?』
健吾と俺で、二人を送って家に帰った後、鈴からメッセージが送られてきた。
『どうした?』
『電話でもいい?』
いったい何だろうか。俺は鈴に電話を掛けた。
「もしもし」
「もしもし、ごめんねー。いきなり」
「それは全然かまわないけど。何かあった?」
「いや、そんな大したことじゃないんだけどさ。その……」
いつものキレがない。ほんとに何があったんだ?
「校外学習あるじゃん? あぁいや、あれから言わないといけないか」
何やら一人で何か言っている。そして数秒の沈黙の後、深く息を吸うような音が聞こえた。
「実はね! えっと、その、私ね! 今さ、けんごのことがちょっと気になってるんだよね。ほんとにちょっとだよ! 別にまだ好きなわけじゃないよ! けど気になってて……それで朝日に相談があるんだ」
正直驚いた。そんな素振り全然気づかなかった。
「えっとね、そこで相談ていうのはね。校外学習のどこかで二人きりにしてほしいの」
「告白するの?」
「え、いやいや、いやいやいや、まだしないよ。そういうのはもっと仲を深めて、振られないっていう自信をもってから……。じゃなくて! 自分の気持ちを確かめながら、少しここで健吾にジャブを打っておきたいの。ありていに言うと、意識させたいの。協力してくれる?」
「おう。いいぞ」
「だよねー。いきなりすぎてあれだよねー。……って、え? いいの?」
「だから、いいって」
なんで自分で言い出して信じられないように固まっているんだ。
「な、なんで?」
「なんでか? んー、別に否定する理由もなかったからかな」
「そっか。……そっか。うん。ありがと!」
「とりあえず、校外学習の時に二人っきりにしたらいいのね」
「うん。できれば夕方とかそれぐらいに」
「おっけー。ってか、健吾かぁ。鈴は健吾のどこを好きになったの?」
「ふぇ!? そ、それは……。前に健吾がサッカーしてるのを見て、それでちょっとかっこいいなって、それで目で追うようになってうるさいけど明るくて、なんだかんだ優しいというか。あいつと話すのはうざいけど楽しいというか……」
そんな感じで鈴はもにょもにょと好きなところを語ってくれた。これ、しっかり好きじゃん。
「彗には言ったのか?」
「まだ言ってない」
「言わないの?」
「言わないよ」
「なんでさ?」
「いや、だってさ。もし言って彗も健吾のこと好きだったらどうするの? だから協力してって、女の子には言いづらいんだ。せっかく仲良くなれたのに気まずくなりたくないし」
それ付き合ったら結局じゃないか? という疑問は口には出さなかった。
「別に彗も健吾のこと好きとは限らないんじゃないか?」
「そうだけど。可能性が一パーセントでもあったらいやかなって。ほら、健吾カッコいいし」
「そっか」
恋は盲目ということなのだろうか。まぁ健吾がモテるタイプなのは否定しない。まさか月夜野さんがうちのグループに来たのって、そういうことなのか? それはそれで気まずいな。
「まぁ何はともあれ、協力はするよ。二人には世話になってるし」
「うん。ありがとっ! 本当に心強いよ」
二人はいい人だし、仲良くなるのも悪い話ではないだろう。できることはそんなに多くはないができるだけ力になろう。




