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月が太陽を絆すまで  作者: ウパ戌


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6/6

校外学習の始まり

「校外学習だー!」

「うえーい!」

「うぇいうぇい」

「うえーい」


 うえーい。って結局何なのだろう。自分で言いながらそう思った。まぁ楽しければいいか。横目に月夜野さんがのるべきなのか、おろおろとしているのが映った。すかさず鈴と彗が両脇に行って月夜野さんの手をあげさせた。


「う、うぇぃ」


 ちょっと可愛いと思ってしまった。悔しい。


「よし、じゃあ行くか!」


 俺は誤魔化すようにバスに向かって歩き出した。

 校外学習の場である森林公園には歴史資料館から、バーベキュー場や展望台などの施設がある。今回は一泊二日で、まず歴史資料館へ行って施設の人から話を聞くらしい。ということで俺たちは今、キレイで大きな部屋で施設の人の話を聞いている。昔、ここは何で栄えていてどのような変遷があった、というような話だ。正直退屈だ。もうクラスの数人かは船をこいでいる。かくいう俺もかなり眠くなってきた。


「あさひ」


 意識が落ちそうになっていると、不意に隣にいた彗に小声で話しかけられた。


「どうした?」

「あのひと、新婚さんだね」


 彗の言うあの人とはおそらく今話している男性だろう。


「たしかに若いけど、何でそう思うの?」

「結婚指輪つけてるし、時々気にするように触ってる。だから慣れてない」

「よく見てるな」

「ふふ。将来はたんていかな」

「その時には助手にでもしてくれ」

「まかせろ」

「ねね。そういえばすずっていつ告るの?」


 俺はその言葉で眠気で染まっていた脳が覚めた。


「誰に?」

「けんごに」


 どうして彗が鈴が健吾のこと好きなのを知っているんだ? 普段の鈴には全然そんな素振りなかったのに。


「あれ、しらなかった? きいてなかった? 鈴ならあさひに協力もとめると思ったんだけど」

「いや、あってるよ」

「だよねだよね。びっくりしたー」

「なんで分かったんだよ」

「んー、ちょっかん」

「勘かよ」

「あさひ、かんを馬鹿にしちゃだめだよ。ちしきの集合体なんだから。しすてむわんってやつ」

「それはすごいな」

「でしょ。ぶいぶい」


 彗は無表情のままこちらを覗き込むように見て、ピースサインを送ってくる。


「それで、いつ告るの?」

「今回の校外学習じゃ告白しないらしいよ」

「そうなんだ。ふんふん。へー」


 俺の言葉を咀嚼するようにそう言葉を漏らした。この様子だと彗も健吾が好きということはなさそうだ。でも、なんだか彗の新しい一面を見られただけで、少し得した気分になった。


「以上です。ありがとうございました」


 彗と話したおかげで眠気も飛び、あっという間に話が終わった。


「ふわぁー、この後実際に資料見に行くんでしょ? みんなでいっしょ行こー」


 その場で片付けをしていると鈴と健吾がやってきた。二人とも寝ていたのか、まだ眠そうにしている。その後ろにひっそりと月夜野さんが来た。


「うん。いこいこ」

「あと一息、これが終わったらバーベキューだ」

「だな! よっしゃ、行こうぜー!」

「おー!」

「おー」


 俺たちはドアを開けて部屋をでる。ドアは入る時よりも軽かった。

 

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