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月が太陽を絆すまで  作者: ウパ戌


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夏祭りの終わり

 会場は人でごった返していた。まだ花火は打ちあがっている。

 俺たちはとりあえず多少空いているところに移動した。


「たーまやー!」

「かぎやー」


 鈴が楽しそうに叫ぶ。彗もそれに続いていつものテンションでそう言った。月はその横で花火をジイっと見つめている。俺も鈴たちに倣おうかと思ったけれど、その月の様子を見てふみとどまった。

 そこから俺たちの間には静寂が訪れた。別に気まずい静寂という訳ではなく、各々がただ花火を観賞するための時間だった。時間的にそろそろフィナーレかなと考えていた時、ザッという石が擦れるような音とともに彗が俺の横に来ていた。


「……」


 彗は特に何を言うでもなくただおれのとなりにいた。すぐに連続する破裂音と共に大量の花火が打ち上げられた。周りの人たちが「わあっ」とどよめく。そのタイミングで俺の右手が握られた。俺は隣に意識を向けるけれど、彼女は特に何もなかったかのように花火を見ている。俺はそれに握り返すことはせず、なされるがままに手を握られた。


「終わっちゃったかな?」


 最後の打ち上げから二分ほどだろうか経っても新しく花火が打ちあがらないことで、周りの人々はそぞろにその場を後にしていた。俺らも何も咲かなくなった夜空を見るのをやめて、お互い向き合った。


「だね」

「すごかったな!」


 健吾は興奮した様子でそう言う。健吾にとっては食べ物がメインディッシュだと思っていたが、これは認識を改めなければいけないか。


「ん。すごかった」


 そう言う彗は気づいたら鈴たちがいる最初のポジションまで移動していた。


「ねね、来年もこのメンバーで行かない?」

「さんせー」

「おう! おれも賛成だ!」


 鈴の提案に皆が賛成するなか、月だけが暗い表情をしていた。


「月ちゃんどうしたの?」


 すぐに鈴が聞く。


「あっ! 私もすごくキレイだったので私も来年一緒に行きたいです!」

「だよね!」

「そのときは屋台全制覇しようぜ!」

「確かにそれあり!」


 そんななんてことない会話をこのメンバーで来年も一緒に行けるかの様に話した。人間関係に限らず、人はいつどうなってしまうかなんて全く予想なんてできないというのに。俺はその事実を考えないように「食い意地はりすぎだろ」と会話に参戦した。




「にいに、おかえりっ」

「ひかりまだ起きてたのか?」


 家に帰るとひかりが出迎えてくれた。けれど瞼をこすっていてとても眠そうだ。


「母さんは?」

「さっきおしごといっちゃった……」


 どうやらひかりを寝かしつけてから仕事に行ったらしい。そして俺の玄関を開ける音で起きてしまったのだろう。言ってくれれば早く帰ってきたのに。


「じゃあひかり、にいにお風呂とか終わったらすぐに行くから、先にお布団のところ行ってて」

「ん。わかったー」


 そう言ってひかりを布団に行かせて俺は風呂に向かった。


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