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月が太陽を絆すまで  作者: ウパ戌


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消えゆく時間

 二人で歩きながら合流場所に向かう。月とは手をつないだままだ。

 そろそろ彗が座っているであろうところに着く。できればその前に話を聞きたいけれど、あれから俯きながら歩いているうえ会話がないのでいまさら切り出しにくい。

 手を繋いでいるのに他の手を繋いでいる人々と全く異なる様相だ。すると、突然月の足が止まって、それにより俺の手が引っ張られる。


「……」


 特に何を言われるでもなく、ただ、止まっただけ。けれど手を握る強さはさっきよりも強い。


「どうした?」

「……」

「そろそろ行かないと間に合わないよ」

「あさひさんは……」

「ん?」


 まだ彼女は俯いている。


「朝日さんは彗さんと付き合っているのですか?」


 月は顔を上げる。

 まさかのことを聞かれた。どう答えるべきだろう。


「……そうですか」


 答えに窮することが俺の答えだと言わんばかりにそう言った。その言葉にも俺は何も答えられない。


「なら一緒にこういうところに行けるのは最後ですね」


 そう言う彼女の瞳は潤んでいて、祭りの華やかに煌めく光を反射している。俺はこんな場面だというのにその姿に少し見とれてしまった。どれぐらい彼女を見ていたのだろう。どちらも声を発せず、動こうともせず、ただ握った手だけが俺と彼女を繋いでいた。

 突然、彼女の瞳に花が咲いた。すぐに音が響いてそれが花火であることに気づいた。その音が俺たちの間の心地よくもある静寂を破った。


「行きましょうか」


 彼女は儚く笑って歩き出した。手はもう離れていた。




 彗の座るベンチには鈴と健吾もいた。


「見つかって良かった!」


 俺たちが近づくとすぐに三人は気づいて、近寄ってきてくれる。人混みが少なくなっているというのもあるのだろう。


「はやくいこっ!」


 鈴が月の手を取る。彗もその横について二人についていく。必然的に俺と健吾がその三人の後ろにつくことになる。健吾はまだ唐揚げを食べていた。


「それ何個目だ?」

「あー、覚えてないな! とりあえず沢山食べたぞ」

「楽しんでいるようで良かったよ」

「朝日もいるか?」

「俺はお腹いっぱいだから遠慮しておくよ。ありがと」


 俺らがそんな話をしている間にも花火は絶えずあがっている。花火が打ちあがり、咲いたと思ったらすぐに落ちていく。そんな一瞬の美しさがどんどんと打ちあがっては消えていく。昔の人達が人生の儚さに例えた気持ちがよく分かる。

 俺は見ていられなくなって空を見るのをやめて、花火が描かれる音とパラパラと消えていく音だけを聞いた。

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