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月が太陽を絆すまで  作者: ウパ戌


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捜索と独白

 月がいなくなった。


「とりあえず電話しよっか」

「ん」


 すぐに電話をかけるが、コール音もせずにツー、ツー、という音が聞こえる。どうやら電源が切れているらしい。


「彗、まずいぞ。月のスマホの電源切れてるっぽい」

「もしくはブロックされてるか」

「それはないと信じたいが……。とりあえず探そ」

「ん。鈴と健吾にも言っておく」

「そうだな」


 花火の打ち上げの時間までに合流するためにできるだけ人手は欲しい。


「なら合流場所を決めておいて後で合流しようか」

「バラバラで探すの?」

「そっちの方が見つける確率あがらないか?」

「……」


 彗にしては珍しく返事に詰まっている様子だった。いつもの様子じゃない。何か思うところがあるのだろうか。


「いっしょさがそ?」

「それは分かれずにってことか?」

「ん」

「どうして?」

「……分かれると私も人波に押し流される危険がある」

「まあそういうのなら」


 彗は袖をつまむ手を離して前のデートでしたように腕を絡めてきた。


「月はそんな遠くに行っていないはず。だから少し外れたところをみてみよ」


 そう言ってグイッと歩き出した。俺も転ばないように急いで歩き始めた。

 俺たちは人の流れに逆らって歩いてきた道を戻る。早く見つけなければ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 はぐれてしまいました。せっかく高校で初めてできた友達と夏祭りに来ていたのに。

 私はこの祭りの為に設置されたであろうベンチに座ります。すぐに疲れがドッときて、足の親指と人差し指の間が痛いです。


「はあ……。何をやってるんでしょうか」


 スマホを取り出して朝日さんたちに連絡しようとしましたが、電源ボタンをいくらおしても画面がつきません。おそらく充電が切れているのでしょう。日中に祭りについて調べまくっていたのが原因でしょう。

 そのせいで連絡も取れませんし、今の時間も分かりません。これじゃあ花火があとどれぐらいで始まるかも分かりません。

 期待してたんだけどなあ……。

 私は溢れてこぼれそうな涙を何とか瞼の中に閉じ込めます。

 おそらく今日が朝日さんたちと行ける最後の夏祭りです。赤堀さんは部活で忙しくなると思いますし、そうでなくても鈴さんは赤堀さんを好んでいるらしいので、一緒に行くことでしょう。彗さんと朝日さんもです。二人が今どういう関係かは分かりませんが、二人の距離感がいつもより近かったです。好き合っているのでしょうか。分かりません。けれどそうだったのならやはり私は邪魔ものです。

 このまだ曖昧な夏休みが終わってしまったら、また中学校の頃の何もない私に元通りです。見た目を変えても、勉強をしても、やはり私は何も変われていないのでしょう。

 俯いた私の眼下に広がる石畳に丸い点がポツポツと現れます。なんでしょうか。頬を伝う感触にそれが私の涙が付けた跡だということに気づきました。ああ、情けないなあ。もういっそ帰ってまた自分の部屋の中に閉じこもってしまおうか。


「ここにいたっ!」


 顔を上げると息を切らして肩を上下させている朝日さんがいました。

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