詰問の時間
鈴のその言葉に俺は固まった。
「それってプリクラだよね?」
おずおずと彗のスマホの裏を指をさして聞いてくる。
「……そう」
「しかも朝日と二人のプリクラ」
「……」
「よく見ると初デート記念って書いてあるし」
彗は俺を見ながら言った。俺が隠したいと思っているのだろうか。
「え、え? 本当にどういうこと?」
鈴は俺と彗を交互に見ながら言う。
これはどうしようか。彗の方を見ると、どうしたらいいか考えている風だった。彗が気にしていないのなら、隠すことでもないのだが。というかそもそもスマホに貼っているのだから隠しているわけはないか。
俺は彗に目配せすると、彗も言いたいことを理解したのか頷いた。
「実は俺たち付き合うことになったんだ」
「えー!!」
俺たちの告白にいち早く反応したのは鈴ではなく、ひかりだった。
「ってことは、にいちゃとすいはほんとうのこいびとさんなの!?」
「え、あ、うん」
「へー!」
きらきらとした瞳でぐいぐい聞いてくる。
「それでどっちからこくはくしたの!」
「えっと、それは……」
こんな感じで、母さんに伝えた遊びの時間の終わりまでひかりの詰問は続いた。終始、鈴は聞きたいことはあるけど、ひかりがいるから聞けないようなそんな複雑な表情をしていた。
「じゃあ、今日はもう帰るね」
「ん。じゃあまた」
「……また聞かせてもらうから」
「それは、うん。分かった」
「彗は今からね」
「……ん」
「あ、二人とも一応言っておくと、私は二人が付き合ってるのは良いと思うし、祝福する。けど隠されていたのはちょっと傷ついた」
「ごめん」
「ん。ごめん」
「分かればよろしい! んじゃ、朝日とひかりちゃん、またね!」
「うん。また」
「またね! すず、すい!」
そう言って振り返った後、後ろからタタッという足音が近づいてきた。振り返ると彗だった。
「どこまで言っていい? 鈴に隠し事あんまりしたくない」
「彗にお任せするよ」
「ん。分かった。じゃあ、また」
「うん。また」
そうして彗は鈴のところへ駆けて戻って行った。
「にいちゃすいとけっこんするの?」
「んー、どうだろうな」
「そうなの?」
「そうなの。これからどうなるかは分からないからね」
「そうなんだー」
ひかりは繋いでいる手を振りながら、あんまり分かっていない様子でそう答えた。
「というかあんなセリフどこで覚えたんだ?」
「ママがみてたてれび」
「やっぱりか。あんまりえいきょう受け過ぎないようにな」
「……? うん!」
ひかりはあんまり分かっていない様子で首を傾げてから、とりあえず返事しておこうの精神からか元気にそう言った。
俺はぐりぐりと誤魔化すようにひかりの頭を撫でた。
「ひゃー!」
まあいろいろあったけどひかりが幸せそうで何よりだ。




