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月が太陽を絆すまで  作者: ウパ戌


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37/54

プリクラにて

「最後はここ」


 ゾンビゲームの後、連れられたのは布がかかった四角い筐体だった。色はカラフルで、その側面にはキレイな女性が描かれている。しかもその筐体が複数立ち並んでる。上には「男性のみのご利用はご遠慮ください」と書かれた看板がぶら下がっていた。いわゆるプリクラというものだ。


「この中に入るのか?」

「ん」


 彗はかかってる布を軽く持ち上げてから、こちらを振り向く。


「あさひもくる」


 俺は彗に次いでその中に入る。彗は俺が入るのを確認した後、その布を降ろした。中は外側とたがわずカラフルで、中央に配置されている操作画面には大きさやモードなどの選択画面があった。


「てか高くないか?」

「ん。こんなもの」


 彗は迷いなく五百円玉一枚と百円玉一枚を投入口に入れた。


「俺も出すよ」

「わかった。じゃあ次撮るときお願いする」

「それいつになるの?」

「分からない」


 そう言いながら彗は操作を進めている。逐次案内する声が聞こえてくるが、それを待つまでもなくポチポチと押している。

 すぐに「今から撮るねー」とアナウンスが聞こえてくる。彗は俺の横にピタッとくっついてくる。彗の無表情のピースサインが画面に映し出されている。俺も合わせるようにピースを作る。


「3、2、1……。じゃあ次は二人でハートをつくっちゃおう!」


 彗はその音声に合わせて遠い方の手でハートの片方を作り、俺の方に寄せてくる。ポーズの指示もあるのか? 恥ずかしいけれど棒立ちでいるわけにもいかず、俺もハートの片方を作って彗の手に合わせた。

 それから二人して会話はないものの、こちらの空気を読まない指示をなんとかこなした。その内容は自分がそのポーズをしているという事実を客観視したくないものであった。


「落書きたーいむ!」


 撮り終わったと思ったらすぐにそんな音声が流れる。もはや俺たちよりもこいつの方が喋っている。

 彗は、いやに目がでかくなって最早この世のものではない姿になった画面の中の俺に猫耳や髭を描いている。俺もペンをとったは良いものの、何を描けばいいか分からなかった。


「あさひもなんか書こう?」

「こういうのって何を描いたらいいんだ?」

「なんでも」


 そう言われても……。彗は写真の下あたりに「初デート記念」と書いている。俺は結局何も思いつかないので、彗の真似をして彗に猫耳を描いた。

 外に出て現像された写真を見て目を逸らしたくなったが、隣の彗はすごいホクホクとした雰囲気で、うきうきで横に置いてあるハサミで写真を切り離していた。


「ん、これ。あさひの分」


 そう言って四枚綴りの写真を渡してくる。彗は俺に渡すと満足したのか机の上で何やら作業しだした。俺は受け取った写真を鞄に入れた。


「どう?」


 作業を終えた彗はスマホの裏をドヤ顔で見せてきた。透明なスマホのカバーの裏にはさきほど撮ったプリクラが挟まれていた。傍から見たらラブラブなカップルだ。


「めっちゃ恥ずかしい」

「ん。わかる」


 そう言いながらも特に何を変えるでもなく、そのままスマホをポケットにしまった。俺はやらないからな。


「じゃあかえろ?」


 心なしか顔を赤く染めた彗は俺の手を取ってその場を後にした。

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