ゲーセンデートにて
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさま」
俺たちはご飯を食べ終え、フードコートを後にした。
「この後どうしようか」
「親交をふかめよう」
腕を絡める彗は俺を見上げてそう言う。
「というと?」
「ん」
その差された指の先にはゲーセンがあった。
入ると視界にまず飛び込んできたのはクレーンゲームのコーナーだった。ショーケースの中にはぬいぐるみやら、フィギュアやらが入っている。
「へー、こんな広かったんだ」
「そう。あんま朝日はこない?」
「だね。機会がなくて」
「じゃあおしえてあげよう。まずはクレーンゲーム」
ぐいぐいとクレーンゲームの筐体の間を縫うように引っ張られる。そして小さい猫のぬいぐるみが複数体いる筐体の前で止まった。
「この子、可愛いしとりやすそう」
「そんな簡単にとれるものなのか?」
「ん。よゆー。みてて」
彗は自分の財布から百円玉を取り出してコインの投入口に入れた。迷いなくボタンを押すと、すぐにクレーンが動き出した。みるみるうちにぬいぐるみの上に移動する。そして動きが止まると、どんどんと降りていきその爪がぬいぐるみのタグの輪っかにまっすぐに入っていった。そうして彗はものの一発でそのぬいぐるみを取ってしまった。
「すごっ」
「ん。まかせてほしい」
そう言って下から猫を取り出してピースをした。
「これ、ひかりちゃんにあげる」
「いいのか?」
「ん。もともとそのつもりで取った」
「分かった。責任もってひかりに渡すよ」
「ん。じゃあ次いこ。次はこっち」
再び絡められた腕に導かれたのはゾンビが表示されているモニターがあるところだった。なんだ? よく見ると手前に銃のようなものが二丁置かれていた。
「よし」
彗はすぐに百円玉を入れると、俺が自分の分の百円玉を出す前に銃を一丁渡してくる。
「あとでお金は払うよ」
「気にしないでいい。いいからやる。すぐに敵がくる」
「え? あ!」
画面に目をやるとすぐにゾンビがやってきた。俺は慌てて銃口をゾンビに向けてトリガーを引いた。けれど、すぐに球が切れて沢山のゾンビが迫ってくる。
「おい! やばいって! 彗、どうしたらいい?」
「ん。わからない」
「え、マジで?」
「マジ」
ゾンビが大量に迫ってきているのは別に俺だけのせいじゃなかったっぽい。彗はゾンビに向けてトリガーを引いているが、ずっとカチカチという音しかならずに結局すぐにゲームオーバーになってしまった。
「彗、これやったことあるんじゃないの?」
「ない」
「なかったんかい」
「ん。でもいつかやってみたかった。けどすぐやられちゃった」
彗はいつもの無表情だが、ゲームが終わってもずっと銃のトリガーをカチカチとしている。
「なあ彗」
「ん?」
「足のペダルでリロード出来るんだって」
俺はさっきは読めなかったモニターの土台に書いてある説明書を読んでそう言った。
「なるほど。ほんとだ」
「じゃあもう一回やるか」
「え?」
すぐに俺は百円玉を二枚入れてもう一度銃を構えた。
「ほら、彗も早く構えて」
「ん。きたいには答える」
それから俺たちはなんとか一ラウンドをクリアしたが、二ラウンド目の新しい種類のゾンビにボコボコにされた。




