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月が太陽を絆すまで  作者: ウパ戌


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32/54

どうして?

 放課後、俺と彗に加えて鈴の三人(健吾は部活があるらしい)は教室に集まっていた。月は授業が終わるとすぐに帰ってしまった。


「それで月はなんで怒ってた?」


 彗が前の疑問を俺たちにぶつけてくる。どう話そうか。


「実は私もそんなに事態を把握してないんだけど……。どしよ」

「月が一位になりたいらしいから譲った。それだけ。なのにあんなに怒ってるのわからない」


 少し唇を尖らせて彗が言う。


「ああ……」


 鈴は察したようで苦笑いをしている。


「鈴もわかるの?」

「まあ、少しは?」

「おしえて」

「その、月ちゃんは頑張って一位を取りたかったんじゃないのかな?」

「?」


 彗は首を傾げた。


「月は一位になりたいと言ってたけど、そのなりたい理由は自信をつけたいからなんだ」

「自信? 推薦じゃなくて?」

「うん、自信。これ以上俺から言うのはちょっとあれだから月に聞いてほしいけど、少なくとも月は彗にライバルだと認められたのかなって嬉しそうにしていたよ」

「わたしはライバルなんて思ってなかった」

「そうかもしれない。けど、月にとっては超えたい壁だって思ってたんだ。今回超えられなくても次は超えるって。それが突然自分に気を使って点数を下げたんだ。そりゃあ、ああなるよね」


 それからしばらくの間、彗は考え込むように黙って俯いていた。


「分かったと思う。たぶん」


 俯いたままそう呟いた。


「そっか」

「月とはなしたい」

「じゃあ話に行こうか」

「でも帰っちゃったよ?」

「駅までは時間かかるし今連絡すれば間に合うんじゃないか?」


 俺はスマホを取り出してすぐに月に電話を掛ける。出てくれればいいのだけれど。


『はい』


 俺の心配とは裏腹に、すぐに出てくれた。


『彗が月と話したいらしいからさ、これから会えないか?』

『今からですか?』

『うん』

『……分かりました。どこで待っていたらいいですか?』

『あー、今どこら辺にいる?』

『もうすぐ駅に着くぐらいです』

『そっか、じゃあいつものファミレスに行ける? 俺たちもすぐに行くから』

『分かりました』

『じゃあまた後で』

『はい』


「駅のファミレスで待っててくれるって、じゃあ行こうか」


 俺は通話を切り、二人に向き直った。


「ねえこれ、私っている?」


 鈴が自信なさげにそう言った。


「ん。いる」

「ほら、二人がまたあんな雰囲気になったら俺一人じゃどうにかできないからさ。やっぱりムードメーカーって必要だと思うんだよね」

「ムードメーカー……」

「そう。二人がこれからも仲良く過ごすために必要な役割なんだけど、鈴なら適任だと思うんだ」


 俺がそういうと鈴は背筋を伸ばし、顔を上げた。


「うん! 任せてよ!」

「任せた。じゃあ、待たせてるし早く行こうか」

「ん」


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