期末テストの結果
前回の発表の時と比べて掲示板の前は空いていた。それでも人は多く、順位が気になるというより暇つぶしで来ているのだろう。
隣の月は手を胸の前で組んで、真剣な表情で紙が貼りだされるのを待っている。健吾と鈴は自分たちは流石に順位に載れないと言って、教室にいる。彗もそれに合わせて、健吾たちといっしょに一緒にいると言って教室に残っている。
「一位取れましたかね」
「さあ。それは今は先生のみぞ知るってやつだな」
「それは……そうですけど……」
間もなく、前回と同じように先生がロールを持ってきた。何だか俺も緊張してきた。
「え……?」
月は紙を見て固まっていた。紙の一番上、一位のところに『月夜野 月』と書かれていた。その下の二位の名前は彗の名前でなかった。
「どうして?」
彗の順位はそこからかなり下、六十位のところに名前があった。横に書いてある点数は490点だった。前回のほぼ満点と比べたら圧倒的に低くなってる。
「一位だね」
「……ちょっと行ってきます」
一位を取ったのにあんまり浮かない表情だった。暗い顔をしながら速足で教室へ行った。教室にはそこまで人はおらず、鈴たちのグループと何人かがいるだけだった。
そして一直線に彗の席にいくと、その机に勢いよく両手をつけてそう言った。
「彗さんどういうことですか」
「? 一位取れた?」
「それです」
「なにが?」
「わざと点数減らしましたね」
「……別に私は一位いらない。推薦とか狙ってる人に譲る。成績は最低限あればいい」
「私は与えられた一位なんていらない。そんなの何の価値もない」
「価値はある。外から見たら同じ一位」
「そんなもの関係ありません」
二人のこの一発触発な場に俺たちは固まる。なんならも月の方はもう爆発しているかもしれない。
「二人とも一回落ち着こ? なにか誤解があるかもしれないし」
「ない。つきが言ってることはじじつ」
鈴の指摘にすぐ彗の方から否定が入った。
「なにがきにいらない? 別に月に損はなかったはず」
「損得の話はしてませんし、損はありましたよ」
「なに?」
「私が勉強した時間です」
「? それこそ分からない。目標の一位は取れたはず」
「私が欲しいものじゃないからです」
「? 意味不明」
「そうですか。分かりませんか。じゃあもう話すことはないです。ライバルだと思ったのに……」
そう言って月は自分の席に行ってしまった。ど、どうしよう。隣にいる健吾と鈴も何をしたらいいか分からず固まっている。まさかこんなことになるなんて。
「えっと彗?」
「なに?」
「わざと点数下げたのは事実なの?」
「ん。一位取りたいって言ってたから。だから譲った」
「そっか……」
「なんで月は怒ってる?」
「そうだな……。なにから話そうか」
説明をしようとしたところ、タイミングが悪くチャイムが鳴り、先生が入ってきてしまった。
「ごめん。また後で説明するから」
「ん。分かった」
この状況、どうしようか。




