意図不明なメッセージと期末試験
『あさひ』
『どうしたの?』
期末試験の前の夜。突然彗からメッセージが来た。
『つきは一位になりたいの?』
そしていきなりそんなことを言われた。
『どうして?』
『ちょっと気になったから』
んー、言っていいものか。まあでもそんな隠すことでもないのか? 口止めされているわけではないし、むしろ「聞いてみる」と言ったらしれはもう答えじゃないか。
『まあそうなんじゃないか? 前回二位だったし』
『そっか。分かった』
それっきりメッセージは送られてこなかった。本当に何だったんだ?
一日目、試験は恙なく終わった。試験は合計七科目二日間、どちらも午前中に行われるので、午後の時間はすべて勉強の時間にあてられる。
「ふー」
健吾が教室の椅子の背もたれに寄りかかりながら息を吐いた。俺はその正面で明日の教科の勉強をしていた。
「なあ朝日、ここはどう解くんだ?」
「ああ、ここは……」
一度集中が切れたと思ったのだが、健吾はすぐに持ち直してまた勉強を始めた。今回はしっかりやる気だ。これならしっかり赤点を回避できそうだ。少し離れたところでは鈴たちいつもの三人が勉強をしている。そのため時々、「うわぁー」とか、「うー!」とか鈴の悲鳴が聞こえてくる。けれど、焦りがあるのかしっかり勉強しているようだ。俺もそれに倣って勉強を再開した。
二日目の試験も無事に終わった。あとは、結果の張り出しを待って、終業式さえ終わればもう夏休みだ。俺は席を立ってバイトへ向かおうと教室を出る。
「朝日さん」
「ん?」
月がちょうど近くにいて声をかけられた。
「お帰りですか?」
「うん。今日からまたバイト」
「駅の方でしたよね? 途中まで一緒に帰りませんか?」
「いいよ。帰ろうか」
「ありがとうございます! 荷物取ってきますね」
そう言ってパタパタと自分の席へ行き、鞄を取って俺のもとまでまたパタパタと小走りで戻ってきた。
「行きましょうか」
「おう」
そんなに急がなくても良かったのに。
「朝日さんは今回の試験はどうでした?」
「んー、まあ前回よりかは解けたかな。わんちゃん二桁になるかもぐらい」
「それはいいですね」
「月さんは?」
「私はですね……」
月は少しためを作った。
「実は結構できました! これは打倒、彗さんも夢じゃありません!」
「そっか。それはすごいな」
「今回は前回よりも頑張りましたから」
「そういえば、一昨日、彗から月が一位目指しているのかってメッセージがきたんだけど。教えても良かったか?」
「え? 全然かまいませんけど……。何故でしょう」
「それが俺にも分からなくてさ、本当にそれだけ聞いてきたんだ」
「なるほど……。これは私をライバル認定してくれて、その敵情視察でしょうか」
月は軽く握りこぶしを作っている。これは燃えている。
「勝てるといいな」
「はい! もし、万が一。いや億が一、ここで勝てなくても、次はもっと勉強して勝って見せます!」
「それはすごい気合だな」
「はい。彗さんはライバルですから!」
「じゃあ頑張らないとな」
「はい!」
そんな話をしながら俺たちは駅の方向へ向かって歩いて行った。ここまで頑張っているともっと応援したくなってくる。俺ももう少し勉強頑張るか。




