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月が太陽を絆すまで  作者: ウパ戌


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27/57

いつものメンバーでの打ち上げ

「それじゃあ、かんぱーい!」


 鈴のその合図で俺たちはグラスを合わせた。


「っぷはー!」

「いやー、朝日とも打ち上げできて良かったぜ」

「ごめんな。いろいろと予定合わせてもらっちゃって」

「あさひは気にしなくていい。私たちがやりたかっただけ」


 彗はポテトをひょいパクッとつまみながらそう言ってくれる。みんな俺にはもったいないぐらい優しい人達だ。


「です。なので楽しみましょう?」


 すっかりこのグループに慣れた月もそう言ってくれる。


「てか、健吾と朝日の二人三脚めっちゃ早かったねー。あれ、マジでやばかった」

「だろ? やっぱり朝日はスポーツをやるべきだと思うんだよなー」

「しかも中学はサッカー部だったんでしょ?」

「まあそうだけど」


 俺はドリンクバーで取ってきたオレンジジュースを飲む。うん。美味しい。


「けど高校はバイト頑張るって決めたからさ」

「そういうけどよー」

「あさひが決めたのならそれがいちばん」

「まあそうなんだよなー」


 そう言いながら健吾が項垂れる。


「朝日さんってサッカーやっていたのですか?」

「あれ月ちゃん知らなかったっけ」

「はい……」

「朝日はなー、めっちゃ強かったぞ! なんと言ったって別の中学だった俺にまで噂が来るぐらいだったからな」

「へえ。そうだったんですね。だから体育祭の時もすごかったんですね」

「そこまでだよ」

「いや、本当にすごかったですよっ!」

「っうん。ありがとう」


 月はそう言って机に手を置いて体を乗り出してきた。うん。やっぱりこの子押しが強くなってるな。


「でもなんでサッカーやめちゃったんですか?」

「……だからバイトを頑張れるためだって」


 俺はぴっしゃっと言い切った。月はそれ以上聞いてこなかった。


「ってかそろそろ夏休みだよねー」

「たしかに」

「このメンバーでどこか行くか?」

「それありっ!」


 鈴が言い出した健吾に指をさして言う。


「どこか行きたいところはあるか?」

「私、夏祭りに行きたい!」

「ありあり」

「わ、私は海に行ってみたいです」

「いいねいいねー」

「じゃあ全部行くか!」

「お、良いこと言うね!」

「おまえたちさ……」

「なんだ朝日、夏休み毎日バイトとか言わないよな?」

「流石にそれはないって」

「じゃあなんだよ」

「いや、期末テスト忘れてないか?」

「……」


 そう俺が言ったとたん盛り上がっていたこの場が一気に冷たくなった。


「しかも期末は赤点なら夏休みに補習だろ?」

「……」


 鈴も健吾も口を開かない。


「み、みなさん。いっしょにがんばりましょー」


 少し顔を赤くしながらたどたどしい身振りで月が盛り上げようとしている。けれど二人は何も答えず、


「グランピングとか行くのはどうだ?」

「確かにありだね!」


 ついには二人は何も聞いていなかったかのようにそう言った。


「ん。かわいそう」

「すいー!」


 鈴はいち早く現実に戻ってきて彗に抱き着いた。


「鈴さん、大丈夫です。まだ時間はあります! 私も教えますから」

「月ちゃん……」

「ほら健吾も戻ってこい」

「でもよぉ……前回三百八位だったんだぞ」

「っす……。まだ時間はあるから大丈夫だって!」

「あさひ……!」

「たぶん」

「あさひ……」


 まあ早いうちに始めればきっとどうにかなるだろ。俺は項垂れる健吾を慰めながらオレンジジュースに口をつけた。前の三人はまだわちゃわちゃしていた。



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