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月が太陽を絆すまで  作者: ウパ戌


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22/55

公園での遊びと不穏な雲行き

「すず! はやくー」

「ひかりちゃん、ちょっと待ってよー」

「すず、おそーい」


 鈴はあれから砂場とかアスレチックとかを、ひかりに引っ張られながら回っている。彗は早々にダウンしてベンチで座ってそれを見守っていて、俺もその横に座っている。


「こどもの体力をなめてた」


 彗はもう体力が少しもないと言わんばかりにベンチで項垂れている。


「それにしても体力がなくないか?」


 彗がリタイヤしたのはブランコで、ひかりの背中を押していたら途中でもう腕が限界だとダウンした。最初の威勢だけは良かったのだけれど……。


「うるさい」


 彗はジト目で俺の方を睨んでくる。


「ごめんって」


 ぺちっと俺の前腕が彗によって叩かれる。


「ねえー、彗も朝日もこっち来てー」

「分かったー」


 鈴がひかりと走り回りながら俺たちに声をかけてきた。


「すず! まてー」

「ふふん。そんな簡単に捕まらないよー」

「しかたない。わたしも参戦してやるか」


 まるでラスボスかのように彗はベンチから立ち上がり、のっそりと鈴たちの方へ歩みを進めている。俺もその後ろをついて行った。


「にいちゃもおいごっこする?」

「しよっかな」

「うん。いれてあげる! にいちゃおいね」

「よっしゃ任せろ」


 俺は早歩き程度の速さでひかりを追いかける。


「ひやぁぁ! にいちゃ! すずとすいをおいかける!」

「鈴と彗も?」

「ん! ぜったいつかまえるの!」

「二人は仲間じゃないの?」

「? つかまえるの!」

「分かった。二人とも覚悟しなよ」

「ふふん。朝日に私を捕まえられるかなっ!」

「かな」


 調子に乗る二人に少しかちんときたし、何よりひかりの言うことだ。なら俺はそれを遂行しなければいけない。


「余裕こいていられるのも今のうちだぞ。特に彗」

「ふっ、かかってこい」

「にいちゃいけー!」

「おう」


 キーンコーンカーンコーン

 

 鬼ごっこも終盤、彗を捕まえた後に鈴を捕まえようとした時、正午を知らせるチャイムが鳴り響いた。


「あ、わりぃ。もう帰るわ。昼ご飯の準備があるからさ」

「そうなの?」

「りょうかい」

「えー! まだあそぶっ!」

「でもお腹すいただろ?」

「むぅ」

「むくれても駄目。二人にありがとうとさよならは?」

「むぅ……」

「ほら、ひかり。ちゃんとばいばいしよ?」

「ひかりちゃんばいばい」

「ひかり、またね」


 二人も空気を読んでそう言ってくれる。


「いや! すずもすいもいっしょたべる!」

「さすがにできないよ」

「できるもんっ……」


 ひかりがわがままモードになってしまった。こうなると長いんだよなあ。


「ほら早く行かないとお腹減って倒れちゃうよ」

「おなかへらないもん……」

「あの朝日? 私たちどうしたらいい?」

「いや、そのまま戻って大丈夫だよ。今日は付き合ってくれてありがと」

「いっしょたべるの! ひかりのいえにしょうたいする」

「もうわがまま言わないの」

「ふぇっ」

「あのさ、朝日さえよければいっしょにご飯食べようか?」

「ん。よければぜひ」


 彗と鈴がそんな提案をしてくれる。


「ほんとぉ!」

「いや駄目だ」


 けれど家に二人を招くわけにもいかないので何とか断る。


「二人ともありがとうね。じゃあまた」

「あ、ちょっと……」

「あさひ?」


 そう言って俺はひかりの手を引いて家へ向かった。

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