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月が太陽を絆すまで  作者: ウパ戌


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20/57

お出かけの終わりと帰宅

残念なことに、あれから注文したドリンクを飲み終わっても猫たちは月の膝の上に乗ることはなかった。月は途中で猫の餌を大量に課金をしようとしていたが何とか止めた。


「朝日さんは意地悪です」


 月は不貞腐れた表情で頬を膨らませている。


「そう言われても」

「自分は猫ちゃんたちに好かれてるからって」

「ほんとうにそう言われても」


 そう月のところには寄ってこないのに俺のところには、膝の上にぎゅうぎゅうに乗っている二匹の猫と、足にもたれかかって休んでる子の合計三匹の猫がいるのだ。


「いいですよ。私が好かれないのが悪いんですし……」

「そんなことないから。ほらお前あのお姉ちゃんのところ行ってあげて」

「にゃ」


 手で少し促してあげても猫たちは動かない。というかそろそろ重くてしんどくなってきた。


「むむぅ」

「じゃあそろそろ出るか」

「悔しいですがもう飲み物もないですし、仕方ありません」


 俺は二匹の猫を床に降ろして立ち上がった。足元で猫たちが名残惜しそうに鳴いていて後ろ髪を引かれる思いだったけれど、全員に一撫でずつしてから店を出た。その間も月は恨めしそうな顔をしていた。


「もう朝日さんと猫カフェには行きません……」

「きっとここの子と相性が悪かっただけだよ。他の店の子だったら立場が逆転するかもしれないじゃん?」

「本当ですか……?」

「うん」

「ぜったい?」

「多分」

「たぶん?」

「絶対だね。うん。絶対だ」

「じゃあ、えっと、その、今度また別の店一緒に行きませんか?」


 さっきの恨めしい顔と一転して、今度は上目遣いで恥ずかしそうにこちらを見てくる。俺はなんだか恥ずかしくなって目を逸らした。


「そうだな。また行こうか」

「はい! ありがとうございます!」

「とりあえず今日はもう解散しようか」

「そうですね。個人的にはまだ一緒に遊びたい気分ですけど、時間的にもちょうどいいですし」

「近くまで送っていくよ」

「いや、私は電車なので大丈夫ですよ。駅もすぐそこですし。ありがとうございます」

「分かった。気を付けてね」

「はい。ありがとうございます。朝日さんもお気をつけてください」

「うん。ありがとう」

「では、また学校で」

「うん。じゃあまた」

「はい」


 月はペコリと頭を下げてから駅の方へスタスタと歩いて行った。俺は彼女のその背中を少し見送った後に自分も帰路についた。


「ただいまー」

「おかえりー」

「にいちゃ! おかえり!」

「おー、ひかりただいま」

「んっ!」


 家に帰ると、母さんの声が聞こえると同時にリビングのドアが開いて妹のひかりが迎えに来てくれた。ひかりは俺の返事を聞いてから、両手を広げて抱っこを要求してくる。俺はその要求の通り抱くと、ひかりは自分の体重をすべて俺に任せ、俺の頬にすりすりと自分の頬を合わせてくる。


「いい子にしてたか?」

「うん! にいちゃは?」

「にいちゃ? にいちゃもいい子にしてたよ」

「いいこだねえ」


 ひかりはそう言いながら俺の頭を撫でてくれた。


「ありがとう。ひかりもいい子にできていい子だね」

「ん!」


 俺もひかりの頭を撫ででから、ひかりを抱えたまま開いたドアを抜けてリビングへ向かった。


「おかえり」


 リビングには母さんが洗濯物を畳んでいた。


「ただいま」

「今日はどうだった?」

「うん。楽しかったよ」

「なら良かったわ。あ、明日ひかりがにいちゃと遊んでほしいって言ってたからお願いできる?」

「うん。いいよ。いつもの公園に連れて行くわ」

「ありがと」


 俺は腕の中で楽しそうに体を揺らしているひかりに癒されながらソファに座り、明日何で遊ぼうか思いを巡らせた。

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