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月が太陽を絆すまで  作者: ウパ戌


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19/54

その後、猫カフェにて

「えっと、この後はどうしましょうか」


 カフェでのひと時を終えて、俺たちはカフェのドアの外にいた。


「せっかくだしどっか遊びにでも行く?」

「ぜ、ぜひ!」

「どこか行きたい場所とかある?」

「お恥ずかしい話なんですけど、私自身あんまり友達と遊びに行ったことがなくて……。朝日さんはどこかありますか?」

「そうだな。俺も普段遊びに行かないからなあ」

「そうなんですか? てっきり赤堀さんたちとよく遊んでいるものかと」

「遊んではいるけど軽く外で飯食ったり、適当に喋ったりしてるぐらいだよ」

「そうなんですね。そしたらどうしましょうか」

「まあとりあえず駅の方歩く?」

「はい」


 特に当てもなく駅の方に歩いて行く。仲直りというか和解というか打ち解けたはずだけれど会話が続かない。そもそも仲良くなって間もないのだからそんなものか。


「月は休日とかは何するんだ?」

「そうですね。休日は読書をすることが多いですね。あとは猫ちゃんの動画を見たり」

「動物が好きなの?」

「はい! 最近はメインクイーンちゃんにハマってます」

「どんな子?」

「毛が長い子です! もうもっふもふで可愛くてたまらないです!」


 月は興奮した様子で語りだした。


「朝日さんはどんな子が好きですか?」

「俺、あんまり種類とか分からないんだよね」

「そうなんですか?」

「好きなんだけどね」

「あ! じゃあ今から猫カフェ行きませんか? 最近できたらしくて」

「いいね。行こうか」


 顔がぱあっと明るくなる。この子やっぱり表情豊かだな。

 猫カフェは駅の通りにある建物の二階にひっそりとあった。俺たちは暗い階段を登って店に入った。


「ふぁああ!」


 新しくできたということもあり、中はとても清潔で色んな猫がそこらじゅうを縦横無尽に闊歩していた。月はそれらに目を奪われるようにあっちこっちを見渡している。


「とりあえず席に座ろうか」


 月は猫たちに夢中で話なんて聞こえていなかった。


「月」

「は、はい。な、なんでしょう」

「とりあえず席に座ろう?」

「あ、そうですね……。すみません。テンション上がっちゃって」


 俺たちは席に座ってドリンクを頼む。机の上にはメニュー表の他に「猫スタッフ」の紙が置いてあり、店にいる子の名前と種類が書いてあった。


「あの子カペラちゃんですって! この子はアカマル君らしいですよ」

「そうだね」

「ほら、こっちおいでー」


 猫のおかげか、せいなのか月のテンションがあまりにもバグっている。けれど彼女の呼ぶ手にはどの子も反応しない。なんだか可哀想だけれど当の本人はあんまり気にしてなさそうだ。


「にゃー」

「ん?」


 気づいたら俺の膝の上にふさふさの子が乗ってきた。


「あー! その子がさっき言ったメインクイーンちゃんですよ!」

「そうなんだ」


 膝の子――紙によるとミラちゃんは足を畳んでゆったりとし始めた。俺がその子の頭を撫でるとゴロゴロと喉の音を鳴らした。


「朝日さんずるいです!」

「そう言われてもな」

「私のところには来てくれないのに……」

「ミラちゃん。良いかな?」

「にゃ」


 俺はミラちゃんの頭をポンポンとしてから、持ち上げて月の膝の上に置いた。ミラちゃんは抵抗せずなされるがままに着きの膝の上でまた落ち着いた。


「わわっ。へへ」


 月は癒されているのか興奮しているのか手をわなわなと動かしている。それに危険を察知したのかミラちゃんは「にゃっ」と短く鳴いて、膝を下りてまた俺のところに来た。


「なんでぇ」

「まあ猫は気まぐれっていうしね」

「でもぉ」


 悲しそうに項垂れた月に俺はつい笑ってしまった。

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