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月が太陽を絆すまで  作者: ウパ戌


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約束の日

『今日どっかいかないか? サッカー休みでさ』

『あー悪い先約があるんだ』

『そうか。了解』

『また誘ってくれ』

『おう』


 日曜日の朝俺は出かける準備をしていた。それもいつもより入念に。そんな気があるわけれはないけれど、女の子と出掛けるのなら最低限身だしなみは整えなければいけないと思ってのことだ。


「ん? 朝日、どっか出掛けるの?」

「ちょっとね」

「そ。気を付けてね」

「ういー」


 母さんのいるリビングに置いておいた荷物を取りに来た時に話しかけられた。


「夜ごはんはどうするの?」

「家で食べるよ」

「了解」

「じゃあ行ってくる」

「いってらー」


 今の時間で出ればちょうど十分前ぐらいには着くだろう。


 待ち合わせの駅の東口、ここの待ち合わせ場所と言ったら背の高い時計のオブジェだろう。事実、その下にはちらほらと何人か待ち合わせている人がいた。


「ねえねえおねーさん。一人?」

「え? あの、わたし、人を待っていて」

「えー、でもさっきからずっと一人じゃん」

「いや、その……。私が待ち合わせより早く来てしまって」

「そんな嘘はいいからいいから。ほらご飯も奢ってあげるから」

「本当に、あの、困ります……」


 そしてその中にナンパされている月夜野さんがいた。これは早く行ってあげないと。


「あの……。その子と待ち合わせているものなんですけど」

「あ?」

「あ! 東さん!」


 月夜野さんの顔がぱあっと明るくなりこっちにパタパタと小走りで来た。


「じゃあ、すみません。失礼します」


 そして相手に頭を下げると俺の腕をもった。


「ささ、行きましょう!」


 普段の月夜野さんでは考えられない機敏さでぐいぐいと俺を引っ張って進んでいった。俺は引っ張られながらもナンパの人に頭を下げた。彼は俺たちの速さにぽかんとしていた。

 しばらく進んだ後、急に月夜野さんは足を止めてしゃがみこんだ。俺はそれに対応できずに月夜野さんに少しぶつかってしまったが、なんとか力を入れて転ぶのを耐えた。


「はあ……!」

「大丈夫か?」

「は、はぃ……。すみません」


 彼女はまだしゃがみこんでいた。知らない奴に話しかけられてとても緊張していたのだろう。


「待たせてごめんな」

「い、いえ! 私が早く着いちゃっただけなので」

「まあいったん立とう」

「……はい」


 ひとまず手を差し伸べて月夜野さんを立たせる。


「それで今日は何か話があるんだっけ」

「そ、そうです。そうでした。なのでカフェに行きましょう」

「カフェ?」

「はい。ゆっくりお話しできたらなと思いまして。あ、奢るのでそこは安心してください」

「いや、いいよ。自分の分は自分で払うよ」

「まあまあ、とりあえず行きましょう!」


 なんだか月夜野さんのテンションバグってないか? そこはかとなくソワソワしているような感じがある。そんなやばい話なのだろうか。

 俺は今から始まるであろう話を憂いながら先を行く月夜野さんの後に続いた。

 

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