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月が太陽を絆すまで  作者: ウパ戌


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勉強会の開始?

「ここが朝日のバイト先かー。なかなか雰囲気があっていいね!」


 その日の放課後、思い立ったが吉日ということで俺のバイト先の喫茶店に来た。ここは外見からこだわりたいということで花壇があり、店内が見える窓がかなり多く設置されている。この木製の看板はかなり昔に立てたのか、色褪せていて良い味を出している。古き良きと言われればその通りだが、廃れていると言われれば否定はできない。少なくとも今時ではない。


「ふむ」


 彗は喫茶店の写真を撮っている。それにつられて鈴と月夜野さんも写真を撮った。自分のバイト先の写真を撮られていると思うと少し居心地が悪い。


「もう入ろうぜ」

「だな」


 健吾を先頭に俺たちは店の中に入る。


「いらっしゃいませー」


 榛名さんが見えて俺は咄嗟に健吾の体に身を隠した。


「何名様でしょうか」

「五人で」

「ではあちらの席へどうぞ」

「ありがとうございます!」


 案内されたのは窓際のボックス席だった。俺はどうせ注文の時にバレるというのになぜかまだ榛名さんから隠れていた。


「注文お決まりになりましたらこのベルでお知らせください」


 榛名さんはまだ俺に気づいておらず、そのまま下がっていった。


「ねね。あの人すっごいきれいだね!」

「ですね。本当に綺麗な人」


 二人はカウンターの方に行った榛名さんを眺めている。


「ねえねえ、あの人紹介してよ」

「嫌だよ面倒くさそうだし」

「えー」

「しかもあの人元ヤンだぞ」

「えー! めっちゃカッコいい! そういう人いいよね憧れちゃう。ね、月ちゃんもそう思うでしょ?」

「はい! カッコいいと思います!」

「わかる。わたしも目指すか」

「彗がヤンキーか。似合わないな」

「なんだと?」

「彗ちゃんどうどう」

「ふしゃー」


 ふざける健吾に彗が威嚇するが、ずっと無表情で抑揚も少ないのであんまり怖くない。


「というか早く注文決めようぜ。俺はホットコーヒーだけで」

「ですね」


 俺はもうメニューが分かっているのでメニュー表をみんなに見やすいように渡す。


「店員さん、おすすめは?」

「んーなんだろ。ザッハトルテは美味しいよ」

「何それ?」

「チョコケーキだけど杏のジャムが入ってるやつ」

「へえー、じゃあ私はそれで!」

「私はショートケーキにします」

「ガトーショコラ」

「俺は、ポテトとサンドイッチだな」

「じゃあ呼ぼうか」

「というか呼び出しのベル、本当の鈴なんですね」

「クラシックでよき」

「だねー」


 月夜野さんは少し遠慮気味にその鈴を揺らして音を鳴らした。


「はーい、ただいま」


 すぐに榛名さんが紙をもってこっちのテーブルへ来た。


「え! 朝日じゃん。なになにどうしたの?」

「お疲れ様です」

「この可愛い子たちと元気そうな子は友達?」

「そうですね」

「へー、へーー、へーーー。朝日にも可愛いところあるじゃん」


 榛名さんがみんなの顔をじろじろと眺めだす。


「と……ともだち……」

「月夜野さんどうした?」

「あ、いや。なんでもないでひゅ」


 月夜野さんはなぜが縮こまっている。


「いやー、朝日って友達いたのね。よかったよかった」

「俺をなんだと思ってるんですか」

「でも全然自分の話してくれないじゃない」

「それは聞かれなかったからですよ」

「ほんとー? まあいいけどさ。みなさんうちの朝日をよろしくお願いします」

「はい!」

「まかせろ」

「任せてください!」

「はい」


 俺は別に榛名さんのものじゃないのだけれど。まあいいか。


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