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月が太陽を絆すまで  作者: ウパ戌


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バイト先での一幕

「いらっしゃいませー。あ、朝日じゃん。お疲れー」

「お疲れ様です」


 バイト先の喫茶店に着くと、同僚で大学一年生の仲地 榛名さんがいた。榛名さんは金髪を後ろに束ね、喫茶店の制服を着ていた。店内には相変わらず客はいなかった。カウンターではマスターがサイフォンを拭いていた。余談だが俺はマスターの名前を知らない。榛名さんにも聞いてみたが榛名さんも知らないらしい。


「朝日君、お疲れ様」

「お疲れ様です」

「今日は校外学習の帰りだっけ?」

「そうです」

「楽しかったかい?」

「はい。楽しかったですよ」

「いいなー。私もどっか旅行行きたいー」

「大学生なんだから行けばいいじゃないですか」

「それがねー金がないんだよねー」

「榛名さん結構シフト入ってるじゃないですか。何に使ってるんですか?」

「女の子はお金の使いどころが多いのだよ少年」

「はあそうですか」

「あ、適当に流したな、まったくこれだから彼女いない男は」

「自分着替えてきますね」


 俺は会話はほどほどにバックヤードに行き、すぐに高校の制服から喫茶店の制服に着替えた。ホールに戻るとよく見る常連さんが二人、カウンターに座ってマスターと何やら話していた。俺は特にやることもないので机をキレイに拭いたり、椅子を整えたりする。


「いやーやることないのはないで考えものだよね」

「ですね。これで経営が成り立ってるのが謎です」

「だね」


 俺と榛名さんは隅で壁にもたれかかって話す。掃除とか最低限の仕事が終わるといつもこうして榛名さんと雑談している。あまりにも暇なのだ。店に来るのは常連さんが主で、その接客はマスターがほとんど行ってしまう。俺たちは新規のお客さん対応や、常連さんが多く来た時の対応が主な仕事だ。


「あ、お客さんが来たよ。いらっしゃいませー」

「いらっしゃいませー」


 さて仕事をしよう。俺はお客さんのところへ行った。


「ああー、つかれたー」

「今日は珍しく、新規のお客さんが多かったですね」

「だねー」


 俺たちはバックヤードで話す。もう営業は終了してあとは帰るだけだ。


「そういえば校外学習って何やったの?」

「資料館行ったり、バーベキューとか肝試しとかもしましたね」

「へー、いいなあ。バイトメンバーでいっしょにバーベキューしない?」

「しないです」

「えー、いいじゃん。あ、もしかして照れてる? 確かにこんなキレイなおねーさんとバーベキューは照れちゃうか。もー仕方ないなー。思春期め。ういうい」


 ストリート系の私服を着た榛名さんが肘でつついてくる。


「うざ」

「え? 今うざって言った? 言ったよね? それは良くないんじゃないかな」

「言ってないです」

「いや言ったよね!?」

「言ってないです。ほら送っていくんで早く行きましょ」

「仕方ない許してやろう。ありがとね」


 正直榛名さんを送っていくのは必要ないと思う。だってこの人元ヤンらしいし。今はもう足を洗っているらしいけれど高校時代はもう荒れていたらしい。前に榛名さんがバイクでバイトに来た時、そのバイクがヤンキーっぽくて冗談で聞いたら本当にそうだったのだ。当時はビビったが本人はもう黒歴史だと言って普通に接してと言われた。そこから何回も話して今の形に収まった。


「ほら行くよ。送ってくれるんでしょ?」

「はい。すぐ行きます」


 俺はまとめ終わった荷物を持って扉を開けて待っている榛名さんのもとへ向かった。

 

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