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第4話:【飯テロ】魔王軍の先鋒隊を「特製焼肉」で買収してみたww(ガチ)

「……はい、どうも皆さんこんばんは。異世界の平和を守るストリーマー、ツヨシです! 今日のロケ地はですね……なんと、魔王軍の進軍ルートど真ん中! ほら見て、あそこに砂煙が見えるでしょ? あれ、全部オークとトロールの軍勢です。マジでヤバいよね」


ツヨシは最前線の砦の屋上で、高性能【魔導ライブ・カメラ】を自撮りモードに切り替えた。背後には、ガチガチに緊張した王国騎士団が剣を抜いて構えている。だが、ツヨシだけはラフなTシャツ姿で、足元には巨大なクーラーボックスと、魔導クリスタルで熱した「無煙ロースター」を設置していた。


視界の端には、世界樹アンテナのおかげで過去最高の同接数を記録するチャット欄が流れている。


《王都の門番A:ツヨシ様、逃げてください! あれは一万の軍勢ですよ!》

《魔法学園の女子生徒:待って、あんなところで何焼いてるの? 匂いがここまで届きそう……》

《辛口騎士団員:ふん、肉を焼いて何になる。魔族は血に飢えた獣だぞ!》


「おっ、アンチの騎士さん、いい質問ですねー! 彼らは血に飢えてるんじゃない。ただ、本当に『旨いもの』を食ったことがないだけなんですよ。というわけで今日の企画! 『魔王軍の幹部を、現代の焼肉のタレで買収してみた』。レッツ・クッキング!」


ツヨシはクーラーボックスから、前日のスパチャで購入した最高級の「A5ランク・ドラゴンの霜降り肉」を取り出した。そして、醤油、砂糖、おろしニンニク、リンゴのすりおろし、そして隠し味に「聖水」を少々加えた、現代の英知が詰まった【特製・黄金のタレ】をたっぷりと肉に揉み込む。


ジューッ……!!


肉が焼ける官能的な音と、香ばしいニンニクの香りが、魔導カメラを通じて大陸全土の水晶へと拡散される。それどころか、ツヨシが放った「拡散魔法ディフュージョン」によって、匂いそのものが戦場へと漂っていった。


地響きを立てて進軍していた魔王軍の先頭が、突如として足を止めた。


「……ヌッ!? この、脳を直接揺さぶるような『暴力的なほど芳醇な香り』は何だ!?」


軍勢を率いていた魔王軍四天王の一人、剛力将軍バラン(トロール族)が、鼻をヒクヒクさせながら砦を見上げた。彼の胃袋は、かつて経験したことのない強烈な空腹感によって悲鳴を上げていた。


「バラン将軍、キター!! 見てください皆さん、あの鼻の下の伸ばし方! 完全に落ちてますよこれ!」


ツヨシは自撮り棒をマイク代わりに、砦の下で戸惑う将軍に叫んだ。


「おーい、バラン将軍! 今日は戦いに来たんじゃない。あんたたちに『本物の飯』を教えに来たんだ! これ、一口食べるごとに『降伏一票』ね! 興味ある奴は一列に並べー!」


「ふざけるな、人間! 我ら魔王軍が食い物に釣られると……ズ、ズズッ(生唾を飲む音)……思うなよ!」


そう言いながらも、バランの足は勝手に砦の階段へ向かっていた。彼だけではない。後ろに控えていた一万のオークたちも、武器を投げ捨て、うっとりとした表情で匂いの方へと吸い寄せられていく。


「はい、スパチャ10万G入りました! 攻撃力……じゃなくて『調理力』10倍アップ!!」


ツヨシの【スパチャ・ブースト】が発動し、ツヨシの手捌きが神速に達した。網の上で踊るように焼かれる肉、完璧なタイミングで絡まるタレ。ツヨシは焼き上がった肉を、空中に放り投げた。


「そら、食え! 『チャンネル登録者限定・絶品カルビ』だ!!」


バランがその一切れを口にした瞬間、戦場に衝撃が走った。


「な、なんだこれは……!? 肉の旨味がタレの甘辛さと完璧にシンクロし、口の中で銀河を形成している! 私が今まで食ってきた生の生け贄は何だったんだ……! 畜生、旨すぎる、旨すぎて涙が止まらん!!」


バランはその場に膝をつき、号泣した。それを見たオークたちも、我先にとツヨシが次々と焼いて放り投げる肉に飛びついた。


「はいはい、アンチの幹部さん、焼き加減にケチつけないでね! ほら、そこのオーク、タレは二度漬け禁止だよ! 列を乱す奴には『ブロック機能(物理)』をお見舞いするぞ!」


ツヨシは【自撮り棒型魔導杖】で、横入りしようとしたトロールの頭を軽く小突いた。その様子がカメラに映し出されると、コメント欄は爆笑の渦に包まれた。


《聖女:あはは! 将軍がタレを舐めてる! 可愛い!》

《辺境のドワーフ:ツヨシよ、わしも混ぜろ! 画面から匂いが出る魔法、早く完成させろ!》

《視聴者数が50万人を突破しました!》


数時間後、戦場には一人の死者もいなかった。代わりに、一万の魔王軍が地面に座り込み、お腹を膨らませて「ハァ、幸せだ……」「もう村を襲うとかどうでもいいわ……」と幸せな溜息を漏らしていた。


「はい、というわけで検証結果! 魔王軍の軍勢は、特製のタレがあれば一晩で打ち上げ会場に変わる! でした! 将軍、降伏の一票、入れたよね?」


「ああ……。魔王様には悪いが、このタレの供給が止まるのは耐えられん。我ら先鋒隊は今日限りで解散し、この砦で焼肉屋の警備員をやることにする!」


こうして、歴史上かつてない「一夜にして軍勢を霧散させた伝説」が誕生した。


翌朝、王都のギルド本部。

「魔族の魂を極上の供物(焼肉)で浄化し、血塗られた戦場を一夜にして聖域へと変えた、稀代の聖者……」


ツヨシの二つ名は、いつの間にか「爆食の聖者」へと格上げされ、王国中の料理人たちが「聖なるタレ」のレシピを求めてツヨシに弟子入りを志願する事態となった。


「……え、いや、これただの飯テロ動画なんだけど。あと、次の配信『魔王の寝室に激辛わさびを仕掛けてみた』の準備、バラン将軍も手伝ってくれる?」


「御意に、我がマスター(店長)!」


ツヨシの自撮り棒は、今や魔族さえも従える「支配の杖」と化していた。

異世界転生しちゃったので、ネット配信者になってみた。

次回のターゲットは……魔王城のキッチンを勝手にリフォーム!?

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