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第3話:【ドッキリ】伝説の火竜(サラマンダー)の鼻に消臭剤ぶち込んでみた結果www

「……シーッ! 皆さん、静かに! 今日の企画はマジで命懸けです。見てください、あそこ」


ツヨシは岩陰に身を潜め、超高性能になった【魔導ライブ・カメラ】を指さした。カメラがズームした先には、火口付近の溶岩地帯で丸まって眠る、全長20メートルを超える紅蓮の巨躯――伝説の火竜「サラマンダー」が鎮座していた。


視界の端には、世界樹アンテナのおかげでヌルヌル動くコメントログが爆速で流れている。


《聖女:ツヨシ様、危なすぎます! 帰ってきてください!》

《辺境のドワーフ:ガハハ! さすがに死ぬぞ! でも画質がいいから最期まで見届けてやるわ!》

《王都の騎士A:昨日の配信で言ってた『生臭い』ってコメント、マジで気にしてるのかよw》


「そうなんだよ! 前回の配信でサラマンダーが映った時、『火竜のブレスって生臭そうw』ってコメントがあっただろ? 配信者として、視聴者の疑問を放置するわけにはいかない。だから用意しました、これ!」


ツヨシが取り出したのは、前回のスパチャで購入した魔導粉末【聖なる重曹・銀イオン配合(業務用)】。一振りでドラゴンの巣の異臭すら無効化する、強力な消臭・除菌剤だ。


「これ、一気に鼻の穴にぶち込みます。題して『ドラゴンの寝起き、お口スッキリ大作戦』! チャンネル登録して見守っててね!」


ツヨシは【自撮り棒型魔導杖】をバトン代わりに回しながら、音もなく火竜に接近した。熱風で【キラキラ・フィルター】が時折バグるが、それも「極限状態のリアリティ」として視聴者の興奮を煽る。


火竜の鼻先に到達したツヨシ。その巨大な鼻孔からは、硫黄の臭いと肉が腐ったような猛烈な「生臭さ」が噴き出していた。


「……うわ、マジで臭っ! これは『消臭』じゃなくて『除菌』レベルだな。いくぜ、3、2、1……着火ファイヤー!!」


ツヨシは業務用パウダーの袋を全開放し、火竜の鼻の穴へと一気にぶち込んだ。


「グガッ……!? ギュ、ギェェェェェェーーッ!!」


爆音と共に火竜が跳ね起きた。鼻の中に強烈なミント系の刺激と聖なる除菌成分が充満し、サラマンダーはかつてないパニックに陥る。


「はい、大成功ー!! 見てください皆さん、火竜の鼻からホワイトムスクの香りが漂ってますよ! ――って、うわあああ! 怒ってる! めちゃくちゃ怒ってる!!」


激怒した火竜が、口から純白(消臭パウダー混じり)の火炎ブレスを放射した。周囲の岩がドロドロに溶け、ツヨシの背後で大爆発が起こる。


《王都の大富豪:ぎゃああああ! ツヨシが死んだあああ!》

《魔法学園の女子生徒:嫌ああ! 画面が真っ白で見えない!》

《世間知らずの聖女が【救済のマナ(赤スパ100,000G)】を投げました!》

《聖女:死なないで! これでバリアを張ってください!》


「キタアアアア! 10万G!! 過去最高額更新!! 全身に力が……溢れてくる……!!」


投げ込まれた膨大なマナがツヨシの【スパチャ・ブースト】を限界突破させた。彼の筋肉がミシミシと膨らみ、体全体が青白いオーラに包まれる。


「よーし、スパチャの力、思い知れ! 第1話で言ったよな? 登録者増えたら魔王軍をプロレス技でねじ伏せるって! 今日はその予行演習だ!」


ツヨシは火竜のブレスの中を真っ直ぐに突き進み、驚愕するサラマンダーの首根っこを掴んだ。


「行くぜ! 『チャンネル登録者限定・ジャーマンスープレックス』!!」


ドゴォォォォォォォン!!


全長20メートルの火竜が、ツヨシの手によって綺麗なブリッジと共に地面に叩きつけられた。地響きが火口を揺らし、溶岩が噴き上がる。


「まだまだぁ! 『高評価ボタン・連打パンチ』!!」


ツヨシの拳が、一撃ごとに衝撃波を生み出し、火竜の鱗を粉砕する。リスナーからのコメントが右から左へ流れるたび、ツヨシの攻撃力が増していく。


「……ハァ、ハァ……。どうだ、参ったか?」


最後は火竜をヘッドロックで締め上げ、カメラに向かってサムズアップするツヨシ。火竜は白目を剥き、鼻から「プシュー」と消臭成分の白い煙を吐き出しながら完全に降伏(服従)した。


「はい、というわけで検証結果! ドラゴンの鼻に消臭パウダーを入れると、めちゃくちゃ怒るけど、倒せばいい匂いのペットになる! でした!」


視聴者数がついに10万人を突破した。画面内はお祝いのスタンプとマナの雨で埋め尽くされている。


その時だった。火口の入り口から、重厚な鎧に身を包んだ一団が姿を現した。王国最強と謳われる「白銀騎士団」だ。彼らは、王都の巨大水晶に映し出されたツヨシの「超人劇」を見て、ここまで飛んできたのだ。


「……お、貴殿が例の『配信者』か」


先頭の騎士団長が、跪いてツヨシの前に剣を捧げた。


「火竜の呪い(口臭)をその身一つで浄化し、力で従えるとは……。貴殿こそ、古の伝承にある『竜を喰らう浄化の聖騎士』に相違ない。頼む、我が国の騎士団特別顧問として、魔王軍との戦いに力を貸してはくれまいか!」


「……え、いや、これただのドッキリ企画なんだけど。あと、契約金(出演料)は弾んでくれるの?」


「もちろんだ! 王国の予算を全て投じても惜しくはない!」


「よし、商談成立! 視聴者の皆さん、朗報です! 次回は『王国騎士団を24時間監視してみた』、あるいは『魔王軍の幹部にドッキリ仕掛けてみた』、どっちがいいかアンケート取るから答えてねー!!」


ツヨシは自撮り棒を掲げ、気絶した火竜の頭の上で勝利のダンスを踊った。

異世界転生しちゃったので、ネット配信者になってみた。

ツヨシの承認欲求は、今や国家を動かすほどの「戦略兵器」へと進化していた。

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